自動運転中の事故なら等級が下がらない自動車保険。東京海上から
東京海上日動火災保険(株)は、2021年4月以降に始期を迎えるすべてのノンフリート自動車保険で、レベル3以上の自動運転中に起きた事故で保険金を支払っても、その事故はノーカウント事故として、次の更新契約時に等級を下げないことを発表した。近く登場が予想されるレベル3自動運転車を想定した、業界初の取り組みである。
自動運転中の事故なら等級が下がらない保険
東京海上日動火災保険は、レベル3以上の自動運転中に起きた事故を、更新契約時に等級が下がらないノーカウント事故※1扱いとすることを発表した。これは2021年4月以降に始期を迎える同社のノンフリート自動車保険※2のすべてが対象となる。また、追加の保険料の負担なく適用されるそうだ。ただし、整備不良等により被保険者に責任が生じる場合は適用外となる。
2019年5月に道路交通法等が改正され、道路の種類や速度、天候などの使用条件はつくものの、自動運転が可能となった。当面は、使用条件内で自動運転中であっても、自動運転のシステムがドライバーに運転交代を要求した際にはドライバーがただちに交代する必要がある、レベル3といわれる自動運転である。とはいえ、自動運転中であれば、ドライバーはスマホを操作するなどの「ながら運転」が許される。
そのような自動運転中に生じた事故の損害賠償については、強制加入となる自賠責保険、任意加入の自動車保険ともさまざまな議論が行われてきた。そして、事故の状況によっては、自動運転中であっても、ドライバーに相手方への損害賠償責任が課せられる場合が考えられている。
この場合、損害賠償は、自賠責保険や、任意自動車保険から支払われたとしても、従来の契約だと等級が下がり、更新契約の際に保険料が高くなっていた。同社では、自動運転中の事故にも関わらず、ユーザーが不利益を被るのは納得できないかもしれないと想定し、自動運転中の事故へのノーカウント適用になったという。
偶然かもしれないが、同社の発表と同日に、ホンダが世界初となる自動運転レベル3の型式指定を取得したとの発表があった。まだまだ検討が必要なことや、多くの議論はあるものの、自動運転のためのクルマ社会の環境整備は着実に進みつつある。
※1ノーカウント事故:保険契約者に過失がなく相手の保険で補償される事故や、クルマ以外の他物との衝突・接触事故などのこと。ノーカウント事故であれば、次回の更新時に等級が下がらない。ノーカウント事故となるケースは契約した保険の内容によって異なる。
※2ノンフリート自動車保険:運転する人の事故履歴により、保険料の割引率が変わってくる自動車保険。割引率は1から20の等級に分けられている。事故を起こして保険を利用すると次回契約更新時には、1~3等級(割引率)下がることになる。