コロナ禍がもたらしたクルマへの意識変化。「移動×プライベート空間」という新たな価値
株式会社デルフィス(以下、デルフィス)は、「コロナ禍における「移動」「クルマ」に関する意識調査」結果を発表した。結果から窺えたのは、クルマは移動手段というだけではなく、プライベート空間として利用できるものだという価値観だった。
安全な移動手段としてクルマの購入意欲が向上
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言下で約2か月を過ごした。その間、日常生活における行動規範は大きく変化し、いかにして密を避けるか、ということの比重が高まった。今回デルフィスが実施した調査結果から読み取れるのは、そんな社会的な大きな変革の中で生じ始めた、移動・クルマに対する意識の変容だった。
まず「コロナ禍の影響によるクルマに対する認識」を問いかけた結果、「クルマは生活に必要な移動を安全に行うことが出来る」と感じている人が8割いることが明らかとなった。同時に、「クルマの移動は感染リスクを下げることができる」と感じている人も8割に近い割合を占めている。今までの生活においても、車が移動手段として大きな役割を担っていたことは疑いようもない事実だろう。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々はクルマを、感染リスク防止の観点においても安全な生活必需品として捉えるようになったといえる。
また、クルマの需要についても興味深い結果が出ている。「クルマの購入意識の変化」では、「クルマを買う予定があったが、購入中止・延期した」人は11%。それに対して、「クルマを買う予定がなかったが、買いたくなった」人は18%という結果だった。自粛要請の影響で経済的にも見通しが立たないため、高額消費をためらい購入中止・延期をする心情には頷ける。一方でそのような状況であるにも関わらず、クルマを購入したいと思い始めた人の割合が、これほどまでにも多いのは、日常生活においてクルマの必要性が高まっている傾向にあるからこそといえよう。
運転頻度の変化について聞いた結果でも、クルマの運転頻度が増えたと回答した割合は全国で16%、中でも特に高いのは感染者数が多い一都三県で、26%という結果である。これらのことから導き出せるのは、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を要請する社会において、生活者の意識レベルでのクルマの需要が、今後ますます高まっていくだろうということだ。
家族の絆を深めたい一方で、渇望されるプライベート空間の確保
では、今回のコロナ禍の経験を通して、人々は今後どのように暮らしていきたいと思っているのだろうか。TOP3は表の通りで、中でも「家族や身近な人々との絆を大切にしたい」と思っている人が8割を超えていた。一方で、今後の暮らし方において「一人の時間を大切にしたい」とする人も高い割合を占めている。コロナ禍の影響により、気軽に外出できない状況は大きなストレスとなっている。それ故に、今まで以上にプライベート空間が確保できることの大切さもまた、意識され始めたということなのだろう。
続けて、終息後にやりたいことを尋ねた質問では、「気軽に外食を楽しみたい」が64%、「国内旅行・温泉に行きたい」が62%と、外出することを心待ちにしている傾向が見て取れる。屋外での移動の際に、他者と接触しない空間が確保できるマイカー利用は、新しい生活様式の理想形といえるかもしれない。またリフレッシュの側面においても、車は6割以上の支持を集めたともいえる。
近年、自動車と社会のありようは100年に1度の大変革期にあるといわれる。そして5月25日、全国の緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」での生活が本格的にスタートしそうだ。今回の調査結果を見ると、100年に1度の大変革期の中で、新しい自動車の価値が見えてきたともいえそうだ。
【「コロナ禍における『移動』『クルマ』に関する意識調査」概要】
調査地域:全国
調査対象:全国の18歳~69歳男女(第1回:1,000名、第2回:600名)
調査方法:インターネット調査
調査時期:第1回 2020年4月28~29日、第2回 20202年5月11~12日