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最終更新日:2020.03.04 公開日:2020.03.04

2020年3月開通の高速道路インターチェンジ(IC)一覧

年度末の3月は、建設中だった施設が完成を迎えることの多い時期だ。高速道路に新設されるインターチェンジも、複数について開通が発表されている。3月に新規開通する全国のICを網羅した。

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 新たなインターチェンジ(IC)が開通することの効果は大きい。周辺地域から高速道路へのアクセス性が向上することで、物流の効率化、消防・救急活動の時間短縮、災害時に備えた交通網の冗長性の強化、そして観光客の増加などを見込めるからだ。

 しかも近年はETCが普及したことで、スマートICの建設が加速している。スマートICは既存のSAやPAに追加する形を取れば必要な用地もコンパクトに済ませられ、建設しやすく、費用も抑えやすいからだ。今回、新規開通ICうち、既存の高速道路に新設される追加ICを中心に6か所のICを紹介したが、そのうち5か所がスマートIC。さらにそのうちの4か所がSA・PA接続型となっている。なお、高速道路の新規開通路線のICに関しては最後に一覧を掲載した。

【追加IC一覧】
7日(土)15時:E6常磐道・常磐双葉IC(福島県)
20日(金・祝)12時:E3九州道・桜島スマートIC下り線出口(鹿児島県)・SA・PA接続型
21日(土)15時:E2A中国道・湯田温泉スマートIC(山口県)・SA・PA接続型
21日(土)15時:E56松山道・中山スマートIC(愛媛県)・本線接続型
28日(土)15時:E1東名高速・駒門スマートIC(静岡県)・SA・PA接続型
29日(日)15時:E28神淡鳴道・淡路北スマートIC(兵庫県)・SA・PA接続型

E6常磐道・常磐双葉IC(福島県)で期待される復興支援

画像1。3月7日(土)15時に開通する、E6常磐道・常磐双葉ICの所在地。

 3月7日(土)15時に、E6常磐道の大熊IC~浪江IC間に追加されるのが、「常磐双葉(じょうばんふたば)IC」だ(福島県双葉郡双葉町大字寺沢)。大熊ICからは北に5.3km、浪江ICからは南に5.0kmの地点となる。接続する一般道は、井手長塚線(県道256号)だ(画像1)。

 この開通によって、復興支援の呼び水となる期待も高い。さらに、福島第一原発事故に伴う除染・中間貯蔵施設事業と、廃炉作業の進展にも貢献するものと予想されている。

E3九州道・桜島SA(鹿児島県)にスマートIC・下り車線出口の追加で渋滞緩和を目指す

画像2。E3九州道の桜島スマートIC下り線出口(水色と白で塗装された路面の部分)。

 3月20日12時に、E3九州道の加治木IC(かじきIC)~姶良IC(あいらIC)間の桜島SAに追加されるのが、「桜島スマートIC」(同市西餠田)の下り車線出口だ(画像2)。桜島SAはフルのスマートICが整備される計画で、下り線入口と上り線出口は2019年3月にすでに開通済みで、今回の下り線出口の開通で3/4となる。上り線入口の開通時期は未発表だが、フルIC化もそう遠くない時期に実現する予定だ。なお桜島スマートICは加治木ICからは6.2km、姶良ICからは2.5kmの距離となっている(画像3)。下り線出口は、市道鍋倉~触田線(なべくらふれだせん)に接続する(画像4)。

画像3。3月20日(金・祝)12時に下り線出口が開通する、E3九州道・桜島スマートICの位置。

 桜島スマートIC下り線出口の開通により期待されているひとつが、交通分散による渋滞の緩和だ。E3九州道と並走する国道10号の渋滞が慢性化しており、その緩和が期待されている。

画像4。桜島スマートICの空撮画像に、上下線の出入口経路を加えたもの。

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湯田温泉スマートICと中山スマートIC

E2A中国道・湯田温泉スマートICで滞在型周遊観光の促進を目指す

画像5。湯田温泉スマートIC。連絡路のループ部分の舗装面や、のり面などが真新しい。

 3月21日(土)15時に、E2A中国道の山口IC~小郡IC(おごおりIC)間にある湯田PA(ゆだPA)に追加されるのが、「湯田温泉スマートIC」(山口県山口市吉田)だ(画像5)。山口ICからは西に約6km、小郡ICからは東に約6.7kmの位置になる(画像6)。同スマートICはまず市道湯田パーキング線に直通しており、その先で市道御堀平井(みほりひらい)線に接続する(画像7)。

画像6。E2A中国道・湯田温泉スマートIC(山口県)の所在地。

 湯田温泉スマートICの名称にあるように、同スマートIC建設における最大の目的は、湯田温泉街へのアクセス性の向上だ。同温泉街を中心とした滞在型周遊観光を促進することが狙いである。また山口大学や山口情報芸術センターなどへのアクセスも向上することから、同地域のコンベンション機能の強化も期待されている。

 なお湯田温泉スマートICの開通に合わせて、湯田PAも「湯田温泉PA」へと名称の変更が行われる。

画像7。湯田温泉スマートICの平面図兼経路図。赤線が出口ランプのクルマの進行方向で、青線が入口ランプの進行方向。

E56松山道・中山スマートIC(愛媛県)により周辺地域のアクセス性を向上

画像8。中山スマートICの工事中の様子。

 湯田温泉スマートICが開通する3月21日(土)15時は、NEXCO西日本管内でもうひとつのスマートICが開通する。E56松山道の伊予IC~内子五十崎IC(うちこいかざきIC)間に追加される、本線接続型の「中山スマートIC」(同県伊予市双海町上灘)だ(画像8)。伊予・松山方面へのハーフICとなっており、伊予ICからは約7.8km、内子五十崎ICからは16.2kmの距離だ(画像9)。接続する一般道は、市道日尾野引坂線(ひおのひきさかせん、画像10)。

画像9。中山スマートICの所在地。半月型のマークからわかるように、同スマートICは上り線の入口と下り線の出口のみのハーフICだ。

 中山スマートICの整備目的のひとつが、周辺地域のアクセス性と交通ネットワークの冗長性を向上させること。これまで、伊予IC~内子五十崎IC間は約24kmもあり、中山スマートICの建設されている中山地域からE56松山道を利用するためには時間を要していた。しかも同地域を通る国道56号は、土砂災害の危険性があるポイントを複数抱えており、今回の開通により交通網の冗長性が向上する。

画像10。中山スマートICの鳥瞰図兼経路図。上り線入口および下り線出口と国道56号をつなぐのが、市道日尾野引坂線。

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駒門スマートICと淡路北スマートIC

E1東名高速・駒門スマートIC(静岡県)の開通は災害派遣の迅速化にも貢献

画像11。駒門スマートIC(上り線)の完成イメージ図。右下はE1A新東名高速で、その左側が東名高速。

 3月28日(土)15時に、E1東名高速の御殿場IC~裾野IC間の駒門PA(こまかどPA)に追加されるのが、「駒門スマートIC」だ(画像11・12)。駒門PAは上下線で所在地が少し離れて設置されているため、同スマートICもそれぞれ位置が異なる。距離的には、上り線は裾野ICからは4km弱で、御殿場ICからは約6km。下り線は御殿場ICからは約8kmで、裾野ICからは約2kmに位置する(画像13)。接続する一般道の名称は特にないが、上下線とも裾野バイパス(国道246号)に短時間で接続できるようになっている。

画像12。駒門スマートIC(下り線)の完成イメージ図。画像左下から中央上部へ斜めに走っているのが東名高速。

 今回の開通による最大の効果は、周辺地域から東名高速へのアクセス性が向上すること。例えば、駒門スマートIC上り線の近隣に位置する駒門工業団地から東京方面へ向かう場合は、裾野バイパスなどの渋滞区間を通行する必要がなくなることから、最大約14分も短縮可能だという(名古屋方面は最大約7分)。

 また上下線の中間には自衛隊の駒門駐屯地があり、東名高速へのアクセス時間は東京方面で最大約8分、名古屋方面で最大約10分の短縮を実現。駒門スマートICの開通により被災地へ向かう際の経路が多重化され、災害派遣時の迅速な対応が見込まれるとのことである。

画像13。上は駒門スマートICの所在地。下は駒門スマートICの経路図(左が上り線で、右が下り線)。

E28神淡鳴道・淡路北スマートIC(兵庫県)は全国初の民間商業施設直結型

画像14。淡路北スマートICと直結する民間の商業施設・淡路ハイウェイオアシスや、淡路SAなどの空撮画像。

 2019年度最後に完成する追加ICは、29日(日)15時の開通となるE28神戸淡路鳴門道(神淡鳴道)の「淡路北スマートIC」(兵庫県淡路市岩屋)だ。淡路ICのすぐ西側にほぼ隣接する形で建設されている。

 距離のあるIC同士の中間に建設されるのではなく、既存ICに隣接する形で建設されたことには理由がある。ここまで紹介してきた追加ICは、基本的には距離のある既存IC同士の中間地域における高速道路へのアクセス性向上を目的としている。それに対して淡路北スマートICは、全国初となる民間の大型商業施設(淡路ハイウェイオアシス)に直結させていることと、淡路SAの利用者数向上を目的とした、観光の活性化を主目的として建設されているのだ。接続している一般道は通称「モニュメント道路」と呼ばれる佐野仁井岩屋線(県道157号)だ。

画像15。淡路北スマートICの所在地。

 これまで淡路ICから乗るとすぐに神淡鳴道本線となり、淡路ハイウェイオアシスはもちろん、淡路SAの利用もできなかった。一方、淡路北スマートICから乗る場合はまず淡路ハイウェイオアシスに立ち寄ることができ、さらにその先で上下線どちらの淡路SAにも立ち寄れる構造だ。そして淡路SAからは本線に乗れるし、再び一般道にも降りられる。要は食事や買い物、イベントなどを楽しむことだけを目的に高速道路に乗るという活用方法も可能なのだ(通行料は必要)。

画像16。淡路北スマートICの平面図兼経路図。

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最後は3月開通の新規区間一覧

3月は全国で新規開通する高速道路のIC一覧

 追加ICと同様に、2020年3月は全国で複数の高速道路が開通する。その内訳は、都市高速に関しては首都高・神奈川7号横浜北西線の全線が新規開通し、部分開通していた阪神高速・6号大和川線が全線開通となる。都市間高速は、NEXCO中日本管内のE1A新東名高速とC3東海環状道において一部区間が開通。この4路線において開通するICは合計8か所だ。

 これらに加え、国土交通省直轄の無料の高速道路(一般道の自動車専用部、自動車専用高規格幹線道路など)も3月に3路線が開通。こちらは7つのICが開通する。3月1日(日)に開通済みのE45三陸沿岸道路も含め、それら無料の高速道路もリストに掲載した。

1日(日)15時(開通済み):E45三陸沿岸道路(岩手県内区間) ※無料
 ●久慈北IC、侍浜南IC、侍浜IC
7日(土)15時:
E1A新東名高速(神奈川県内区間)
 ●伊勢原大山IC
20日(金・祝)15時:C3東海環状道(岐阜県内区間)
 ●岐阜三輪スマートIC、山県IC(岐阜県)
22日(日)14時:国道44号 根室道路(北海道) ※無料
 ●温根沼IC(おんねとうIC)、根室IC
22日(日)16時:首都高・神奈川7号横浜北西線(神奈川県)
 ●横浜青葉IC、横浜港北IC
28日(土)15時:E62深川・留萌道(別名:幌糠留萌道路、北海道)※無料
 ●留萌大和田IC(るもいおおわだIC)、留萌IC
29日(日)16時:阪神高速・6号大和川線(大阪府)
 ●鉄砲出入口、常磐出入口、天美出入口


 現在建設中のIC、とりわけスマートICは多く、今回紹介した5か所以外にも約50か所においてスマートICの建設が進められている。その上、10か所以上がスマートICの準備段階調査箇所としてリストアップされており、建設が正式決定することを待っている段階だ。すでに開通しているスマートICは全国で約130か所。2020年代のうちにそれが200か所近くになり、全国各地で高速道路へのアクセス性が向上することになるのである。

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