首都高料金改定から1か月。さて、その効果は?
2022年5月24日に国土交通省は「首都高速道路等の料金改定後(1か月)の交通状況」という資料を発表した。それによると長距離利用と都心通過、朝夕ピーク時の交通量が減少し、深夜利用と千葉外環道は増加。これらによって首都高速道路の渋滞が緩和されたと述べている。
渋滞損失時間は前年比で約-10%
2022年5月24日に国土交通省は「首都高速道路等の料金改定後(1か月)の交通状況」という資料を発表した。この資料は、同年4月1日から首都高速道路の普通車の上限料金が1320円から1950円に値上げとなり、同時に深夜割引の導入や大口・多頻度割引の拡充、千葉外環迂回利用割引の導入などが行われた後の1か月の首都高速やC3外環道、C4圏央道等を含む首都圏高速道路の交通量を集計・分析したものだ。
それによると、料金改定後から1か月の首都高速道路の交通量は、長距離利用(36km超)と都心通過が減少、深夜利用の増加の一方で朝夕ピークなど日中の利用が減少し、首都高速道路の渋滞が緩和されたという結果となった。その詳細については以下のように発表している。
1:首都高速道路の長距離利用が減少し、都心通過が減少
- 首都高速道路の全体交通量はコロナ感染拡大による行動制限※のあった2021年(令和3年)とほぼ同水準の103万台/日。
- 距離別では、長距離(36km超)の利用が約-2%の減少。一方、短距離(36km以下)の利用は約3~2%台の増加(回復)。
- 都心通過利用は前年から約-1%の減少。コロナ以前の2019年(平成31年)と比較すると約–5%の減少
※東京都において2021年4月12日からのまん延防止等重点措置、4月25日からの緊急事態宣言。埼玉県、千葉県、神奈川県において同年4月20日からのまん延防止等重点措置のこと。
2:千葉外環道(三郷JCT-高谷JTC)の利用が増え、都心通過が減少
- 千葉外環迂回利用割引が適用される三郷–神奈川方面(三ツ沢・狩場・並木・浮島)は、首都高速道路6号三郷線経由の利用が減り、都心通過利用の減少に寄与。
- 6号三郷線の渋滞損失時間は約-7%の減少、6号向島線の渋滞損失時間は約-9%の減少。
- 千葉外環の交通量は前年から約1%の増加。
3:首都高速道路の深夜利用が増加する一方、朝夕のピークなど日中の利用が減少
- 首都高速道路で新たに深夜割引が導入され0時~4時の交通量は前年比で約13%の増加。
- 4時~24時の交通量は約-2%の減少。
- 朝ピーク時間帯の7時台の交通量は約-4%、夕方ピーク時間帯の17時台は約-2%減少。
4:首都高速の渋滞が緩和
- 首都高速道路の渋滞損失時間は前年比で約-10%の減少。コロナ禍前の2019年(平成31年)比で約-28%の減少。
- 交通が集中するJCTの合流などに起因する渋滞が緩和。
全国的には交通量&渋滞が増加傾向
今回の発表された資料には参考として「全国の交通状況」も発表した。それによると「首都高速道路の交通量は前年の2021年から横ばいであるのに対して、全国的にはコロナ禍前の水準に回復する傾向がみられる」「渋滞は、首都高速道路では減少しているのに対して、全国的には増加している」とした。
資料にはNEXCO3社(東日本、中日本、西日本)と阪神高速道路の交通量と渋滞量・渋滞損失時間が記載されており、NEXCO3社の交通量は2022年4月が前年比で約2%の増加、渋滞量が前年比で約12%の増加。阪神高速道路の交通量は前年比で約3%の増加、渋滞損失時間が前年比で約25%の増加だった。対して首都高速道路の交通量は前年比±0%、渋滞損失時間は約-10%の減少。同じ都市高速なのに首都高速道路と阪神高速道路では交通量の変化が真逆の結果となった。