国連が自動運転の上限速度を時速130キロに緩和。車線変更も可能に
国土交通省は、6月24日、スイスのジュネーブで開催された国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)で、日本が提案した自動運転や安全運転支援の技術に関する国際基準の改正案などが合意にいたったと発表した。
国際基準で、自動運転の上限速度が時速130キロに
6月21~24日、スイス・ジュネーブで第187回国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が開催された。同会議は、安全で環境性能の高い自動車を世界的に普及させるために、自動車の安全・環境基準を国際的に調和し、各国が行う自動車の認証が相互承認できるようになることを目的として開かれているもの。大きく「1958年協定」と「1998年協定」の2グループに分かれるが、日本とEUは両協定に参加し、1998年協定にはアメリカ、中国、インドなども参加している。
国際会議ではなにかと存在感を問われることも多い日本だが、このWP29では多くの共同議長、副議長等を努めており、日本が議論を主導することの多い会議でもある。
このWP29で、今回、高速道路での自動運転の上限速度を時速60キロから時速130キロに引き上げることが合意された。従来の時速60キロ上限では、高速道路で自動運転が使えるのは渋滞したり混雑しているときにに限られるが、時速130キロ上限ならスムースに流れている状態でも自動運転が使えることになる。同時に乗用車に限られるが、車線変更機能の追加も合意された。
もちろん、今回合意されたのは国際基準なので、この基準をもとに各国でルールを作ることになる。日本の最高速度のルールが時速130キロになるわけではないので、決して間違わないように。また今回の合意は、対応するレベル3の自動運転車の登場が前提だ。CM等では、まるで自動運転を実現したかのような新車の広告も行われているが、それらのクルマはすべてレベル2の運転支援車であり自動運転車ではない。くれぐれも気をつけたいところである。
バックアラームや騒音対策強化についても合意
今回のWP29では、同時に次のような基準も合意された。
ひとつは、トラック、バス等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)に関する基準。またトラック、バス等の後退時に警報音を発する後退時警報装置(バックアラーム)についても、周辺の歩行者の安全対策として、環境面にも配慮した音での適切な情報提供のあり方や技術要件が、合意にいたった。
さらに、自動車騒音対策強化に対応する国際基準の改正も合意された。自動車騒音に関しては、加速走行試験、追加騒音規定等がすでに決まっているが、より実際の交通環境を反映した試験条件とする改正案が合意されたという。