ヤリスの販売台数が、5年振りで軽1位を上回る!2021年新車販売台数ランキング
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)は、2021年1~12月における車名別新車販売台数(軽自動車を除く)を発表した。車種別では2年連続で「トヨタ ヤリス」が1位となったが、これは軽自動車で1位のホンダN-BOXの販売台数を上回った。乗用車・小型車1位が、軽自動車1位を超えるのはなんと5年ぶり。
乗用車・小型車は前年比96.8%、軽自動車は96.2%
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)は、2021年1~12月における普通乗用車と小型乗用車の新車販売台数が239万9862台と発表した。前年比96.8%へ減少した。
一方、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)は、2021年1~12月における軽自動車(軽四輪)の新車販売台数が165万2522台と発表した。前年比96.2%に減少。
2021年は、アジア各国で新型コロナウイルス感染拡大からロックダウンを余儀なくされた。これにより自動車部品工場は休業に追い込まれた。それに世界的な半導体不足も加わり、自動車メーカーは新車を生産しようにも部品が調達できずに工場の操業を休止する「生産調整」をせざる得なかった。そのような要因もあって、2020年の新車販売台数は乗用車・小型車は3年連続で、軽自動車は2年連続で前年を下回ることとなった。
そして2022年になっても新型コロナウイルス感染症拡大は予断を許さない状況であり、半導体不足も続きそうだ。
次は車種別のトップ10を紹介
乗用車・小型車では2年連続でヤリスが1位
車名別での新車販売台数ランキングでは、21万2927台を販売したヤリスが2年連続で1位を獲得。さらにヤリスの販売台数は、軽自動車新車販売台数1位であるホンダN-BOXの18万8940台を上回るもの。2017年から2020年までの4年間では、乗用車・小型車の新車販売台数1位よりも、軽自動車のN-BOXが上回り続けていた。つまり、久しぶりに乗用車・小型車が「1番売れた車」を奪還したことになる。
続いて、トップ10に入った車種に関する2021年のモデルチェンジやグレード追加、一部改良などの情報を紹介する。
まず3位のトヨタ カローラは、9月にシリーズ初のSUVであるカローラ クロスをラインナップに加えた。
5位の日産ノートは、8月に内外装を充実させたグレードであるノート オーラを発売。また2021-2022カーオブザイヤーを受賞している。
6位のトヨタ ライズは11月にe-SMARTを搭載したハイブリッド車を追加し、同時に2WD車のエンジンを従来の1リッターターボから1.2リッター自然吸気に変更するなどの一部改良を行った。
8位のトヨタ アクアは、7月にフルモデルチェンジを行っている。アクアは2022年上半期の新車販売台数をどこまで伸ばすかに注目だ。
また2022年はホンダ ステップワゴン、トヨタ ノア・ヴォクシーがフルモデルチェンジを行い、日産セレナもモデルチェンジが近いと噂されており、これらミニバンが新車販売台数にどのような影響を与えるかにも注目したい。
軽自動車では7年連続でN-BOXが1位
軽自動車の車種別ではホンダN-BOXが18万8940台で首位となった。これは7年連続の快挙。同車は2020年12月のマイナーチェンジも7連覇の原動力となったようだ。また1位から4位までは2020年と同じ車種であるスズキ スペーシア、ダイハツ タント、ダイハツ ムーヴが入っている。これら車種はモデルチェンジを行っておらず、底堅い人気を感じさせる結果となった。
その他、前年を上回る数字を残した車種としては、5位の日産ルークス、6位のスズキ ハスラー、7位のスズキ ワゴンR、9位のダイハツ タフトがある。数字を伸ばしたそれぞれの要因としては、ルークスが2020年2月に発売され、2020-2021年のKCAR・オブ・ザ・イヤー受賞などが追い風となった。しかし、2021年12月にエアバッグやシートベルトに安全試験で基準値を満たしていない可能性があり、その調査のため現在は生産と出荷を停止している。
ハスラーは2020年12月にフルモデルチェンジしており、その結果があらわれたのが2021年だったといえる。
ワゴンRは、8月に新グレードのワゴンRスマイルを発売しており、今までと違った丸目のヘッドライトなどの外装と充実した内装で人気を博した。
タフトは、5月に価格を抑えたターボ車の新グレード「Xターボ」と、アクセントカラーをダークシルバーとした特別仕様車「クロム ベンチャー」を追加したり、ライバル車より低価格ながら大型ガラスルーフや電動パーキングブレーキなどを装備しているという要素で販売数を伸ばした。
さて次は、トップ10に入った上記以外の車種に関する2021年のモデルチェンジやグレード追加、一部改良などの情報を紹介しよう。まず1位のN-BOXは12月に電子制御パーキングブレーキを装備するなどの一部改良を行った。
2位のスペーシアは一部改良として、12月にコネクテッドサービスに対応する通信機器を装備や安全装備の充実を図った。
10位のアルトは12月にフルモデルチェンジしている。
N-BOXの大ヒット以降の軽自動車は、各自動車メーカーが魅力あるトールワゴンを発売し、マイナーチェンジなどで熟成を重ねてきていている。そのため各車の魅力は拮抗している。その中でユーザーが求めているのはコストパフォーマンスのようだ。車体価格と装備内容を吟味して、コストパフォーマンスが高い車種を求めるように見える。その代表例が、2021年に販売台数を伸ばした日産ルークスやダイハツ タフトではないだろうか。
2021年の新車販売台数をメーカー別でグラフ化すると
トヨタが約57%、ホンダが約11%、日産が約9%のシェア
次に乗用車、貨物車、バスを含めたメーカー別の新車販売台数を見てみよう。1位はトヨタで141万2738台(前年比97.9%)。2位はホンダで26万8186台(前年比94.5%)。3位は日産で23万419台(前年比95.2%)と、それぞれ販売台数を落した。円グラフで示したように上位3社のシェアは、トヨタが約57%、ホンダが約11%、日産が約9%と全体の約77%を占めることとなった。
各社とも前年比減のなかで2021年に販売台数を伸ばしたのは、レクサスの5万1118台(前年比104.2%)と三菱の3万1911台(前年比126.0%)の2社。ちなみに輸入車の新車販売台数は34万4552台(前年比108.4%)であり、これは2位に入る数字だ。東日本大震災以降の輸入車はブランド数が増え、さまざまなモデルが正規輸入されるようになり、シェアを徐々に伸ばし続けている。
乗用車、貨物車、バスを含めた2021年の新車販売台数は、444万8288台(前年比96.7%)だった。2020年は459万8527台。2019年の519万5134台以降、新車販売台数は2年連続で500万台を下回る結果となった。新型コロナウイルス感染症や半導体不足などといった新たな問題が減少した主な原因であるが、これらを克服した後に500万台に戻せるかが、国内自動車業界の今後を占う指標となるかもしれない。
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