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最終更新日:2023.03.02 公開日:2023.03.02

自動運転はこういうのがいい! 沖縄で全国の自治体向けの事業がスタート

2023年3月から沖縄県北谷町の西海岸地域で、ヤマハの車両を使った自動運転移動サービスのショーケース事業がスタートした。本格リゾート地での自動運転の常時稼働は全国でも珍しく、視察目的でも観光目的でも楽しめるものになっている。

文=くるくら編集部
画像=チャタモビ

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リゾート地での実証実験は貴重?

非公道ルートをトコトコ走る自動走行カート(自動運転レベル3:遠隔無人操作+保安要員)。写真=チャタモビ

 自動運転移動サービスの実証実験は、すでに多くの自治体で行われているが、定められた期間で実施する場合が多く、常時運行しているところは少ない。

 那覇空港からシャトルバスでおよそ45分の距離に、人気観光エリアの北谷町(ちゃたんちょう)がある。ここでは、飛行機、バス、電車などの移動手段を一つのサービスにまとめて観光ができる「北谷観光MaaSプロジェクト」が2016年からスタートしている。また、2021年にはMaaS事業の拠点として北谷トランジットセンターがオープンし、那覇空港からのシャトルバスと連携し、MaaS事業を強化している。

 この事業の人気プランのひとつに「自動運転移動サービス」があるが、これは北谷町の公道や非公道を自動走行カートで周遊するというものだ。このようなリゾート地で自動運転の実証実験を、期間を定めず継続して行う事例は全国でも珍しいそうだ。

那覇空港と北谷町内の自動運転移動サービス対象エリアの位置関係。出典:Google mapより作成。

那覇空港~北谷トランジットセンターを最短45分で移動するシャトルバス「北谷エアポートエクスプレス」

どんなクルマに乗れる?

 自動運転移動サービスの具体例として、ヤマハのグリーンスローモビリティ(ゴルフカーの公道仕様)を楽しい外観にカスタムした「美浜シャトルカート」や、ソニーとヤマハが共同開発した映像と移動を同時に体験できる車両「SC-1 ムーンライトクルーズ」での自動運転走行の体験乗車が可能だ。また、これらに加えて自身でカートを運転する「ミハマシェアカート」というレンタカーサービスと組み合わせれば、より観光やショッピングなどを満喫できるようになっている。

動画=ヤマハ発動機

美浜シャトルカート(レベル2自動走行カート)

ソニーとヤマハが共同開発し、MR(複合現実)技術を採用した車両「ムーンライトクルーズ」(遠隔無人操作レベル3相当)。

 自動運転を体験できるルートは、公道を自動運転レベル2(有人操作)で走行する「アメリカンビレッジルート」と、海沿いの非公道レベル3(遠隔無人操作+保安要員)で走行する「非公道ルート」がある。ショッピングや飲食店が200店舗近く集まる美浜アメリカンビレッジは、カラフルな建物が並び、賑やかな雰囲気で散策スポットとしても人気が高く、自動運転での低速走行と相性がいい。オーシャンビューを眺めながら遊歩道を走る海沿いルートが気持ちよさそうなことも、言うまでもないだろう。ちなみに海沿いルートの料金は、大人500円となっている。

 今後はレベル4(遠隔無人操作)車両の実装も目指しており、上記の2つとは異なるルートも用意される予定だ。

自動走行カートのルート図。赤線が、公道アメリカンビレッジルート、青線が非公道ルート、黄線が将来実装する予定の公道海岸ルート。

美浜アメリカンビレッジを公道仕様のカート「ミハマシェアカート」で走行。最高速度は時速19kmだが、リゾート地をのんびり走るのには充分。運転には要普通自動車運転免許証。

自動運転とリゾート地は相思相愛では?

 今回紹介したサービスはこれまでも観光客向けに提供しているものだが、北谷観光MaaSプロジェクトの自動運転移動サービスを運営するチャタモビ合同会社は、2023年3月から全国の自治体向けに、自動運転移動サービスのショーケース事業を開始し、視察の要望も受け付けるという。

 2022年末にデジタル田園都市国家構想総合戦略が閣議決定され、その中では「地域限定型の無人自動運転移動サービスを2025年度を目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上で実現し、意欲ある全ての地域が同サービスを導入できるよう施策を講ずる」とある。このような背景から、自動運転移動サービス実証実験開始から6年の実績があるチャタモビでは、その成果と知見を横展開するために全国の自治体を対象とした視察誘致を本格的に行うという。

 自動運転では、運転席にドライバーがいない状態の自動運転を実験する場合、最高速度を原則として時速20km以下と定められている。筆者もバスでの公道走行を試乗したことがあるが、歩行者や車の往来がある公道での時速20km以下はかなり遅く、実用までの道のりが遠く感じたことがある。

 しかし、ゆっくり観光を楽しみたいリゾート地での低速走行であれば、それは贅沢な時間だ。非公道での走行もテーマパークのような非日常感を演出してくれるだろう。自動運転の実証実験はこういうのでいいのでは? と、素直に感じた次第だ。

北谷フィッシャリーナ(c)mochi – stock.adobe.com

夜の美浜アメリカンビレッジ。(c)PHOTOM – stock.adobe.com

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