C3東海環状道・関広見IC~山県IC間、3月20日に開通。
中京圏の交通を大きく変える第3の環状高速として、全線開通を目指して建設が進められているC3東海環状自動車道。関広見IC~山県IC間が3月20日(金・祝)に開通すると発表された。それと同時に、両ICの中間に位置する岐阜三輪PAと岐阜三輪スマートICも開通となる。
国道475号・東海環状自動車道(C3東海環状道)は、愛知・岐阜・三重という中京圏の高速道路ネットワークを強化することを目的に建設が進められている総延長153kmの環状高速だ(画像2)。E1東名高速・名神高速、E1A新東名高速、E19中央道などと接続し、環状高速としては名古屋高速・C2名古屋第二環状道の外側に位置する。また三重県のM、愛知県のA、岐阜県のGを取った「MAGロード」の愛称をつけられたことからもわかるように、中京圏発展のための期待を背負っているのである(「磁石のように、それぞれの地域を引きつける道路」という意味も込められている)。
今回は関広見IC~山県IC・約9kmの区間が開通
現在、C3東海環状道の東回り区間(延長約76km)はすべて開通し、現在は、西回り区間(延長約77km)の建設が進められている。今回3月20日(金・祝)に開通するとされたのは画像3にある通り、関広見IC(せきひろみIC・岐阜県関市広見)~山県IC(やまがたIC・同県山県市西深瀬)。延長9.0kmの区間で、暫定2車線での開通となる。
山県ICは山県市を大きく変える
今回新たに開通するICのひとつが山県ICだ(画像4)。同ICの開通が山県市にもたらすメリットは、とても大きい。山県市は岐阜市の北側、岐阜県のほぼ中央に位置する。同市には鉄道が通っておらず、利便性の向上には高速道路の開通が必須だった。
これまでは山県市から高速道路を利用しようとすると、山県市役所近辺から関広見ICまでは約20分を要していた。それが山県ICは山県市役所のすぐ近くに建設されており、C3東海環状道を利用できるようになると、およそ半分の約10分で行けるようになるのだ。
そして関広見ICの東には美濃関JCTがあり、C3東海環状道はE41東海北陸道に接続している。山県市から名古屋市の栄まで向かおうとした場合、従来はバスと鉄道を乗り継いで約80分かかっていたが、今回の開通で1時間圏内となる。アクセス性の向上は山県市が名古屋の通勤圏になるのと同時に、地元への工場誘致にもつながっている。C3東海環状道の開通が公表された後、山県市では工場用地の整備を進めてきたが、すでに7社が進出しているという。
岐阜三輪スマートICは岐阜県の観光の活性化にプラス
そして関広見ICと山県ICの間に岐阜三輪PA(岐阜市北野北)が設けられ、そこにはスマートICも設置される(画像4)。岐阜三輪スマートICは、岐阜県としても観光の活性化につながるとして期待しているという。というのも、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公である戦国武将の明智光秀は、岐阜県美濃市近辺の出身と考えられており(正確にはわかっていない)、C3東海環状道の沿線にも関連史跡が多いからだ。山県ICとともに観光客の誘致に大いに力になると期待されているのである。
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次は残りの区間の開通時期について
C3東海環状道・残りの44km区間の開通予定
今回の関広見IC~山県IC間の開通で、総延長約153km中の約109kmが開通することになり、完成度は71.2%となる。残すは西側区間の約44kmだ。未開通区間とその開通予定は画像6の通りとなっている。
【岐阜県内】
(1)山県IC~(約6km)~岐阜IC※~(約6km)~糸貫(いとぬき)IC※~(約7km)大野神戸(おおのごうど)IC:合計約19km・2024年度開通見通し(画像6) ※仮称
【岐阜県~三重県】
(2)養老(ようろう)IC~北勢(ほくせい)IC※:約18km(両県の区間は約9kmずつ)・開通見通し年度未発表 ※養老IC~北勢IC間には海津(かいづ)スマートIC※が建設される計画 ※仮称
【三重県】
(3)北勢IC~大安(だいあん)IC:約7km・2024年度開通見通し(画像7)※ただし、用地取得などが順調な場合
このほか、東回り区間内の土岐JCT~五斗蒔(ごとまき)スマートIC~可児御嵩(かにみたけ)IC~美濃加茂(みのかも)IC間は速度低下箇所に付加車線の設置工事が行われる。2022年度から順次実施され、2024年度に全線開通の見通しだ。また、C3東海環状道は4車線道路として計画されているが、2車線暫定開通区間も多い。ただし、4車線化工事については発表されていない。
C3東海環状道は、今回の関広見IC~山県IC間の開通で、新規区間開通は一段落つく形だ。次に工事中区間が開通するのは2024年度となる。工事中区間の中で、養老IC~北勢IC間は開通見通し時期が未発表だが、工事などが進んでいないというわけではない。建設に関わる国土交通省の岐阜および北勢国道事務所が発表している工事の進捗状況によれば、現在は用地の調査および取得が進められているのと同時に、埋蔵文化財・水文(地下水脈など水に関わるさまざまな現象)・環境調査などが行われ、さらに詳細設計も進行中のようだ。また一部では先行して、橋梁下部工事や改良工事なども進められている。
この養老IC~北勢IC間の完成をもってC3東海環状道は全線開通となる。開通時期は推測だが、2020年代半ば以降になるのは間違いないだろう。しばらく時間はかかるが、中京圏の交通を大きく変えるC3東海環状道。完成を期待して待ちたい。