高速道路の除雪車運転・操作が2022年に自動化
冬の高速道路の雪氷対策の要、除雪トラックやロータリ除雪車の運転は熟練の技が必要だ。NEXCO東日本では、そのような車両の運転・操作をGPSやIoTで自動化する研究を進めている。2022年の完成を目指している除雪車の自動化に関する次世代技術を紹介しよう。
熟練した高度な技術が必要な除雪トラックの操作
除雪トラックやロータリ除雪車の運転・操作は、雪による視界不良や、積雪で路面の状況が把握しにくいため、オペレーターに熟練した高度な技術が求められる。例えば、ロータリー除雪車で雪にうずもれたガードレールに接触させないように路肩を走行する運転技術や、除雪トラックで積雪で見えない路面の継ぎ目(ジョイント)に引っかからないようにプラウ(雪かき)を上げ下げするタイミングの習熟などは、長年の経験がものをいう。これらの作業は、今はガードレールやジョイントの位置を教えてくれる音声ガイダンスを頼りに、熟練した技術者が手動で行っている。
GPS連動した除雪車の自動化システム
NEXCO東日本は除雪トラックやロータリ除雪車のオペレーターたちの高齢化が進む中、彼らの熟練した技術をGPSと連動した集中操作システムに継承し、自動化する研究を進めている。
1つは、ロータリ除雪車の自律運転だ。GPSの準天頂衛星みちびきでロータリ除雪車の位置情報を誤差数cm単位で把握し、高精度地図情報と比較。その情報をロータリ除雪車の自動操作システムと連動させることで、ガードレールを避けたり、非常電話を雪で埋もれさせなくするなどのきめ細かい除雪作業を、自動化して行おうとしている。
また、手動で行われていた除雪トラックのプラウの上げ下げについても、みちびきから補正された車両位置情報と、高速道路上の構造物を記録した3次元情報を連動させることで、ジョイントに引っかからないように自動で上げ下げするシステムの開発も進んでいる。
現段階では、両システムとも試験場でのテストが成功しており、2022年の実用化を目指している。これらのシステムが完成すれば、経験の浅いオペレーターでも精度の高い除雪作業が可能になるのと同時に、熟練オペレーターにとっても、夜間など厳しい環境での操作負担の軽減や安全性の向上が期待できる。
【動画】準天頂衛星システムを活用したロータリ除雪車自動化の開発