4月からの自賠責保険料の改定で、何が変わる?
すべての車・バイクユーザーに加入が義務付けられている自賠責保険の料金が、2023年4月1日から改定され2年振りの値下がりとなる。また、自賠責保険料に含まれる賦課金(ふかきん)が拡充。詳細をみてみよう。
自動車・バイクユーザーへの影響はどうなるのか
金融庁は、自賠責保険料を2023年4月1日から改定すると発表。自賠責保険料・共済掛金の一部である賦課金については、年間約125円の新たな賦課金がプラスになるものの、純保険料率が下がることで、全体としては2021年4月以来2年ぶりの値下がりとなる。
全車種・全地域で平均11.4%値下げ!
自賠責保険料の値下げ額について「自家用乗用車」を例に確認してみると、現行(2023年3月31日まで)では12か月での契約保険料が12,700円だったものが、改定後(4月1日以降)の契約では11,500円と、新設された賦課金込みでも1,200円の値下げになる。同様に、軽自動車では12か月契約で12,550円が11,440円に、小型貨物自動車では14,280円が12,850円に、小型二輪では7,270円が7,010円に、原付では7,070円が6,910円に値下げされることになる。ここで例に挙げていない登録車種や、沖縄・離島など、地域で変動する契約料金についても、すべて平均して11.4%の値下げとなる。
※上記に記載のない車種や、沖縄・離島で適用される改定料金等は次ページ。
また、値下げは12か月契約以外でも、自家用車では24か月で11.8%、36か月で12.8%の値下げ、12か月契約(9.4%)よりも改定率は高くなるので、自賠責保険は「長期契約の方が安くなる」という仕様は改定後も変わらない。
賦課金の使途と、新設の背景
これまで賦課金は、無保険車による事故や、ひき逃げの被害者の死亡・ケガの補償に充てられていた。4月から新設される賦課金は、上記内容に加え、事故被害者の介護や被害者支援の充実、事故防止対策の推進などに充てられる。自家用車は125円、営業用のバス・トラック・タクシーは150円が1年あたりの契約金に含まれることになり、これにより、年間およそ100億円が安定して確保できる見込みだ。
賦課金が新設される理由には、既存の制度のままでは積立金が10年程度で枯渇する可能性が高いということが背景にある。2008年から2021年までの交通事故死者数が5,209人から2,636人と、半数近くまで減少しているのに比べ、交通事故による要介護者は14年間で大きく減少したとは言えない(グラフ参照)。毎年出てしまう1,200人前後もの要介護者を支えることも、賦課金新設の理由のひとつとなっている。
毎年変わる保険料
自賠責保険料は、金融庁が毎年1月に開催する「自動車損害賠償責任保険審議会」で決定するため、保険料の改定頻度はそこそこ高いと言える。近頃は物価高騰のニュースばかりが飛び交っているが、こうして交通事故数の減少に伴い、保険料も値下げされるのは、一般ユーザーには助かる話だ。
全車種・全地域ごとの自賠責保険料改定額は
次ページに掲載。
12か月契約での改定基準料率表
(1)は沖縄・離島を除く地域
(2)は沖縄を除いた離島
(3)は離島を除いた沖縄
(4)は沖縄内の離島地域