ホモロゲの先輩たち、1990-2000年代のWRCホモロゲモデルPart3ランサーエボリューション編
東京オートサロン2020で発表されたGRヤリスは、トヨタがWRC出場に必要なホモロゲーションを取得するために販売するハイスペックなクルマだ。このようなクルマが、1990年-2000年代は各社から販売されていた。Part3では、この時代に発売された三菱ランサーエボリューションのホモロゲーションモデルを紹介。
毎年のように進化を続けたランサーエボリューション
三菱のラリー参戦の歴史は古く、1960年代にさかのぼる。オイルショックによる参戦休止はあったが、オーストラリア、サファリなどのラリーでは数度の優勝を遂げてきた。そして、1980年代に入ると各国のラリーイベントへ本格的な参戦を開始し、スタリオン、ギャランなどといった車種でWRCでの経験値を積み上げていた。
1992年という年は、日本車のWRCホモロゲーションモデルにとって1つの節目といえる。それまでの年間生産台数5000台が、2500台に下げられた年であり、これを契機に三菱とPart4で登場するスバル インプレッサは、毎年のようにホモロゲーションモデルや、WRCに関する限定モデル・グレードを販売していく。
その最初として三菱は、1992年10月から4代目ランサーGSRに、ホモロゲーションモデルである「エボリューション」を追加した。エンジンはピストン・コンロッドの軽量化や、インタークーラー・オイルクーラーの大型化で高出力化。ボディにはエンジンフードをアルミ製に変更して軽量化。もちろんフロントバンパーの開口部の大型化や、エンジンフードにインタークーラー用パワーバルジを設ける、大型リアスポイラーを装備するというWRCホモロゲーションモデルに欠かせない装備も備えた。足回りもフルタイム4WDにビスカス式のLSDを装備し、フロントブレーキも強化された。
三菱ランサーGSRエボリューション主要諸元
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Xまで進化したランサーエボリューション
Xまで進化したランサーエボリューション
ランサーエボリューションは翌年に「II」を販売し、III、IVと毎年のように改良モデルを登場させ、それは2007年のXまで続いた。そして8年後の2015年4月に、最終モデル「Xファイナルエディション」でその歴史に幕を閉じた。
ベース車両であるランサーのフルモデルチェンジに合わせて、エボリューションもフルモデルチェンジを繰り返しており、型式によって大きく4世代に分けられている。エボリューション(車両型式CD9A)からエボリューションII、III(車両型式CE9A)までは第1世代、エボリューションIV(車両型式CN9A)からV、VI(車両型式CP9A)が第2世代、エボリューションVIIからIX(車両型式CT9A)までが第3世代、エボリューションX(車両型式CZ4A)が第4世代とされている。
歴代ランサーエボリューション販売時期
※赤い文字のものはホモロゲーションモデルではなく台数限定モデル・グレードなど。
WRCの成績を振り返ると、ランサーは1996年から99年までトミー・マキネンがドライバーズチャンピオンを4連覇するなどの記録を打ち立てた。しかし1997年にグループAより改造範囲の広いWRカーというレギュレーションが始まると徐々に劣勢となり、2002年以降は休止と参戦を繰り返す。そして2005年に三菱は経営再建を理由にWRCから撤退した。
次回、Part4はインプレッサWRX STi編