10年後を目処に高速道路の料金支払いをETCのみに。国交省がETC専用化の計画を発表
高速道路料金所のキャッシュレス化、タッチレス化推進として、支払方法をETCに一本化するETC専用化のロードマップを、国土交通省と高速道路各社が発表した。発表によると、都市部は5年後、地方部は10年後を目処に、ETC専用化の実現を目指すとしている。また、ETC専用化等の拡大と推進の一環として、車載器助成やETCパーソナルカードの利便性向上も検討していく方針だ。
全国で10年後を目処に、料金所をETC専用化
国土交通省と高速道路6社(NEXCO高速道路3社、首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速道路)は12月17日、料金所での支払方法を基本的にETCのみとする、ETC専用化に向けたロードマップを発表した。国土交通省の社会資本整備審議会国土幹線道路部会は、今年9月、ポストコロナ時代を見据えて加速すべき取り組みとして、高速道路等のキャッシュレス化、タッチレス化の早期実現を推進する方針だ。今回のロードマップは、これを受けて高速道路各社が策定したものである。
ロードマップでは、早ければ2021年度からETC専用化を推進していき、都市部では5年後の2025年度、地方部では10年後の2030年度を目処に完了させるとしている。推進については、まず、ETC利用率や非ETC車の交通量、近隣ICでの代替性を考慮した上で、首都圏を中心に2021年度から一部料金所で試行的に開始される。その後、運用状況を踏まえながら地方部へと順次拡大していく予定だ。
気になるのは、ETC専用化後に残った非ETC車への措置だが、早期に周知、広報を行うことはもちろん、後述のETC利用率向上の対策を行うとともに、しばらくは閉鎖レーンとしてサポートレーンを設けて、そこに料金精算機等を残す等の対策も検討し、混乱を回避していく方向性だ。
サポートレーンでは、インターフォンやカメラで免許証確認もしくはナンバープレートの読み取りを行い、後日支払いの処理を検討しているようだ。将来的にはサポートレーンも撤去し、未払い車両については、監視カメラによる事後徴収が考えられている。
車載器購入助成やETCパーソナルカードのデポジットMaaS引き下げも検討
ETC専用化に向けた利用推進施策については、車載器購入助成やETCパーソナルカードのデポジット下限の引き下げ等を検討していく。ETCパーソナルカードとは、通行料金支払い専用のカードのことで、デポジットを預託することでETCカードの発行を受けることができるというものだ。現在のデポジット下限は2万円、利用限度額はデポジットの80%だが、見直し案ではデポジット下限を3000円へ引き下げ、限度額も100%で利用可能にする方向だという。
国土交通省道路局高速道路課の担当者にこのETC専用化のメリットについて聞くと、「長期的な観点では、支払い方法をETCに統一することで、渋滞緩和や柔軟な料金設定が可能になる」という。
さまざまな移動手段を総合的に組み合わせて効率よく利用できるようにするMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)等も検討される中、ETC専用化で料金を柔軟に変更して運用できることは、社会サービスの向上に大きな意義がある。また、料金所の人員確保や、新型コロナ対策の観点からも、ETC専用化には大きなメリットが考えられる。
一方で、非ETC車への配慮も欠かせない。総合的な観点で対策を進めながら、早期のETC専用化に期待したい。