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最終更新日:2023.06.19 公開日:2022.12.02

首都高速の料金改定から半年。はたして効果はあったのか?

首都高速道路は、首都圏三環状を中心に整備が進展しつつあるが、より効率的に使われるように、2022年の4月から料金改定が実施されている。半年が経過し、料金改定後の交通状況がどのように変化したのか、国土交通省が発表したので確認してみよう。

文=くるくら編集部
資料=国土交通省

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首都高速の料金改定をおさらい

(c)BSDC – stock.adobe.com

 そもそも、首都高速の上限料金が見直された理由は、渋滞が多発する都心部の交通量を抑制するためだ。改定前は普通車だと上限でも1,320円という設定で、長距離を走るほど割安であったため、外環道や圏央道の利用を避け、首都高速を長距離走る利用者が多いことが、渋滞をもたらす要因のひとつと考えられていた。

そこで、2022年4月1日から首都高速の上限料金は普通車の場合、35.7km以上で1,320円から、55.0km以上で1,950円の+630円に値上げとなった。車種区分別に見ると、軽・二輪が1,590円(+500円)、中型車が2,310円(+900円)、大型車が3,110円(+1,030円)、特大車が5,080円(+2,430円)となっている。ちなみに35.7km以内の料金は変更されていない。(※料金はETC搭載が前提。現金車は一部を除き、走行距離の長短にかかわらず上限料金が請求される。)

また、この料金改定と同じタイミングで他にも「深夜割引」と、「大口・多頻度割引」も新たに導入された。前者は0時~4時の間に首都高速の入り口を通過した場合、料金が20%割引されるというもので、朝夕のピークを少しでも減らそうという試みだ。後者は大口・多頻度の利用者に対して割引率を上げたことで、物流を支えるトラックなどの負担が激増しないよう、実施されているものだ。細かなところで「千葉外環迂回利用割引」なども導入されているが、これについては後述する。

半年が経過、結果は「おおむね良好」!

国土交通省は、これらの料金改定から半年が経過した結果を、次のように発表している。
・首都高速含め、全国的に交通量が増加
・首都高速の長距離利用が減少し、短距離利用が増加
・首都高速の全体交通量が増加する中、深夜利用が大きく増加
・都心を迂回する千葉外環利用割合が増加

※1.各年4~9月の特異日(大型連休前日、休日に挟まれた平日、GWおよびお盆期間の平日、オリパラ期間の平日【首都高速の場合】)を除く平日平均。※2.2022年9月の各数値は速報値。※3.増減率の数字は、2019年対2022年および2021年対2022年。出典=国土交通省

全国的な交通量は2021年と比べて回復してきている。それに伴い、渋滞も増えてしまっている。しかし肝心の首都高速については、2019年と比べて渋滞損失時間が23%も減少していることからも、利用者は増えても、比較的短い距離で降りる利用者が多くなったと読み解くことができる。これは、料金改定の効果と考えてよさそうだ。

距離帯別の交通量を見れば長距離利用者の減少は明確だ。48km以上の長距離利用者は減少しているが、48km未満の利用状況は、ほぼ以前と同じ交通量に戻っている。ここには、今まで長距離利用をしていた利用者が、割安ではなくなったため、他の有料道路や一般道に乗り換える利用者が推移しているものと考えられる。

深夜割引の対象時間帯では利用者が20%増加という結果となっている。この施策では6時台~17時台のピーク時というより、元は19時台~23時台の利用者が深夜帯に推移した印象を受ける。

冒頭で触れた「千葉外環迂回利用割引」については
(1)首都高速の湾岸線または横浜・川崎エリアを発着すること。
(2)千葉外環のみを迂回して常磐道を利用すること。
(3)料金所を同一のETCカードでゲートを通過すること。
この3つの条件をクリアしなければならず、かなり利用者は限定されるが、コロナで交通量が減少する以前の2019年と比べても、首都高速では1日あたり約700台が減少し、外環道では1日あたり300台増加しているので、なんとか誘導できていると言えそうだ。

一か月後の調査結果と同じ傾向に

割安だから長距離でも乗る、という利用者が減少し、深夜割引や千葉外環迂回利用割引などもそれぞれ効果が出ている。そして、これらの結果は国土交通省が4月の料金改定から一か月後に発表した内容とほぼ同じであったことからも、継続的に効果があることが分かった。

首都圏三環状などと連携した料金割引や、時間帯別の割引は渋滞緩和に有効であり、このような取り組みにより渋滞が緩和していくのであれば、料金改定は歓迎だ。だが欲を言えば、複雑化していく料金体系や、多様化する移動手段についても、毎回覚えたり調べずに済むよう、MaaSの発展と浸透に期待しているのは誰しもが感じていることだろう。

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