キャンピングカートレンド最前線 Vol.2:隆盛なるルーフテント ~アソモビ2022 レポート~
ここ数年、キャンピングカーのイベントで最も見かけるようになったアイテムが「ルーフテント」だ。その名の通り、車上のルーフキャリアに搭載することで、手軽に車上泊ができる「キャンピングカー」仕様になるのが大きな魅力だ。車と遊びの祭典「アソモビ2022」で見つけた、さまざまなルーフテントスタイルを、紹介しよう。
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ルーフテントの魅力と日本独自の進化
もともとオーバーランド(車で大自然を長距離旅するスタイル)向けに開発されたルーフテント。SUVとの組み合わせが最もオーソドックスなスタイルと言える。
ルーフテント搭載のキャンピングカーをアソモビ2022の会場内でも最も多く見かけたが、まずはルーフテントの魅力と注意点からおさらいしよう。
写真=iKamper Japan
■ルーフテントの魅力
・取り付けるだけで「キャンピングカー」の仲間入り。 |
■事前に認識しておきたいこと
・重量と存在感があるため、使用頻度が低いと乗用車としては邪魔に感じやすい。 |
このように、メリットとデメリットは当然あるものの、キャンピングカーに憧れているがイマイチ踏み切れない人にとっては、今ある車で試せる利点がルーフテントにはある。
そして、ルーフテントの登場により、日本では軽クラスの車が次々と多目的なキャンピングカーに進化を遂げ、さらに最近では「どんな車であろうがルーフテントを載せてキャンピングカーにする」という流れにまで発展している。
それは、例えば軽トラックや曲線の屋根を持つ車のように、そのままではルーフテントを搭載できない車に対しても工夫して載せてしまうということであり、実際にそれを実現させたメーカーがいくつも存在するのだ。そんな逞しいメーカーも入り混じった、ルーフテントを搭載したキャンピングカーを紹介していこう。
軽トラック×ルーフテント⁉
軽トラックをキャンピングカーにカスタムする場合、写真のようなシルエットの、シェル(居住空間)を荷台に載せた「軽トラキャン」や、車体の構造から改装した「軽キャブコン」をイメージする人が多いのではないだろうか。そもそも軽トラックの屋根面積ではルーフテントを搭載するのは困難な話である。
しかし、兵庫県姫路市にある板金加工会社WACHSTUM(ヴァクストゥン)は、軽トラックの荷台にフレームを載せることで、この問題を解消。「大切な車を傷つけずカスタムできればもっと楽しくなるのに!」という想いから、軽トラックの板金に穴をあけずに装着できるラックフレーム「RacKtra(ラクトラ)」を開発。耐荷重は約700kgを確保しており、すべてのパーツをボルトで固定できるので、自分で着脱することも可能だ。RacKtraはスバル サンバーS500Jや、スズキ キャリィDA16Tをはじめ、多くの軽トラックに対応している。これはキャンピングカーを自作するDIYキャンパーにとっても興味深い商品ではないだろうか。
(写真左)ラックフレームが一式揃ったセットは価格26万6200円~。(写真右)鍵付きで、左右の扉が開き、スライドさせて中身を取り出せるラクトラボックスMは価格20万3500円。中に水が入らないので、着替えや焚き火用の薪などを入れるのにも便利だ。写真=WACHSTUM
イベント会場には、実際にRacKtraにルーフテントを搭載した姿も展示されていた。このルーフテントはiKAMPER(アイキャンパー)というブランド製。iKAMPERは世界46か国で販売されており、品質の高さにこだわった韓国創業のハイブランドだ。超高密度のポリコットン生地は撥水機能や通気性も素晴らしく、サラサラとした気持ち良い肌触り。ルーフテントは雨風や紫外線にさらされ、外側のシェル部分と生地への負担が大きいため、材質や構造はよく確認しておいた方が良い。
このモデルは「X-Cover2.0」と言い、天板を180度展開することで床面積が増えるソフトシェル型だ。前室や横窓にもフレームが仕込まれ、しっかりとテンションが張られた状態を保つので、撥水機能がしっかり働き、風でのバタつきも少ない。3~4名で寝られて、3分で設営と収納が可能。価格は49万5000円。 (写真左)設置した状態で梯子の段が水平になっているのが伝わるだろうか。他社製のルーフテントは設置した際に段が水平ではない仕様も多く、靴を脱いだ状態で昇降した際の足裏への負担差は歴然。(写真右)別売りのステップカバーを装着すれば、昇降時のストレスはさらに減る。
また、iKAMPERの正規代理店「エムクライム」から聞けた話では、キャンプに行く頻度が月1~2回程度ならば、無理せず20万円くらいのルーフテントでも充分で、年間で数十回もキャンプに行く人には、長く使えるiKAMPER のようなハイエンド向けが良いというアドバイスをもらった。
こちらは同じくiKAMPERより、シェルをパカッと開いて1分でセットできる2人用ハードシェルルーフトップテント「Skycamp3.0」。価格は62万7000円。
(写真左)Skycamp3.0のテント内イメージ。(写真右)6.4cmの厚みがあり、結露も防止してくれるマットレス。写真=iKamper Japan
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ジムニー顔をした軽バンが登場!
ジムリィ×ルーフテント!?
オリジナルパーツ開発やカスタムスタイルの提案をしている横浜のT-STYLE AUTO SALESからは、ジムニーとエブリイを合体させた「ジムリィ」が出展。広いキャビンと便利なスライドドアを持つエブリイに、フェンダーやバンパー、ボンネット、ラジエターグリルなどを組み合わせてフェイスキット化(価格33万円)させ、ジムニー顔にしたモデルを提案している。同時にシートやエクステリアをカスタムできるベッドキットや、バンパーをリフトアップさせたキットも展開しており、その完成度の高さで人気を博している。
クルマのボディカラーに合わせた日本製のグラヴィス・ルーフテントは価格30万8000円(塗装は別料金)。大人2名での就寝が可能で、そのぶん車内はウッドラックやシート下収納などが充実しており、エブリイの広いキャビンを有効活用している。この外装・内装をカスタムしたコンプリート車両の価格は398万円だ。
同じくT-STYLE AUTO SALESから出展されていたジムリィ。ルーフテントに加えてサイドオーニングも追加することで、さらに広くのプライベート空間を確保している。
テント状のサイドオーニングから後部座席へ直接アクセスが可能。サイドオーニングは収納した状態でルーフキャリアの側面に装着しておけるため、ジムリィのコンパクトさを損なうことはない。
ルーフバルコニー×ルーフテント!?
埼玉県川越市に拠点を構え、ステンレスやパイプ加工を得意とするSUXON RACINGからは、トヨタ ハイエースのカスタム車両が出展。ルーフテント横のスペースに、大変珍しい車上バルコニースペースを確保している。ルーフテント用とは別の梯子から登るが、ルーフテントの横窓からの出入りも可能。遮蔽物がなく、イベント会場を一望できた。これはぜひ大自然の中で体験してみたい眺めだ。
5分で設置できるALUDOA(アルドア)のハードトップカバータイプのルーフテントは大人2名と子ども1名で就寝可能。価格は37万1800円。そしてなんと、車両からルーフテント、サイドオーニング(タープ)に加え、焚き火台、調理台、薪台、たいまつ台、回転テーブルまで含めて価格350万円! ワンオーナーの中古車両とはいえ、これは破格ではないだろうか。
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日英のレトロ&クラシックなキャンピングカーが登場!
ランクル60 LOVE×ルーフテント!
ランクルやハイエース、USトヨタの新・中古車を扱うflexdreamからは、ランクル60をオマージュしたキャンピングカーが出展。希少なランクル60に乗りたがる人が増える一方で、入手も難しく、旧車ゆえにメンテナンスも大変だという声を受け、比較的入手しやすいランクル80をベースにエクステリアをランクル60に近付けることで生まれた「FD-classis86」というシリーズ。
ルーフテントはオーストラリアの「ARB」より、超軽量ながら丈夫なハードシェルタイプの「エスペランス ルーフトップテント」を搭載。調光可能なLEDライトが内蔵されている。大人2名+子ども1名で就寝が可能。
見た目はレトロで中身は快適な仕様は、ランタンやシュラフのような旅を連想するアウトドアギアと相性が抜群。フルフラットの引き出し付きベッドもARB製のアクセサリーだ。
英国クラシック×ポップアップルーフ!
英国のクラシックカーやビンテージカーのレストアや架装を行うRAGERSより、英国生まれのクラシックキャンピングカー「BEDFORD」が出展。こちらのショートボディのモデルには、なんとポップアップルーフが内蔵されている。これから調整して販売される予定とのこと。
ヴィヴィッドなレッドカラーの4つの座席は中央を歩いて移動できる。後部座席やガスコンロが設置してあるスペースへは、リアドアから出入りが可能。
展示されていたBEDFORDとは別車両だが、ポップアップルーフを展開した様子がこちら。(c)harlequin9 – stock.adobe.com
こちらはロングボディのBEDFORD CA。ポップアップルーフは内蔵していないが、3列7人乗りできるだけのスペースがあり、8ナンバーのキャンピングカーとして登録が可能。価格550万円で販売中だ。
まとめ
好きな車をキャンピングカーに変えられるルーフテントは、決して一過性のブームではなく、キャンピングカーに憧れる人にとって有効な選択肢になるだろう。自然の中で眠る際に、安全や利便性を求めるなら車中泊を、季節や気候に生物の気配も、非日常の楽しみとして捉えられるのなら車上泊にするなど、さまざまなシチュエーションで検討してみよう。