高速道路に初設置、1口最大150kW急速充電器。6台同時充電タイプも
NEXCO中日本と、東京都港区に拠点を置くe-Mobility Powerは、浜松SA(上下)および駿河湾沼津SA(上下)に、国内の高速道路で初めて1口最大150kW級の急速充電器の運用を開始した。また、1基6口で6台同時充電が可能な急速充電器も設置した。
ようやく高速道路に150kW級急速充電器が登場
NEXCO中日本と充電サービス会社のe-Mobility Powerは、増加するEV充電ニーズに対応するため、E1A新東名高速道路の浜松SA(上下)と駿河湾沼津SA(上下)に、より高性能な新しいタイプの急速充電器を新設した。
浜松SA(上下)には2基が新設されたが、1基は2口、もう1基は6口を持つタイプ。つまり、新設された2基で、8台の同時充電が可能になったわけだ。従来の急速充電器のほとんどは1基1口のため、ユーザーの利便性は格段に向上しそうだ。
同時に高出力化も実現しており、1基2口の充電器は、1口利用(1台充電)であれば、150kWの高出力が可能になる。従来の急速充電器の多くは50kWのため、充電器側の能力は3倍に向上した。
これにより、同じ量の電気を充電するなら理論的には1/3の時間で済むことになる。もちろん、充電の条件は充電器側だけではなく、クルマの側の充電能力や相性も関係することと、150kW出力が行えるのは15分間と限られるため、単純に時間が1/3になるわけではない。それでも、より短時間で充電できる可能性が高くなったことは朗報だ。ちなみに、1基6口の充電器も90kWの出力が可能で、従来の急速充電器よりも短時間での充電が期待できる。
駿河湾沼津SA(上下)にも、浜松SAと同じ1基2口150kWの充電器と、1基4口の充電器が設置された。こちらは浜松SAよりも口数が少ないが、90kW出力は可能である。
急速充電器は、ABB製とニチコン製を採用
e-Mobility Powerの発表によると、4か所のSAに設置された急速充電器は以下の通り。
ちなみにABB社はスイスに本社を置く会社で、FIAフォーミュラE選手権のタイトルパートナーとして有名。ちなみに欧州ではすでに360kW対応の充電器も開発している。一方のニチコンは、代表的な日本の急速充電器メーカーのうちの一社。
■浜松サービスエリア(上り)2基・計8口 ■浜松SA(下り)2基・計8口 |
■駿河湾沼津サービスエリア(上り)3基・計6口 ■駿河湾沼津サービスエリア(下り)2基・計6口 |
ABB製の「Terra 184 JJ-X」が1口の最大出力が150kWの機種で、総出力は180kW。2台同時充電の場合は、1口あたりの最大出力は90kWまでとなる。充電規格は、国内においてはほとんどのEVが利用可能なCHAdeMO(チャデモ)。
ニチコン製の「NQM-UCY04P」は、1口での充電なら15分間は最大出力90kWで利用でき、6台まで同時に充電する場合は総出力が200kW以下になるよう制御される。充電規格はCHAdeMO。充電器メーカーHPによると、日産リーフで例えた場合、1口での充電なら約10分で80%の充電が可能とのこと。
高出力で口数の多い急速充電器が増えますように!
ようやく高速道路にも150kW級の急速充電器が設置された。このタイプの普及が進めば、EVの課題の一つといわれる充電時間の短縮が期待できる。
さらに期待したいのは、同時充電数が増えることによる順番待ちの減少だ。EVの充電は時間がかかるため、順番待ちの際のストレスは燃料給油よりも大きなものがある。設置済みの急速充電器については老朽化も言われており、より高性能な充電器への代替、普及が早急に進むよう期待したい。