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最終更新日:2023.04.04 公開日:2023.04.04

“美ら島”沖縄を体感する、美しきクラシックカーラリー「Giro dell’Isola Okinawa 2023」に密着!

どこを走っても美しい! ”美ら島”沖縄を舞台にしたクラシックカーのラリーイベント「Giro dell’Isola(ジーロ・デッリゾラ)OKINAWA」に武田公実が密着。その魅力をお届けする。

文・写真=武田公実

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ポルシェ356(手前)とアルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー(奥)が、木漏れ日が照らす沖縄の美しい景色の中を駆け抜ける

 イタリアの生ける伝説的イベント「ミッレ・ミリア」に端を発する、レギュラリティ・ラン(タイムラリー)形式のクラシックカーラリーは、前世紀末から日本にも波及し、現在では国内の津々浦々で開催されている。

 観光イベントや、時には町興しイベントとしても人気を博すこれらのラリーでは、美しい景観の中を、それぞれの愛車であるクラシックカーとともに走るというのが最高の醍醐味となっているのだが、このほど美しさの面では国内随一とも言いたくなるイベントが、”美ら島”沖縄を舞台に誕生した。

 その名は「Giro dell’Isola(ジーロ・デッリゾラ)OKINAWA」。この3月4〜5日、記念すべき第一回が開催されたクラシックカーラリーに完全密着するチャンスを得た。

美しさと楽しさでは、おそらく国内随一!?

辺戸岬近くの美しい海沿いを走る、真っ白なシボレー・コルベット

 イベント名として掲げられたGiro dell’Isolaとは、この種のラリーの本場、あるいは聖地とも言うべきイタリアの言葉で”島巡り”を意味するという。

 今回は、まだ第一回ということ、また、この種のイベントのエントラント(参加者)で多くを占める首都圏や東海・関西圏在住者にとっては少々遠方である沖縄を舞台とすることもあってだろうか、エントリー車両は14台とやや少なめ。しかしながら、そのバラエティの豊富さや質の高さは特筆すべきものだった。

 古くは1955年型のジャガーXK140ロードスターとポルシェ356スピードスターにはじまり、もっとも年式が新しいのは1989年型のフェラーリ・テスタロッサ。ポルシェ356シリーズやアルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダーは各世代が3台ずつ集まったほか、沖縄には良く似合うシボレー・コルベットも二代目および三代目が揃い、行く先々で遭遇した地元の方々やギャラリーたちの歓声を受けていた。

 また、1960年型ロールス・ロイス・シルヴァークラウドIIや1970年型ダッジ・チャージャー。さらには超絶可愛い1966年型アウトビアンキ・ビアンキーナなど、国内のクラシックカーラリーでは変わり種とも思われる名車たちもエントリーして、イベントを大いに盛り上げていた。

ランチで小休憩中のクラシックカーたち

沖縄の魅力をラリーイベントで伝えたい!

一番手前は、超絶可愛い1966年型アウトビアンキ・ビアンキーナ

 このラリーをオーガナイズする実行委員長の矢口可南子さん曰く、「沖縄の美しい海と豊かな自然、琉球王国の時代からアジアの中心として独自の歴史・文化を育んできた沖縄の魅力を、ラリーイベントというかたちを通じて伝えたい」という熱い思いが込められているとの由。この目的を満たすため、ラリーのルートは沖縄の風光明媚な景色を存分に楽しめるよう、二日間ともに極上のロケーションが選りすぐられていた。

 まず初日は、恩納村の「ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」を出発。ラリーの要であるP.C.競技(一定区間の通過タイムを0.1秒単位で競うもの)も、常設サーキット「モータースポーツマルチフィールド沖縄」で行われた。

 また、沖縄の歴史に触れてほしいとするオーガナイザーの熱意から、通常は車両の進入が許されていない世界遺産「中城城跡」前にエントリー車両全車がずらりと並ぶという素晴らしいスペクタクルが実現したのち、北谷の「ヒルトン北谷沖縄リゾート」内の芝生広場にて、観衆に見送られながら正式なスタートセレモニーが行われた。

 さらに、この日の夜にはハイアットリージェンシー瀬良垣でガラ・ディナーが開催され、沖縄料理をアレンジした美味しい食事と、沖縄民謡”エイサー”の迫力ある実演から、最後はエントラント/スタッフも含めた全員で”カチャーシー”を踊りつつ、夜は更けていった。

世界遺産「中城城跡」にズラリと並んだ参加車両たち

どこを走っても美しい

ラリーの要であるP.C.競技(一定区間の通過タイムを0.1秒単位で競うもの)も行われた

 そして、二日目となる日曜日の朝。再び瀬良垣からスタートして、近年人気の観光スポット「又吉コーヒー園」や沖縄最北端の「辺戸岬」など、やんばる(山原)地方を中心としたコースを走るとともに、P.C.競技も随所で行われた。

 特筆すべきは、二日間ともに走行ルートの美しさが国内イベントでは最高ランクに属することである。大海を横目に走るシーサイドコースが多くを占める沖縄の大動脈、国道58号線が今回のルートでも基幹となっていたのだが、それ以外の内陸部に入っても、どこへ行っても海が視界に入ってくる。特に、二日目にはやんばるの森の中を駆け抜けるなど、どこを走っても美しい光景が眼前に広がった。

 また、市街地以外では信号がきわめて少なく、当然ながら渋滞とは無縁に近い巧みなコース設定が功を奏して、クラシックカーにとっても快適なドライブ環境だった。

 こうして、二日間のラリーでは大きなトラブルに見舞われることもなく、日曜日午後にはヒルトン北谷沖縄リゾート芝生広場に設けられたゴールに、全エントリー車両とドライバー/コ・ドライバーたちが、日焼けした笑顔いっぱいで戻ってきたのである。

又吉コーヒー園にて

沖縄の眩い陽射しを浴びる、1970年型ダッジ・チャージャー

アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダーは各世代が3台ずつ集まった

ポルシェ356スピードスターもエントリー

ホワイトウォールタイヤがシャレてるポルシェ356

 蛇足ながら、筆者は1997年にイタリア本国のミッレ・ミリアを初めて訪れたのち、日本国内・海外を問わず数多くのクラシックカーラリーを取材したほか、自らエントリーしたこともあるのだが、それら経験を踏まえてみてもGiro dell’Isola OKINAWAの楽しさは国内最上級のものと断言したい。ホテルや食事などのホスピタリティはゴージャスかつ洗練されているかたわら、さまざまな場面で主催チームの温かい心遣いが感じられた。

 そしてこの感想は、表彰式で楽し気なさまを見せていたエントラントたちとも、間違いなく共有できたようだ。沖縄にルーツを持つという矢口さんの郷土愛と、それを支えたスポンサーやスタッフたちの熱意によって素晴らしいイベントとなったことに、心よりの賛辞を贈りたいのである。

シボレー・コルベットは沖縄に良く似合う

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