SUPER GT 2021年シーズンが開幕。初戦はトヨタが圧勝
高性能なスポーツカーを改造した車で競うSUPER GT(スーパーGT)の開幕戦が、岡山国際サーキットで開催された。トップカテゴリーのGT500クラスはトヨタ、日産、ホンダが全精力を傾けて開発したレーシングカーたちが毎戦、激しいレースを繰り広げている。その2021年開幕戦をモータースポーツライターの大串信がレポート。
新型コロナの影響で2年ぶりの開催となった岡山国際サーキット
2021年度SUPER GTシリーズ開幕戦が岡山国際サーキットで開催された。例年、シリーズ開幕は岡山国際サーキットで開催されてきたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い年間スケジュールが見直された影響で岡山戦はキャンセルとなったため、2年ぶりのSUPER GT開催となった。なお、GT500クラスでは、今季に向けては空力面での改良が凍結されたため、コース上を走行するマシンはすべて昨年と同一のデザインとなっている。
開幕前合同テストでは昨年のチャンピオンカーであるNSX-GT勢が速さを見せており、その速さは土曜日午前中の公式練習まで持続し、このままNSX-GTが公式予選、決勝と主導権を握るかに思われた。ところが公式予選が始まってみると突然GR Supra勢が勢いづき、予選Q1セッションではQ2セッションへ進出できる上位8台のうち上位4台を含む6台が並び、NSX-GT勢は2台のみ、GT-R勢に至っては1台もQ2へ進出できないという、GR Supra優勢の結果に終わった。
新鋭ドライバーがポールポジションを奪取!
注目すべきは、新型コロナウイルス感染防止策を受けて入国できなかったゼッケン37 KeePer TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズの代役を務めた新鋭、阪口晴南が見事なタイムアタックでポールポジションを獲得したことだ。GT500でも新しい才能が開花し始めたようだ。
セーフティーカーが2回入る波乱のレース
日曜日の決勝は前日に引き続き快晴の空の下で始まった。スタートすると、ポールのゼッケン37 KeePer TOM’S GR Supraの阪口、ゼッケン14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也)、ゼッケン36 au TOM’S GR Supra(関口雄飛)らGRスープラ勢が上位を固めてレースをリード、中団にNSX-GT勢とGT-R勢が続く展開となった。
レースが動いたのは中盤の33周目、コース上の停止車両を排除するため2回目のセーフティーカーがコースインしたときだった。このタイミングにほとんどのマシンが一斉にドライバー交代のためのピットインを行ったため、ピットは大混乱となった。
この混乱が収まったとき、トップに立ったのはゼッケン14 ENEOS X PRIME GR Supraを大嶋から引き継いだ山下健太だった。2番手に続いたのはゼッケン36 au TOM’S GR Supraを関口から引き継いだ坪井翔で、山下との間隔を縮めにかかった。一方それまでトップを守っていたゼッケン37 KeePer TOM’S GR Supraはピット作業に手間取り順位を落としてしまった。
レース後半はゼッケン14 ENEOS X PRIME GR Supra(山下)とゼッケン36 au TOM’S GR Supra(坪井)が、GR Supra同士で激しい格闘を繰り広げ場内を沸かせた。コースの各所で坪井は山下に襲いかかるが山下も冷静にこれを押さえ込んで首位を守り続ける。結局レースも終盤になった75周目、バックストレートエンドで勝負に出た坪井はオーバースピードでオーバーラン、2番手は守ったものの山下には大きく遅れて決着がついた。
予選で中団に沈んだNSX-GT勢は、レースでは安定した速さを見せGR Supra勢に追いすがった。その結果、9番手スタートだったゼッケン17 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)が5位、14番手スタートだったゼッケン8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が7位、11番手スタートだったゼッケン1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀)が8位に入賞して選手権ポイントを獲得した。
GT-R勢では、ゼッケン23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が一時期6番手まで順位を上げたが、アクシデントに巻き込まれるなどしてリタイア、最上位はゼッケン3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)が9位に入賞するにとどまった。
優勝したゼッケン14 ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋は「あんな状態で押え切ってくれた山下をすごいと思った」とパートナーを称え、山下は「坪井選手を押えるのに一杯いっぱいで、ちょっと強引に行かなければならないところもあったので申し訳なかったのですが、とにかく勝ててよかったです」と語った。
なおGT300クラスでは、昨年のシリーズチャンピオンであるゼッケン56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ)が激戦を制して優勝を遂げた。次戦は5月3日~4日、富士スピードウェイで開催予定である。
<2021年 FIAインターナショナルシリーズ SUPER GTカレンダー>
第1戦 4月9日~11日 岡山国際サーキット(岡山県)
第2戦 5月2日~4日 富士スピードウェイ(静岡県)
第3戦 5月28日~30日 鈴鹿サーキット(三重県)
第4戦7月16日~18日 ツインリンクもてぎ(栃木県)
第5戦 9月10日~12日 スポーツランド菅生(宮城県)
第6戦 10月22日~24日 オートポリス(大分県)
第7戦 11月5日~7日 ツインリンクもてぎ(栃木県)
第8戦 11月26日~28日 富士スピードウェイ(静岡県)
新型GR86、BRZが展示!
トヨタ、日産、ホンダのSUPER GTマシンの写真は
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