新型フィットに「テックマチックシステム」が発売。フランツ・システムは?
ホンダアクセスは、新型フィット用に、手足に障がいがある方のための運転補助装置「テックマチックシステム」を4月から発売する。ラインアップは、両足、片足、片腕に障がいのある方向けの各装置となる。先代に用意されていた、両腕に障がいがある方が、足だけで運転できるフランツ・システムの現状もあわせて紹介する。
e:HEVとガソリンエンジン車の両方に装着可能
4代目フィットのe:HEV(ハイブリッド車)とガソリンエンジン車に装着可能なテックマチックシステムが、ホンダアクセスより4月16日から発売される。そのラインアップには、両足に障がいがある方向けの「手動運転補助装置〈Dタイプ〉」、右足に障がいのある方向けの「左足用アクセルペダル〈Bタイプ〉」、片腕に障がいのある方向けの「ハンドル旋回ノブ〈Aタイプ〉」「左手用ウインカーレバー〈Lタイプ〉」と、そのサポートアイテムとなっている。それら補助装置の内容を紹介しよう。
まず手動運転補助装置〈Dタイプ〉は、コントロールグリップとハンドル旋回ノブ(ホーンスイッチなし)がセットとなっている。左手で扱うコントロールグリップによって、アクセル・ブレーキ操作を行い、右手でハンドル旋回ノブを握る。コントロールグリップは、ウインカー、ヘッドランプのハイ・ロービーム切り替え、フットブレーキをロックするなどの各種操作が可能となっている。ちなみにフィットのパーキングブレーキは、ボタンで操作する電子制御タイプが標準装備。
これに対するサポートアイテムとして、アクセル・ブレーキペダルを誤って踏むことを防ぐ「ペダル誤操作防止プレート(Dタイプ用)」が用意される。これは家族や従業員などといった複数でクルマを共用することを想定しており、折り畳むことも可能な構造。
次に左足だけでアクセル・ブレーキ操作が可能となる「左足用アクセルペダル〈Bタイプ〉」は、ブレーキペダルの左側にアクセルペダルを増設する装置だ。これを操作しているとき、誤操作防止のため右アクセルペダルは固定される仕組みとなっている。また前述のペダル誤操作防止プレート(Dタイプ用)と同様に、複数人でクルマを共用することを想定し、右アクセルペダル用の固定ノブとスライドストッパーを動かせば、右足操作も可能になる仕組みだ。
そして片腕でのハンドル操作を補助するハンドル旋回ノブは、A・Dタイプとも球状のノブを採用しているので、さまざまな握り方ができるものとなっている。ただしステアリングヒーター装備車には、どちらのハンドル旋回ノブも装着できない。
最後は、右手でウインカー操作が難しい方に向けの運転補助装置の左手用ウインカーレバー〈Lタイプ〉。
足だけで運転できるフランツ・システムの搭載
2019年10月の記事で、先代の3代目は2016年から、両腕に障がいのある方向けの「フランツ・システム」という、足だけで運転操作が可能な補助装置を導入していることをお伝えした(記事を掲載した時点では、モデルチェンジが近いということで、フランツ・システムの搭載は休止中だった)。そのフランツ・システムが4代目に搭載されるかについて、ホンダアクセスに尋ねたところ。
現在はフランツ・システムを搭載するための開発・調整中とのことだ。そもそもフランツ・システムは、ステアリング操作だけでなく、ウインカー、ヘッドランプ、ワイパー、ホーン、ハザードランプなども足で行えるように変更しなくてはならない。
クルマに装着された状態のフランツ・システムを見ると、変更点の多さに気づく。単に補助装置を取り付けるのではなく、スイッチ類のレイアウトから見直さなくてはならない。このような開発となれば、多くの時間を要することにもうなずける。
テックマチックシステムと同様な機能は、ホンダ以外の自動車メーカーからも発売されているが、フランツ・システムの国内販売はホンダのみとなっている。実用化へ向けた関係者の努力を待ちたい。