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最終更新日:2020.12.24 公開日:2020.12.24

角田裕毅が2021年からF1フル参戦。オンラインで意気込みを表明

2021年にアルファタウリ・ホンダからF1にフル参戦する角田裕毅が、12月21日にオンライン取材会を行った。そこでF1に至るまでの過程や2021年シーズンへの意気込みを語った。日本人F1デビューとしては最年少となる20歳の若武者の横顔を、モータースポーツライターの大串信が紹介する。

文・大串信(モータースポーツライター)

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誰よりも短い距離でF1への切符をつかみ取った20

最新F1マシンのコクピットに座る角田裕毅 写真:ホンダ

 モータースポーツマニアでもなければ聞き覚えのない名前が、スポーツニュースなどでにわかに浮上している。その名は角田裕毅(つのだゆうき)。2021年、小林可夢偉以来7年ぶりの日本選手としてF1グランプリに参戦する弱冠20歳(202012月現在)の青年である。これまでF1公式戦に出走した日本選手は19人いるが、角田は20人目のF1ドライバーになる。これまで最も若くしてF1にデビューした日本選手は200722歳だった中嶋一貴であり、角田は日本選手最年少記録を2歳も縮めることになる。

2020年1215日にアブダのヤス・マリーナ・サーキットで、最新F1マシンのアルファタウリ・ホンダAT01をテストした角田裕毅。この後に2021年のF1デビューが発表された 写真:ホンダ

 角田は4歳でレーシングカートを走らせて以来、F1目指してまっしぐらに突進した。近年F1グランプリをはじめとする4輪レースを目指す若い選手の王道は、レーシングカートから自動車メーカー系レーシングスクールに入校、4輪レースを学びつつスカラシップを獲得して国内ジュニアフォーミュラへ進出するというステップを踏む。

限定Aライセンスの16歳から国内レースに参戦

 言うまでもなくフォーミュラカーレースに参戦するためにはモータースポーツ国内Aライセンスが必要になる。日本の国内Aライセンスの取得条件は年齢20歳かつ運転免許証の所持だが、近年はレーシングカートで規定の実績を記録すれば16歳で限定Aライセンスを申請できる。角田は「JAF・地方カート選手権 東地域(FS-125クラス)」で2013年にシリーズチャンピオン、2015年には総合2位になり、実績の点では限定Aライセンス申請資格を満たした。しかし、2016年に鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)へ入校した段階ではまだ16歳になっておらず、運転免許証はもちろん4輪レースに出場するためのライセンスは所持していなかった。

 レーシングスクールでフォーミュラカーの走り方を学びながら16歳になるのを待った角田は5月、16歳の誕生日を迎えるやいなや限定Aライセンスを取得。8月のFIA-F4日本選手権第11戦でフォーミュラカーレースにデビューした。FIA-F4は、若手選手を育成するため4輪レース入門カテゴリーとしてFIA(国際自動車連盟)が制定した国際共通規格のジュニア・フォーミュラカーで、日本国内でも日本選手権が2015年から始まった。

 限定Aライセンス取得直後に4輪レースデビューを飾った角田はいきなりデビュー戦で2位表彰台に上がり、その非凡な才能を発揮した。2016年度のSRSで好成績を収めスカラシップを獲得した彼は翌2017年からFIA-F4シリーズにホンダの育成ドライバーとして本格参戦、2年目の2018年にはシリーズチャンピオンとなって上位カテゴリーへ進級する権利を得た。

名門育成プログラムの一員として海外へ

 このときホンダは、角田を国内の上位カテゴリーではなく、ヨーロッパでFIA-F4の上位カテゴリーとして開催されているFIA-F3選手権へ送り込んだ。この采配には、ホンダとともにF1グランプリを戦うレッドブルの意向も関わっていたようで、角田はこの時点でレッドブルの育成プログラムであるレッドブル・ジュニアの一員に抜擢されている。

 これまで4年連続F1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンらF1で大活躍した選手を輩出した名門育成プログラムのレッドブル・ジュニアは、F1チームのレッドブル・レーシングとセカンドチームであるスクーデリア・アルファタウリ・ホンダに直結するまさにF1への入り口である。F1はもう目と鼻の先だった。

2020年、F1デビューのために戦ったFIA-F2選手権での角田裕毅(ゼッケン7) 写真:ホンダ

 本場ヨーロッパの関係者にもF1に進出できる才能の持ち主と認められる存在になった角田はヨーロッパ1年目、FIA-F3選手権をシリーズ4位で終えると2年目の2020年はF1直下のカテゴリーであるFIA-F2選手権に進出した。あとはここで好成績を残してF1の参加条件であるスーパーライセンスを獲得するだけだった。

2021年、ファンに見てほしいのは「攻める走り」

 新型コロナ禍に揺れた2020年のヨーロッパで角田は戦い続け、FIA-F2選手権シリーズではポールポジション4回、優勝3回という成績を残しランキング3位でシリーズを終えて晴れてスーパーライセンスを獲得、F1進出の準備を終えた。このシーズン、記録に残る成績以上に角田はそのアグレッシブな戦いぶりで本場ヨーロッパのレース関係者に自分を印象づけた。その結果、12月のうちにアルファタウリ・ホンダと2021年のF1参戦に向けた正式契約が結ばれたのだった。

 F1デビューを目前に角田は言っている。

 「自分の走りは、攻めるところに持ち味があると思うんです。日本のレースファンの皆さんには日本GPで、他のドライバーよりもコーナーの奥に突っ込んで向きを変えるぼくの走りを見ていただきたいです」

 角田は歴代F1日本選手の誰よりも短い距離を走り抜けてF1へ到達した。そして2021年、いよいよF1ドライバーとして新たな生活のスタートを切ろうとしている。

2020年シーズンの角田裕毅 写真:©Dutch Photo Agency/Red Bull Content Pool

角田裕毅プロフィール

生年月日:2000511日生まれ
出身地:神奈川県相模原市
レーシングキャリア概要:
2016年 鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)卒業
2017 JAF-F4 東日本シリーズ シリーズチャンピオン・日本一決定戦 優勝
FIA F4日本選手権 シリーズ 3
2018 FIA F4日本選手権 シリーズ チャンピオン
2019 FIA F3選手権 シリーズ 9位(Jenzer Motorsport1勝 表彰台3
ユーロフォーミュラ・オープン・チャンピオンシップ シリーズ4位(Motopark
2020年 FIA F2選手権 シリーズ 3位(Carlin3勝 表彰台7回 ポールポジション4


角田裕毅の最新F1マシンテストや2020FIA-F2での写真は、
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