ダブル連結トラックで宅配便大手4社の共同輸送を開始!
近年、少子高齢化により、さまざまな業界で人材不足が問題となっている。総務省によると、運送業就業者のうち、50歳以上のドライバーは、約4割以上。全日本トラック協会の調査によると、ドライバー不足を感じている運送事業者は、6割を超えるという。そんな運送業の人材不足を解決すべく運行開始した「ダブル連結トラック」について紹介しよう。
国土交通省は3月28日、ヤマト運輸・日本通運・西濃運輸・日本郵便が所有する「ダブル連結トラック」を活用し、関東~関西間における宅配貨物などの共同輸送の運行を開始した。
ダブル連結トラックとは?
「ダブル連結トラック」とは、1台のトラクター(牽引車)で2台のトレーラー(被牽引車)を牽引するトラックのこと。2016年10月より実証実験を開始。今年1月29日に本格運用が開始された。また、本格運用開始と同時に特殊車両通行許可基準の緩和も通達。これまで21mが限度だった連結車の車両長の限度が25mになった。これで、トラクター1台で10tトラック2台分の貨物輸送が可能になった。
共同輸送の仕組み
これまでの宅配貨物輸送は、各社個別に手配・運行していたが、今回の共同輸送では、ヤマト運輸がトレーラーを、残りの3社がトラクターを所有し、それぞれの貨物を連結して輸送する。ダブル連結トラックを使用した共同輸送の仕組みはこうだ。
上画像を見てみよう。各社幹線輸送拠点からヤマト運輸の厚木ゲートウェイに個別で輸送。そこで、ヤマト運輸のトレーラーを各社のトラクターの後ろに連結する。例えば、日本通運のトラクターがヤマト運輸のトレーラーを連結して1セットとなる。
そこからの幹線部分(海老名IC~豊田東IC)約450kmの間は、各社がヤマト運輸のトレーラーを牽引して、共同輸送する。
ヤマト運輸の関西ゲートウェイに到着すると。ヤマト運輸のトレーラーを分離。各社個別に幹線輸送拠点へと輸送する。このように、幹線部分においてドライバーを減らすことができるのだ。
国交省によると、トラックドライバーの運転時間を年間で約5割(9157時間)、さらにCO2の排出量を年間で約4割(216.5t)削減できる見込みだ。さらに、ダブル連結トラックの利用促進に向け、高速道路SA・PAでの優先駐車マスの整備や物流事業者のニーズを踏まえた対象路線の拡充を推進していくという。
ダブル連結トラックの運行開始は、ECサイトの急激な発達により、年々ひっ迫していた物流需要に大きな恩恵をもたらしてくれそうだ。人手不足の解消が、スムーズな物流とコストの削減に繋がり、結果的に我々の生活を便利にしてくれるだろう。今後の活躍に期待したい。