「ポータブル電源」が車中泊やキャンプをもっと快適にする|森 風美の車中泊。ただ今、軽バン改造中 vol.6
女子キャンパーとしてさまざまなメディアで活躍中の森 風美(もり ふうみ)さん。もともと「徒歩キャンパー」だった彼女は、「車中泊キャンパー」にもなるべく2019年4月に人生で初めてクルマを購入! 選んだクルマはHonda「バモス ホビオ※」です。この連載では、DIYや純正アクセサリーを使いながら「女子キャンプのための車中泊スタイル」を完成させていく道のりを紹介していきます。6回目は車中泊に欠かせない「ポータブル電源」について教えていただきます。サブバッテリーも検討したという話もお見逃しなく!※2018年5月に販売終了
記事提供元/カエライフ
森 風美(もり ふうみ)
年間80泊するほどキャンプを愛し、女子でも楽しめるキャンプスタイルをSNSで発信している女子キャンパー。女性向けアウトドアWebメディア「なちゅガール」の編集長も務める。ほか雑誌・テレビ・イベント出演など幅広い分野でも活躍中。アウトドア料理の万能スパイス「motteco(もってこ)」の開発も手がける。
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車中泊やキャンプで大人気の「ポータブル電源」とは?
こんにちは! 2020年1月からボーダーコリーを飼い始めた森 風美です。犬の名前は「どんちゃん」です。
さてさて、車中泊をするなら必ず持っておきたい大容量ポータブル電源(ポータブルバッテリー、蓄電器とも)ってご存知ですか? 最近は車中泊だけでなく、キャンプをする人にも人気が出ている便利なアイテムです。
ざっくりですが、こんなメリットがあると思います。
◆電力量が100Wh〜700Whと大きい
スマホを充電するための小さなモバイルバッテリーを持っている人も多いと思いますが、ポータブル電源はもっと大きな電気を持ち運べます。一般的なモバイルバッテリーの電力容量はだいたい5〜10Wh(ワットアワー)※。ポータブル電源は機種によって幅はありますが、だいたい電力容量は100Wh〜700Whと大容量です!
※5~10Wh(ワットアワー)とは、5〜10Wの電力を必要とする電化製品を1時間(h)使える電力容量を表わします。
◆USB端子に加え、一般家電が使えるコンセントがある
一般的なモバイルバッテリーはUSB端子しかなく、USBの機器しか使えません。でも、ポータブル電源にはUSB端子だけでなく、自宅と同じAC電源(コンセント)が使えることが最大のメリット。つまり一般家電を屋外でも使うことができるんです(ただし最大電力の出力は機種によって上限が決まっています)。
◆発電機より音が静かで排ガスが出ない
ほかに屋外でAC(コンセント)が使えるものといえば、お祭りの屋台でおなじみの発電機もありますが、ガガガガガガーっと大きな音を立てて電気を作るので、キャンプ場ではマナー違反です。その点、ポータブル電源は作動音が静かで排ガスが出ません。
続いてキャンプでもフル活用できるポータブル電源を、どんな風に車中泊に活用しているのかをご紹介します。
私が愛用しているポータブル電源はHondaの「リベイド」
私が普段から使い倒しているのは、Hondaの「リベイド」というポータブル電源です。クルマもHonda、ポータブル電源もHondaとなると「こいつHondaの回し者か!?」と思われそうですね。
実はコレ、この連載が決まる数年前にアウトドアブランドCHUMS(チャムス)のフォトコンテストに応募したとき、抽選に当たって賞品としていただきました。ちょっと自慢っぽくなってしまいましたが、私は当時大学生で5〜7万円ほどする高額なポータブル電源を買うお金がなく、とってもとってもうれしい賞品だったのです。
リベイドの基本スペック
リベイドの重さは5.3kgで小さいお米1袋くらい。サイズは27×18×20cmと中玉スイカ1個くらい。持ち運びに便利なサイズです。
リベイドをフル充電するために必要な時間は、約6時間です※。自宅のコンセントからはもちろん、クルマを走行させながらシガーソケットからも充電ができるのがとっても便利! うっかり自宅で充電し忘れても、走行しながら充電できるし、長い車中泊の旅で電源の心配をしなくていいのはかなり心強いです。
さらにちょっとしたことですが、リベイドは充電しながら電気を使うことができるのも優秀!
※使用温度環境やバッテリーの劣化具合により、充放電寿命は変化します。
詳細を見ていきましょう。上写真でわかる通り、自宅と同じAC出力(コンセント。100V、5A、正弦波)が2つ、USB端子も2つあるので、最大4つの電化製品をつなぐことができます。
リベイドに蓄電できる電力容量は377Wh。最大出力500Wの電化製品なら35分、300Wの電化製品なら約1時間、電気が使えます。な~んて数字でいわれても正直全然ピンと来ないですが、2.5Wのスマホなら約40回充電可能、18Wの扇風機なら9~15時間使えるようです。
実はこのリベイド、東日本大震災がきっかけで開発されました。「家族5人で1週間ほど必要な電気をまかなう」「充電は1日1回フル充電」を想定して作られています。電力量も重量感も大きすぎず小さすぎず、実際に使っていてほどよいスペックだと感じます。
また、電気の使用状態を表示する出力インジケーター(電池のマーク部分)が「いま何ワット使っているのか」を教えてくれます。いちいち家電の使用電力を調べるのが面倒な私にとっては、超ありがたシステムです。
夏でも冬でも快適に! 私がリベイドにつないでいる電化製品
実際、私が車中泊するときに使っている電化製品はこちらです。
◆USBを使用
- スマホ、カメラ、ミニスピーカーなどの充電
- バッテリー式サーキュレーター(=ミニ扇風機)の充電(夏)
◆コンセントを使用
- パソコンやゲーム機(ニンテンドーSwitch)の充電
- 蓄熱式湯たんぽの充電(冬)
- 電気ブランケットの使用(冬)
夏のアイテム、ミニサイズのサーキュレーター(扇風機)
夏の車中泊では車内が蒸し風呂状態になることもあるので、少しでも空気の流れを作って涼しくするために、サーキュレーターを使っています。このアイテムはサーキュレーター、ランタン、LEDライト(手元灯)、モバイルバッテリーと4つの機能を兼ね備えた便利グッズです。直径113mm×高さ196mmとコンパクトで場所を取らないサイズも、軽自動車で車中泊する私にはありがたい!!
冬のアイテム、電気ブランケット(毛布)と湯たんぽ
自宅のように暖房が使えない冬の車中泊では、おもに暖をとるためにポータブル電源を使っています。冷え込んできたらリベイドに電気ブランケットをセット。強モードは43Wh(=1時間に43W消費)ですが、実際就寝時に使うときはほんのり温かい弱モードにするので、4Wh(1時間に4W消費)と省電力。朝まで体全体を温かく包んでくれ、快適に過ごせます!
また、暖房の補助として使っているのが、キャンプで人気になりつつある蓄熱式の湯たんぽ。コンセントにさして約15分充電すると60℃ほどの温かさになり、気温にもよりますが3〜6時間持続するアイテムです。お湯を沸かしたり、こぼしたりする心配がないので安心して使えます。私はいつも寝るときに足先が冷え冷えになってしまうので、足元に忍ばせています。
ほかにも電気ポットやミニ冷蔵庫などの電化製品が気になっていますが、今のところキャンプで使うコンロやクーラーボックスで事足りているので、購入は見送っています。
本格的なキャンピングカーに設置する「サブバッテリー」はハードルが高い!
ちなみに本格的なキャンピングカーの多くは、ポータブル電源ではなく、クルマのエンジンと連結したサブバッテリーをつけて電力を確保しています。クルマでの走行やソーラーパネルで自家発電した電力をサブバッテリーに充電して、車内で冷蔵庫や照明、冷暖房などの電化製品を使えるようにする、とっても便利なものです。
ただ、私の軽自動車にも取り付けようと思えば付けられるのですが大きな問題が…。サブバッテリーを設置するにはプロに依頼する必要がありますし、本格的なものではうん十万円とかなりお高くなってしまうのです。
サブバッテリーは電気や機械に詳しい人なら個人で取り付けられないこともないようですが、ド文系の私には無理…!
インバーターの波形の違いやらコンバーターで直流を交流に変換するやら、ディープとリチウムの違いやら専門的な要素が多い。さらに配線や電圧の計算を間違えれば火災につながる可能性があります。
だから私にとっては、難しいこと抜きにして気軽に扱えるポータブル電源がぴったりだったのです。
持ち運べる電源があれば、旅やアウトドアライフがもっと潤う!
ポータブル電源はサブバッテリーと違ってクルマに固定されていないからこそ、キャンプをするときにも好きな場所に置けて、AC電源(コンセント)のないキャンプ場にも気負わず行けるのが魅力的。山奥でも自由に電気が使えるのは、本当にすごいことなんですよ!!
今はお気に入りのリベイドちゃんの電力容量で特に問題はありませんが、実はソーラーパネルもちょっと気になっています。車中泊で旅をする人の中には、コンパクトなソーラーパネルで発電して、ポータブル電源に電気をチャージしているケースも見かけます。
ただし、ソーラーパネルは安くて軽いものから高くて重いものまであるようで、クルマに設置するタイプだと燃費や走行感もかなり変わりそう…。もう少しリサーチが必要です。
次回はちょっぴり番外編! 私がずっと憧れていた「あの収納」をクルマに設置するため、ホンダカーズに行ってきました! お楽しみに。
※本記事に掲載された情報は、記事公開時時点のものです。
文・写真/森 風美
※この記事は、カエライフに2020年4月6日に掲載されたものです。