秋の日のつるべ落としに注意。日没前後のヒヤリ経験は7割以上
爽やかな気候で過ごしやすくなる秋は、日没時間が日に日に早くなっていく季節でもある。それに伴い、夕暮れ時の交通事故が増える傾向にあるようだ。交通事故に遭いそうになって「ヒヤリ」とした経験をしたことがある人は、日没前後に集中しているという調査結果がこの度発表された。視界が悪くなる日没前後の交通事故を防ぐための対策について考えてみよう。
交通事故に遭いそうになった「ヒヤリ」経験は約8割が日没前後
秋の夕暮れは日没が早くなっていく。そして、日没前後の薄暗闇は、安全運転の支障にもなるだろう。それでは、どれだけの人が夕暮れ時の見えにくさを実感し、交通事故に遭いそうになったことがあるのだろうか。医薬品メーカーの森下仁丹株式会社が実施したアンケート調査の結果が発表された。
まず、夕暮れ時に実際に交通事故に遭いそうになった「ヒヤリ」経験は、どの時間帯が多いのか。結果は、「夕方(日没前)」37.8%、「夜間(日没後)」35.8%と、日没前後に集中していた。この結果からは、視界が悪くなる日没前後にこそ、危険が潜んでいる可能性が高いと考えられる。では、実際の交通事故発生件数はどうなっているのだろうか。
警察庁の資料によると、時間帯別の死亡事故件数は、日没前後の17時台~19時台が平均1138件と突出している。やはり、ヒヤリハット経験が集中する時間帯と、実際の死亡事故の発生する時間帯には相関があるといえそうだ。
夕暮れに目が慣れにくいと感じる人は約5割
日没前後に多くの人がヒヤリハットを経験し、実際にその時間帯の死亡事故も多いことがわかった。これは、薄暗闇で見えにくくなることも原因なのだろうか。そこで、夕暮れで周囲が暗くなってくるときに「目の慣れにくさ」を感じたことがあるか、という質問では、47.6%の人が夕暮れ時の暗さにおいて、目が慣れにくいと感じていることが分かった。この「目の慣れ」は「暗順応」といわれているもので、個人差はあるが、一般的に暗順応が完了するまでには30分~1時間ほどかかるといわれている。急に暗い場所に行くと、盲目状態になるのはこの仕組みのためだ。例えば、トンネルを走行する時、ヘッドライトを点灯させても、入ってしばらくの間は周囲の状況が見えにくい状態が続いてしまうような場合である。目が慣れにくいと回答した47.6%の人は、この「暗順応」のしづらさを強く感じているタイプなのだろう。
夕暮れ時、こうした見えにくさを感じていながらも、実際に何か対策をしていると回答した人は全体の約3割にとどまった。具体的な対策としては、夕暮れ時には早めにヘッドライトを点灯し、周囲に自車の存在を知らせるようにすることが大切だ。そして、夕暮れ時に見えにくいと感じたら、少し速度を落として、余裕を持った運転をすることが大切である。また、歩行者も、反射材グッズや明るい色の服を着用するなどして、この時間帯の交通事故を少しでも減らせる努力をしてほしい。10月~12月は、夕暮れの死亡事故件数が最も多くなる時期だ。ドライバーも歩行者も安全をいちばんに考えて、できることを実践していきたいものである。
【「夕暮れ時の目の慣れにくさや交通安全対策に関する調査」概要】
調査主体:森下仁丹株式会社
調査地域:全国
調査対象:20歳~65歳男女550人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年9月9日~9月10日