カーアクションにも注目したい。アニメ「BLACK LAGOON」に出てくる旧車をまとめてみた。
架空犯罪都市を舞台にした、クライムアクション作品であるアニメ「BLACK LAGOON」。迫力あるカーアクションも魅力であるこのアニメの、作中に出てくる旧車をまとめてみた。
アニメ「BLACK LAGOON」という作品をご存じだろうか。2006年に放映された、タイの架空犯罪都市「ロアナプラ」を舞台にしたクライムアクション作品だ。放映が終了してからも、根強いファンが絶えない、アニメファンの間では現在でも評価の高い作品でもある。中でもファンを魅了してやまないのは、作中で繰り広げられるクールなガンアクションと、映画からの引用などが盛り込まれたキャラクターの洒落たセリフ回しであるが、それだけではない。もうひとつこの作品の魅力を語る上で欠かせないのは、街中を駆け抜ける熱いカーアクションシーンである。本記事では、そのアクションシーンに登場する旧車をまとめてみた。
1968年型プリムス・ロードランナー
若者向けのマッスルカーとして開発された、クライスラー社のプリムス。その市販モデルとして1968年に登場したロードランナーは、当時アメリカの若年層の心をつかみ大ヒットした。独特なデザインのパワーバルジや、2ドアクーペのスマートなフォルムはアメ車といって思い浮かぶ代表的なデザインではないだろうか。「BLACK LAGOON」では、主人公ロックも属する運び屋組織「ラグーン商会」で、メカニック・情報収集を担当しているベニーの愛車として登場する。作中では日常から戦闘までさまざまなシーンで目にする、ファンにも馴染みがある車種だ。
1965年型ポンティアック・GTO
シボレーと並び、GMの代表格であったポンティアック。その中でもスポーツモデルとして人気を博したGTOも、アニメシリーズの後半で同じくベニーの愛車として登場する。前述のロードランナーが、壮絶なカーチェイスの末に大破してしまったことでこちらの車種に乗り換えたという設定である。ポンティアックを象徴する2分割グリルや縦二連式のヘッドランプは、個性的なキャラクターたちに引けを取らない存在感でシーンを盛り上げてくれる。こちらも、ファンには馴染みの深い車種だ。
メルセデス・ベンツ・W126
メインキャラクターの一人、張 維新(チャン・ウァイサン)は、香港マフィア三合会のタイ支部ボスとして描かれている。その彼が乗っているW126は、メルセデス・ベンツのSクラス2代目モデルとして1979年から1991年まで製造・販売されていた。いわゆる高級サルーンとしての風格あるデザイン、過剰装飾のない重厚感のあるウッドパネルの内装などに加え徹底した安全性も高く評価された。最上級へのこだわりが詰められた車種である。
一方で、バブル期だった日本では、ウインドウガラスをフルスモークにした、いわゆる “怖い人” が乗っている車というイメージも強いだろう。実はこの作中でも、ガラスはフルスモークになっている。張がリアシートに座って、部下に指示を出すシーンなどでより緊張感を覚えるのは、そうした日本人ならではのW126に対する印象があるからかもしれない。
メルセデス・ベンツ・W140
「BLACK LAGOON」の中で、ファンに強烈な印象を植え付けた、ロベルタというメイドキャラがいる。彼女は、中南米の資産家の若き当主、ガルシアに忠誠を誓っている。おさげ髪と丸眼鏡をかけた姿は楚々としているが、実は過去には「人の皮を被った肉食獣」と呼ばれるほどのゲリラ兵だった。そんな彼女が初登場した時に、前述した主人公たちが乗るロードランナーと過激なカーチェイスを繰り広げた車種がこのW140だ。メルセデス・ベンツSクラスの3代目にあたり、最新の装備や従来よりも拡大したボディサイズは、当時圧倒的な存在感を放った。しかし、高級車としてのフラッグシップモデルとも評される一方で、2tオーバーという重量と威圧的なデザインには批判の声も多かった。それでも隠れた名車として、今もなお人気があることも事実である。ラグーン商会とロベルタのカーチェイスシーンでは、W140の個性的な巨体がさらに迫力を演出することに一役買っているといっても過言ではないだろう。
「BLACK LAGOON」の登場人物たちは、いわゆる悪人ばかりである。しかし、キャラクターそれぞれの善と悪が、小気味よいセリフや迫力ある戦闘シーンと共に描かれるさまは爽快でもある。その爽快さは、本記事で紹介した往年の名車の緻密な描写と、スピード感あふれるカーチェイスシーンにも由来するのだろう。