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最終更新日:2021.06.20 公開日:2021.06.20

自動車盗難件数ランキング2020。ワーストは2年連続であのクルマ。

警察庁の発表した犯罪統計資料によると、2020年の自動車盗難件数は5210件。3年連続で1万件を下回った。減少傾向にある自動車盗難だが、依然としてゼロにはならない。自動車盗難の統計から、狙われやすいクルマや盗難場所、時間帯の傾向を見てみよう。

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自動車盗難件数は3年連続で1万件を下回る

自動車盗難認知件数の推移。 出典:警察庁「犯罪統計資料」をもとに編集部で作成

 警察庁の発表した犯罪統計資料によると、2020年の自動車盗難の認知件数は5210件。昨年の7143件から1933件減少し、3年連続で1万件を下回った。自動車盗難件数のピークは2003年の6万4223件。ピーク時と比較すると、実に90%以上も減少している。

盗難件数1位は2年連続でランドクルーザー

 全体的には減少傾向にある自動車盗難件数だが、依然としてゼロにはならない。どんな種類のクルマがいつ、どこで盗難被害に遭っているのだろうか。一般社団法人日本損害保険協会による第22回自動車盗難事故実態調査の結果から、自動車盗難の傾向を紹介しよう。

【実態調査の実施概要】
調査期間:2020年11月1日~30日
調査対象:損害保険会社18社(損保協会非会員会社を含む)
対象事案:全国で発生した車両本体の盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)で、調査期間内に保険金の支払いを行った事案(車両本体の盗難調査総数は158件、車上ねらいの調査総数は121件)
※同調査は、保険金請求のあった事件・事故データに基づいたもの。あくまで保険金請求実績に基づくため、保険金請求がされていない事件・事故の件数は含まれない。

車名別盗難状況(車両本体盗難)。※クラウンには、マジェスタ、エステートを含む。ランドクルーザーには、プラドを含む。スカイラインには、GT-Rを含む。マークには、クレスタ、チェイサー、マークX、マークツーを含む。ハイエースには、レジアス、グランビアを含む。レクサスには、レクサス店販売車種全てを含む。 出典:日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査」

【2018年度調査】
1位:レクサス 66件
2位:プリウス 41件
3位:ランドクルーザー 35件
その他:151件
合計:277件

【2019年度調査】
1位:ランドクルーザー 42件
2位:プリウス 39件
3位:レクサス(LX) 25件
その他:126件
合計:232件

【2020年度調査】
1位:ランドクルーザー 25件
2位:プリウス 22件
2位:レクサス(LX) 22件
その他:89件
合計:158件

 2020年度の調査結果によると、盗難件数の合計は158件。前年度の232件から74件減少した。

 車両本体の盗難件数が最も多かったのはトヨタ・ランドクルーザー(プラドを含む)で25件。ランドクルーザーは、前年度に引き続き、2年連続で1位となった。

 2位は、トヨタ・プリウスとレクサスLX。どちらも盗難件数は22件だった。

 プリウスは、前年度の39件から17件減少。2017年度までは4年連続で盗難件数1位であり、約60件も盗難されていたが、以前と比較すると大幅に減少している。

 レクサス・LXは、前年度の25件から3件減少。しかし、レクサスは車種(LX、LS、IS、RX)別に集計されていることに留意したい。LX単体で見ると25件だが、4車種の盗難件数を合計すると44件もある。

 2019年度の調査と比較しても、3位までの顔ぶれに変化はなく、特定の車種に盗難被害が集中していることがわかる。また、今年の傾向としてトヨタ・クラウンの盗難件数が増加している。

 一般的に、トヨタ車は海外でも人気が高く、高値で売買されることが狙われる要因だと考えられている。また、ランドクルーザーなどは悪路走破性が高いこと、レクサスLXやアルファード、ハイエースは人や荷物の大量運搬に適していることから、発展途上国で人気が高いともいわれている。 

自動車盗難件数1位は大阪府

 次に都道府県ごとの自動車盗難件数(車両保険金支払い件数)を見てみよう。

都道府県別自動車盗難件数(車両保険金支払い件数)。 出典:日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査」

都道府県別自動車盗難件数(車両保険金支払い件数)
1位:大阪府 40件
2位:千葉県 26件
3位:茨城県 19件
4位:愛知県 17件
5位:埼玉県 12件

 2020年に盗難件数が最も多かったのは大阪府で40件。大阪府は2018年まで3年連続で1位だったが、昨年度は大きく減少して4位となっていた。しかし、昨年から12件と大きく増加し、再び1位となった。

 2位は、昨年度に引き続き千葉県で26件。昨年より盗難件数は6件減少したものの順位に変化はなかった。

 昨年1位だった茨城県は19件。昨年の57件から38件も減少させて3位。また、例年、ワースト3常連となっている愛知県は、昨年より11件減少して4位となって常連の汚名を返上した。

 とはいえ、順位こそ変動しているものの、例年ワースト5までの顔ぶれは変わらない。その5府県を合計すると114件で全体の約9割を占めることもわかる。これらの地域の共通点は、国際的な貿易拠点となる大きな港があること。自動車を狙う犯罪組織は、盗んだ自動車をすぐに船で運びだせる場所が狙い目であると考えているのだろう。

盗難発生は深夜~朝に集中!

 次に自動車盗難の発生時間帯を見てみよう。

自動車盗難の発生時間帯。 出典:日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査」

【自動車盗難の発生時間帯】
・深夜~朝(22時~翌9時)66.5%
・日中(9~17時)12.7%
・夜間(17~22時)10.8%
・不明 10.1%

 昨年度の自動車盗難は、約7割が22時~翌9時までの深夜から朝にかけて起こっていることがわかる。どんな犯罪でも言えることだが、暗がりで見つかりにくいことが、犯行には好都合なようだ。また、多くの人が寝ている時間帯なので、長時間の駐車が多いことも盗難が増える理由だろう。


 次に自動車盗難の発生場所を見てみよう。

自動車盗難の発生場所。 出典:日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査」

【自動車盗難の発生場所】
・契約駐車場(屋外) 40.5%
・自宅(屋外) 37.3%
・契約駐車場(屋内)8.9%
・自宅(屋内) 5.1%
・その他 10.4%

 昨年度、自動車盗難が最も多く発生した場所は、契約駐車場(屋外)で40.5%。次いで37.3%が自宅(屋外)だった。多数の人が出入りする契約駐車場は予想通りだが、自宅の駐車場での盗難が多いことは意外だと思うかもしれない。しかし、実は過去の調査では3年連続で自宅(屋外)での盗難が最も多かった。自宅駐車場であっても油断は禁物なのである。

自動車盗難を防ぐためにプラスワンの対策を!

 自宅に駐車している自動車が盗まれるとなると、どのように対策をすれば良いのだろう。愛知県警は、単に車の施錠をするだけでなく、以下のようなプラスワンの対策をとるように呼びかけている。

・ハンドルロック、タイヤロックをする
 ハンドルやタイヤを物理的にロックすることで盗難防止になる。また、視覚的なアピールにもなり、犯人が嫌がるので抑止効果があるという。

・車載GPS装置を取り付ける
 車両純正でGPSが搭載されている車種もあるが、犯人は純正GPSを無効にすることもある。犯人に見つかりにくい場所に別途GPSを取り付けることで、車両の位置情報を確認し、発見することができる。

・ナンバープレート盗難防止ネジを設置する
 犯人は、窃盗後にナンバーを付け替えて移動するという。ネジ頭が特殊な形状をしたネジに変更することで、ナンバーの取り外しが難しくなり盗難防止となる。
 
・カギの管理をする。
 玄関先や事務所のキーボックスに入れたカギが盗まれ、自動車も盗まれる被害も多く発生しているという。また、スマートキーシステムの電波を悪用した「リレーアタック」という手口で、カギが開けられることもある。電波を減衰する効果のある専用ケース、ブリキやアルミホイルなどの容器に入れて、分かりにくい場所で保管する。

・車のセキュリティ状態をチェック
 盗難被害に遭っている車種の多くは、ドアのこじ開けなどでクラクションが鳴るようなメーカー標準のセキュリティシステムが装備されている。しかし、システムの設定がオフになっている場合もあるという。ディーラーなどでシステムの状態を確認しておきたい。

 犯人はあらかじめ狙いを定めて下調べをし、犯行の機会を窺っている。車両盗難に遭わないために、普段から防犯対策をしておきたい。特に、大きな港に近い都道府県に住み、屋外に駐車している盗難に遭いやすい車種のオーナーの方々は、より注意が必要だろう。また、狙われる車種は、海外の情勢によって変化しているという。ここに挙げた車種以外のオーナーも十分に注意して欲しい。


 なお、同調査結果は保険金請求のあった自動車盗難件数に基づいた発表である。これらは、あくまで保険金請求実績に基づくため、保険金の請求されていない盗難は含まれないことには注意しておきたい。例えば、車両保険に入っていない車種の盗難などは含まれない。その意味では、今回発表された盗難件数は、全盗難件数の一部でしかないといえる。

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