高速道路の路肩にいる人の姿は見えていない。その危険をVR動画で実感
故障で高速道路の路肩にクルマをやむを得ず停めた場合、救援を待つ場所は車両後方のガードレールの外が安全とされている。それは後方から走行してくるクルマが、路肩にいる人を視認できるのは通過する直前というケースがあるからだ。そのような後方車からの視点を開通前の高速道路で実験したJAF360度VR動画を紹介する。
ハザードランプのクルマは見えても、人の姿は見えていない
高速道路で事故や故障などにより、やむを得ずクルマを路肩に停車させた際、救援を待つ場所としては、ガードレールの外側に退避することが最も安全だ。警察庁やNEXCOでは、やむを得ず路肩停車となった場合、ドライバーと同乗者には「路上に立たない」「車内に残らない」「安全な場所に避難する」という3原則を告知している。
ハザードランプを点けているから後続車は気づくだろう。故障を確認するために少しなら路肩に立っても大丈夫だろう。クルマを停めたドライバーに、そんな考えがよぎるかもしれない。ところが走行車からは停まっているクルマは見えるが、その周囲にいる作業者は通過直前までほぼ見えていない可能性があることを、JAFの360度VR動画は教えてくれる。
動画では停まっているクルマの後方には停止表示器材があり、ハザードランプも点滅しているので、相手ドライバーは早い段階でクルマに気づいている。しかし右前輪のところで屈みこんでいる人(ダミー人形)に気づいたのは、停止表示器材を通り過ぎた後、停まっているクルマの横を通過する直前だった。気づくのに遅れてしまう理由は、人がクルマに比べてサイズが小さいからである。また後続のドライバーは人がいないという前提で高速道路を走行していることもある。ダミー人形は黄色の上着を着用していたが、これがクルマや道路と同系色の服装であれば気づくのがさらに遅れるだろう。
このことから、軽度の故障なら自分で修理するほうが早く済むと思っても、少なくとも高速道路の路側に停止した状態ではやめておくべきだ。すぐにガードレールの外へ避難し、救援を呼ぶことが安全な対処方法である。また同実験では救援待ちをする避難場所を「車両後方 ガードレールの外」と「停まっているクルマの脇」という2つで比較した動画もある。
後続車が起こす、停まっているクルマが揺さぶられるほどの風圧
路肩に立つことの危険性はまだある。2つの避難場所を比較した動画の後半にある、路肩で停まっているクルマの脇から撮影された映像をよく見てほしい。トラックの通過後に停まっているクルマのボディが風圧で揺さぶられているのがわかるだろうか。通過していくクルマが起こす風圧によって、バランスを崩してしまう可能性も考えらるのだ。
さらに、ハザードをつけ、発炎筒を置いていたとしても、走っていたクルマが路側の駐車車両に突っ込んでくるという事故も起こっている。このように高速道路には一般道とは異なる危険が潜んでいる。路肩にとどまることは、可能な限り避けるべきである。