進化しすぎ!? 高速道路SA・PAの最新式トイレがスゴイ!
高速道路SA・PAのトイレが大進化! 「いいトイレ」づくりを重要課題として掲げるNEXCO東日本の取り組みを中心に、最新式お手洗いの世界をお届けします。
ここ数年、高速道路のトイレが劇的に変化していることをご存じでしょうか? かつて公衆トイレといえば「臭い」「暗い」「汚い」と、ネガティブなイメージがつきまとうものでしたが、今やそれも昔の話。全国のSA・PAでは、快適で便利な空間として新世代のトイレの設置が推し進められています。今回は、2005年の民営化以降、積極的に設備改修を行ってきたNEXCO東日本の取り組みについてご紹介します。
空室が一目瞭然! 案内板で行列解消。
必死でトイレに駆け込んだのに、まさかの満室!? 広いトイレの中で空室がどれか分からず大慌て!という状況に追い込まれた方も少なくないのではないでしょうか? 体調が悪いときは特に耐え難い状況ですよね。
そんな時に大活躍間違いなしの画期的なソリューションが、「満空表示板」です。これまで分かりづらかったお手洗いの利用状況を、トイレ入口に設置したモニターに一括表示することで、ひと目で空ブースを確認できるようになりました。同社は、この満空表示板の導入によって、混雑時の利用回転率をアップし待ち時間の短縮を期待できる、と説明します。
「空室」と「満室」の判断は、トイレの扉に備え付けられた開閉センサーによって行われます。ここで得た「一人平均利用時間」「ブース専有時間及び利用者率」などの利用状況データを元に、トイレブース増設の必要性の有無判断にも役立てているのだそう。
さて、NEXCO東日本では、最新のSA・PA以外の施設においても、視認性が高く、既存のトイレにも容易に取り付けが可能なサインの設置を進めています。こちらは電源や配線等が不要で工事費の削減、工事期間の短縮化ができることなどから、より多くの地域で活用が進んでいるようです。
トイレで忘れ物はもうしない!?
トイレで多く発生するトラブルのひとつに、利用後の忘れ物があります。近年は、携帯電話の置き忘れが後を絶ちません。そこで開発されたのが「忘れ物防止トレイ」です。その仕組みを知ってビックリ! なんとトイレの鍵に直接荷物置きが付いており、置いた荷物を取らないと鍵を回せない仕組みになっているのだとか。でもあれ、意外とアナログ的発想!?
NEXCO東日本の話によれば、この装置を最初に導入した北海道内8か所のSA・PAでは、年間80件程度あった忘れ物を年間4件まで減らすことに成功したそうです。
「高速道路での忘れ物は、気づくのが遅くなると利用者も戻るのが難しい上に、特に北海道は管轄区域が広いので、利用者が忘れてきた可能性のあるSA・PAまで確認をしにいくのは大変負担の大きい作業でした。その苦労から生み出されたこの『忘れ物防止トレイ』は、利用者のみならず管理者にとっても非常に役立っています」と同社。その効果、てきめんのようです。
ちなみにNEXCO中日本でも、忘れ物発見センサーの導入が拡大中で、こちらは忘れ物だけでなくトイレ内の急病人も検知可能なのだとか。天井に設置されたセンサーがトイレ内のヒトやモノの動きのシルエット(輪郭)を検知。入室前と後でシルエットの差分をAI分析で識別して、忘れ物があることを知らせてくれるそうです。いやはや、いま日本中の高速道路でトイレのハイテク化がスゴイことになっています。(参考記事:https://kurukura.jp/car-life/20200306-80.html)
世界中の誰にとっても、使いやすいトイレを目指して
NEXCO東日本では、文化やマナーの異なる訪日外国人にも日本のトイレの利用マナーを周知し、快適・便利に使っていただけるようにと、ピクトグラムの統一や利用案内の多言語化(4か国5言語)を推進しています。注目は、新たに「温水洗浄便座」のピクトグラムが策定されたこと(2019年2月)。もうこれはどう見たって温水洗浄便座そのもの(!)。4年に1度の国際的スポーツイベントは残念ながら来年に延期となりましたが、日本流トイレのおもてなしで世界中の人たちに喜んでいただけると嬉しいですね。
時代に合わせた進化を遂げるSA・PAのトイレ
かつては必要最低限の施設に過ぎなかったSA・PAのトイレですが、高速道路の設備が改修されていく中で、ユーザーから次第に清潔で快適なトイレを求める声が多くなってきたそうです。
最近のSA・PAトイレの変化を象徴するエピソードとして、NEXCO東日本の担当者は「男性大便器の数は、10年前に比べて約1.8倍必要です。それは、トイレが清潔で快適になったことから、1人あたりの平均利用時間や大便器利用率が増加しているためです」と語ります。利用者のニーズに応えて、かくも変貌を遂げていたとは驚きですね。
時代に合わせたトイレのサービスを提供できるよう、NEXCO東日本にはトイレへの知見が深い「トイレマニア」がいるのだとか。その理由は、トイレは一度作って終わりではなく、ユーザーに利用してもらい、管理して、次に改修する時や新しいトイレをつくるときは経験を踏まえて設計していくというサイクルを繰り返しているため、なのだそう。
快適で便利な空間を追求するNEXCO東日本のトイレ、つぎの10年は果たしてどうなっているのか今後の展開が楽しみですね。