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最終更新日:2024.01.09 公開日:2022.08.16

自動車税を払ってないと車検ができない?~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.05】

交通問題やクルマに関する相談について、法律の見地から分かりやすく解説する連載「クルマと法律」。今回は、自動車税を支払わなかった場合の車検や売買の手続きについて、弁護士・山崎勇人先生に話を聞きました。

文=弁護士・山崎勇人

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 今回の相談はこちら
「自動車税を滞納していても、車検は受けられますか? また、売買することは可能でしょうか?」

自動車税を滞納していると車検を通せない?

相談者:前回(クルマと法律vol.04)は、自動車税を支払わなかった場合の延滞金や差し押さえなどについて相談しました。自動車税を滞納したままにしていたら、他にもリスクやデメリットはありますか?

山崎弁護士:もちろんです。まず、自動車税を納付しないと、車検が受けられずに公道を走行することができなくなるというリスクがあります。

 車検は2年(新車は3年)に1回のサイクルで受けるものですが、その際、自動車税を納めたことを証明する納税証明書が必要になります。納税をせず、車検を受けずにいると、いずれは車検切れとなり公道を走ることができなくなります。仮に、車検が切れた状態で公道を走った場合には刑罰の対象となりますので、注意が必要です。

相談者:納税証明書はどうやって入手すればよいのですか?

山崎弁護士:納税証明書は、金融機関やコンビニなどで自動車税を支払った場合には、ハンコが押された半券(納付書の右側の部分)として直接受け取ることができます。

相談者:そういえば、最近は、クレジットカードやペイジーを利用して自動車税を納付できると思うのですが、その場合、納税証明書はどうなるのでしょうか?

山崎弁護士:クレジットカードやペイジーを利用して自動車税を納付した場合、納付書の右側に付いている車検(継続検査・構造等変更検査)用の納税証明書は利用できません。そのため、以前は、納税後に地方自治体から納税証明書が送付されるという流れになっていました。

 ただ、現在は、国の各運輸支局・自動車検査登録事務所で自動車税(種別割)の納付状況を電子的に確認しています。そのため、納付後すぐ(概ね1週間以内)に車検を受けるなど一部の場合を除き、納税証明書は原則として不要となりました。そのため、納税証明書を送付しないという地方自治体も多いと思います。

相談者:2年前に、新車でクルマを購入したばかりだったので、今まで意識していませんでしたが、納税しないと、車検が受けられないのですね。覚えておくようにします。

自動車税を滞納しても売買は可能?

(c)xiaosan – stock.adobe.com

山崎弁護士:他にも、自動車税を滞納した状態だと、自動車を売買する際にデメリットが生ずる可能性があります。

 例えば、中古車買取店にクルマを売却しようとした場合、買取店側から納税証明書の提示を求められることが一般的です。納税をしていない場合、「納税を済ませてから改めて売却を検討していただきたい」と言われ、買い取りを断られるのが通常だと思われます。中には、クルマの買い取りとあわせて自動車税の支払いを代行してくれる買取店もあるかも知れませんが、当然、自動車税と延滞金の金額が買取金額から差し引かれることになります。場合によっては納税代行手数料がかかることも考えられますので、納税を済ませてから売却するのがよいでしょう。

相談者:納税しないと、クルマを売れないということですね。

山崎弁護士:売ること自体はできますよ。例えば、自動車税を滞納した状態のまま、家族間でクルマを譲渡したり、オークションなどの個人売買でクルマを売ったりすることは可能です。ただ、そのような場合、自動車税をどちらが負担するかをめぐってトラブルになったり、購入したものの車検が受けられなかったりすることが大いに予想されます。買主の方で未納の自動車税を負担するという取り決めになっていればよいのですが、そのような取り決めをしないまま安易に売買をしてしまうと、取引後に思わぬ紛争に発展するリスクがあります。取引前に納税を済ませておく、あるいは、自動車税の負担について当事者間で協議して、取り決めをしておくことが大切ですね。

相談者:未納のまま売ることができたとしても、色々と問題が起こりそうですね。そうならないようにしっかりと自動車税を払っておこうと思います。ありがとうございました。

<連載「クルマと法律」前回の記事は、下記リンクからご覧いただけます>
自動車税を払わないと延滞金や差し押さえが発生する?~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.04】

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