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最終更新日:2023.06.16 公開日:2023.05.19

ラウンドアバウトってなに? ロータリーとは違う??増えてきた不思議交差点を紹介

欧米では広く普及しているが、日本ではまだまだ一般的ではないラウンドアバウト(環状交差点)。しかし、2014年に法律が整備されてから着々と数は増え続けており、今後はドライブ先で遭遇する機会もあることだろう。従来からあるロータリー(円形交差点)とは交通ルールも標識も異なるので、ドライバーは要注意でもある。改めてラウンドアバウトについて解説したい。

文=くるくら編集部

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全国で140か所に設置されているラウンドアバウト

香川県綾歌郡宇多津町にあるラウンドアバウトは標準的な構造をしている。写真=国土交通省

 ラウンドアバウト(環状交差点)は、日本ではあまり一般的ではないが、2014年9月施行の道路交通法改正で環状交差点として法律的にも整備され、2022年3月末時点で全国140か所に設置されている。

ラウンドアバウトは、一定の条件下では、安全かつ円滑な交通の実現や、CO2排出の抑制、停電時でも機能するなどメリットが多く、全国で毎年10か所前後が新たに設置されている。ただし、まだルールを知らないドライバーも少なからずいると思われ、ドライブ中にラウンドアバウトを通過する際には十分な注意が必要だ。また、似た構造の交差点として、従来からローターリー(円形交差点)があるが、両者の通行方法は異なる。基本的な構造や通行時のルールについて、国内外の例と共に紹介しよう。

日本国内における2022年3月末時点の、ラウンドアバウトの設置状況。宮城県が25か所とダントツで一番多い。宮城県では円形交差点がもともと多く存在していたため、環状交差点へスムーズに移行できた背景がある。画像=国土交通省

ラウンドアバウトの交通ルールと特徴

ラウンドアバウトは一時停止が不要で、中央部の島部分の外周に沿った環道(車両が走行する円形の部分)を、時計回りに進む仕組みとなっている。信号機が存在しないため交通が円滑に進み、環道に流入する車両は走行速度を抑制する必要があるため、事故発生率の減少にも貢献している。歩行者は横断歩道を利用し、自転車も車と同じように環道の外側を時計回りに走行することが可能だ。

ラウンドアバウトに進入する際に停止する必要はないが、道路の左端を徐行して進む必要があり、環道を走行している車両を優先しなければならない。環道に進入する際は左折の合図は不要だが、交差点を出る際は、必ず左ウインカーを出して左折する形で交差点を出ることになる。横断歩道にも信号がないため、横断中の人がいないか充分注意が必要だ。

ラウンドアバウトの標識は下右の図のようになっている。後で説明するロータリーとは異なり、環道を走っている車両が優先なので、くれぐれも注意したい。

 ラウンドアバウトが増えているのは以下のメリットがあるためだ。ただし、条件によってはデメリットにもなる。それぞれ、確認してみよう。

■メリット
・交差点内の走行速度が下がり、事故発生率の低下につながっている。
・3本~多数の分岐先に対応できる構造を持ちながら、複雑な交錯がない。
・信号待ちがなくなり、アイドリング時間を削減して環境負荷を軽減。
・信号がないので、災害・停電時にも機能する。
・円を一周すればUターンが容易
・中央島にはモニュメントなどを設置できるので、地域色の演出に活用できる。

無信号や点滅信号の交差点では複雑な交錯が起こる可能性があるが、ラウンドアバウトでは1方向への流れしかなくなる。

■デメリット
・初見では交通ルールがわかりにくく、多少の慣れが必要。
・流出先が多い場所では出口がわかりにくくなる。
・設置コストがかかり、工事も大規模なものになるため、既存の主要道路では実施しにくい。また、広い敷地を要するため、狭い道路には向かない。
・交通量が増えると渋滞の原因になるため、交通量が多い交差点には向いていない(設置条件は交差点の1日あたりの交通量が1万台未満が望ましいとされている)。
・歩行者や自転車は通常の交差点と比べ遠回りが必要。

ロータリーとの違い

(画像左)規制標識:環状交差点における右回り通行、(画像右)警戒標識:ロータリーあり。画像=国土交通省

 駅前などでよく見かける円形交差点(ロータリー)は、ラウンドアバウトとは交通ルールが異なるため注意が必要だ。ラウンドアバウトは無信号で一時停止が不要で、交差点を走行中の車両を優先する。

対してロータリーは一時停止や信号などの交通整理が行われている場合が多いが、交通整理が行われていない場合、左方から進行してくる車両、つまり交差点へ入ってくる車両をを優先しなければならない。標識はどちらも3つの矢印が時計回りに描かれているが、ラウンドアバウトが青と白を組み合わせた円形の「規制標識」であるのに対し、ロータリーは黄と黒を組み合わせたひし形の「警戒標識」となっている。

次のページでは、
日本や海外のラウンドアバウトを紹介!

日本全国のラウンドアバウト

ここからは、国土交通省が公開している日本全国のラウンドアバウトの一部を紹介する。分岐路の数や、中央島の活用、構造物の色味、利用者を助ける視覚的な工夫などを注目しながら眺めてみると楽しい。三重県伊賀市の手裏剣の絵柄や、島根県大田市の連続するラウンドアバウトなど、ユニークなラウンドアバウトも誕生している。

写真=国土交通省

海外の有名なラウンドアバウトといえば……

欧米各国では広く普及しているラウンドアバウトだが、世界的に有名なラウンドアバウトを2つ紹介しよう。ただし、海外では進行方向や停止ルールが日本のラウンドアバウトとは異なることがあるので、実際に現地を走行する際にはよく調べてほしい。

■フランス 凱旋門

フランス・パリの象徴ともいえる「エトワール凱旋門」を囲む道路がラウンドアバウトだ。シャンデリゼ通りなどを中心に12本の道路に分岐し、混雑時には6~7車線近くに膨らむこともあるようだ。フランス随一の複雑なラウンドアバウトとのことで、運転に自信がある人は挑戦してみるといいだろう。

googleマップ ストリートビュー。始点は凱旋門前のシャンゼリゼ通りなので、疑似体験してみるといいだろう。

■イギリス「ザ・マジック・ラウンドアバウト」

イギリスのスウィンドンには、1972年から設置されている「ザ・マジック・ラウンドアバウト」がある。まるでプラネタリギア(遊星ギア)のように、大小7つの島が組み合わさってできたこのラウンドアバウト。中央島と、その周囲にある6つの島の周回方向が異なるなど極めて複雑……なようにも見えるが、意外にも感覚的に走行できるそうだ。

googleマップ ストリートビュー。始点はクイーンズ・ドライブ。ザ・マジック・ラウンドアバウトを疑似体験してみよう。

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