なぜ道路に穴が開くのか? 道路補修時の交通規制を8割短縮できる新製品がスゴイ!
NEXCO中日本と中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋は、2023年3月29日、近代化成と共同で最先端の床版防水材「ハイウェイ・スラブボンド」を開発したと発表。道路補修時に必用な時間を大幅に短縮できるため、交通規制の減少が期待される。そもそも、なぜ道路に穴が開くのか?その仕組みも含めて解説する。
施工時間を約8割短縮!
昨今、高速道路では橋梁床版(橋の上を通る車両の重みを橋桁や橋脚に伝えるための床板)の老朽化に伴い、舗装に穴が開くなどの損傷が発生している。
従来、このような損傷を補修するには、現場で床版防水材を加熱・溶解しなければならず、施工時の安全性・作業性・品質性に課題を抱えていた。また、施工に時間を要するため長時間の交通規制を実施しなければならないという問題もあった。
そこで、NEXCO中日本と中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋は、近代化成と共同で最先端の床版防水材「ハイウェイ・スラブボンド」を開発。同製品は、常温の材料を撹拌し、床版に塗布するだけで施工でき、養生も不要なのが特徴。補修面積2平方メートルの施工時間は、従来の工法だと約3時間必用だったが、ハイウェイ・スラブボンドは約0.5時間と、8割もの時間短縮が可能だという。
中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋は、NEXCO中日本エリア以外にも販売を予定している。今後、全国に普及すれば、作業の省力化と安全性向上にくわえ、各地で道路補修時の交通規制時間が短縮されるのではないだろうか。特に、春になると大きくえぐれたポットホールが至るところに出現する雪国の道路では、短期間で多数の損傷部を補修するのに重宝されるかもしれない。
なぜ道路に穴ができるのか?
アスファルト舗装の劣化するメカニズムにはさまざまな要因があるが、主に、(1)雨水(2)荷重(3)温度変化の3つの作用が複合的に関与していると考えられている。
交通荷重(クルマが通行することによる道路への負荷)によるたわみ、さらに温度変化や紫外線によって、道路にひび割れが発生するところから、アスファルトの劣化ははじまる。そのひび割れ部から雨水が路盤に浸透、そこに交通荷重が加わることで、浸透した雨水とともに路盤(アスファルト層の下にひかれた砂利)の細粒分が吹き出す。
そして道路のひび割れと路盤の細粒分の吹き出しが繰り返されることでアスファルト層の損傷が徐々に進行。さらにひび割れが甲状に広がると、降雨時にタイヤと細分化したアスファルト層が密着し、一気にめくり上がる。その結果、道路に穴(ポットホール)が発生してしまうのだ。
こうした道路の穴や陥没などは、クルマのパンクやホイールの損傷、二輪車などの転倒事故の原因にもなるため、道路の維持管理は通行者の安全上、非常に重要である。最新技術の効果に期待したい。