NEXCO西日本が新料金精算機を導入。3つの課題は解決されるか?
NEXCO西日本は2020年11月5日から、島根県の松江地区(松江玉造料金所・斐川本線料金所)に新しい料金機器の導入を発表した。リモート案内などの充実や、現金とETCシステムの統合により、従来の課題であった誤進入や機器トラブルの応対をリモート案内でスムーズに行えるようになるという。
リモート案内の充実と、ETC専用化に向けた新しい料金精算機
島根県の松江地区に、新しい料金精算機ITCM(Intelligent Toll Collecting Machine)を試行導入することをNEXCO西日本が発表した。導入は、11月5日からすでに開始しており、設置されたのは山陰自動車道・松江玉造料金所と斐川本線料金所の二か所だ。
このITCMの導入にあたり、NEXCO西日本にとって積年の懸案だった3つの課題が解決できるという。それらの課題は、利用者応対や機器トラブルなどにおけるもので、以下の3つが挙げられている。
課題① 精算機などの操作に戸惑う利用者にインターフォンで呼びかけて対応していたが、うまく伝わらないことが多かった。また、誤進入の際には料金所のスタッフがレーンに出て対面による応対を行っていた。その際、料金所のスタッフが事象ごとにマニュアルを参照して対応していたため、スタッフの対応力に差があり、スムーズに対応できないことも多かった。
課題② 現金システムとETCシステムが独立したシステムのため、ETC/一般共用レーンにおいては、車両検知センサーや操作端末は2種類のシステムを準備する必要があった。
課題③ 従来では、誤進入車や通信エラー発生時に、利用者の呼び出しを受けてから料金所のスタッフが直接レーン上に駆けつけて、応対や駐車場への誘導を行っていた。ETC専用化時には、全ての車両が精算時に停止せずレーンを通過するため、交通の流れを妨げないためにも、速やかな応対が必要となる。
まず、課題①の操作方法の案内については、ITCMの盤面に操作順序が自動的にLEDによって示されるようになった。これは、インバウンド対応(多言語表示)や障がい者の使いやすさにも配慮されているという。さらに、新たに液晶モニターも取り付けられたことで、LEDの操作指示では解決しない事象でも、操作手順を動画で案内することが可能になった。
そして、ITCM導入にともない、「お客さま応対センター」を新たに構築。これにより、松江地区の各料金所の応対業務が集約化された。これまでは、スタッフがレーン上に出て随時対応をしていたが、今後はリモートの案内を充実させていくことで、利用者に短時間で案内できるようにする。さらに、利用者とスタッフの物理的な接触を減らすことで、「新しい生活様式」を実現していくと同時に、スタッフの安全対策における効果も見込んでいる。
NEXCO西日本は、この応対センターの新設により、スタッフが応対業務に専念できるようになることから、サービス水準の向上効果にも期待しているという。
次に、課題②については、現金システムとETCシステムを統合。これにより、車両センサー類や操作端末の管理が一括して行えるようになった。例えば、ETC非搭載車両が誤進入しても、レーンを変更することなく、ITCMを活用したリモート操作で一般/ETCの切り替えが可能となるのだ。
将来的なETC専用化に向けて、ITCMはその補助システムとしての役割も担っている。課題③で挙げられているETC専用化時におけるレーン上のトラブルも、新システムを活用することで的確かつ速やかに対応することができるようになる。
今後は、宍道、斐川、三刀屋木次の各料金所にも2020年度内に導入予定。そのほかの地区についても、現行の料金精算機の老朽化による更新のタイミングなどを見計らい、随時展開を図っていくとのことだ。