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最終更新日:2020.01.08 公開日:2020.01.08

ル・マンの大逆転を描いて全米1位発進!映画「フォードvsフェラーリ」が熱い

1966年のル・マン24時間レースを題材にした映画「フォードvsフェラーリ」が1月10日より公開される。ル・マン6連覇中のフェラーリに、優勝経験ゼロのフォードで勝つというプロジェクトに挑んだ男たちの実話がベースとなった作品だ。

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劇中のフォードGT40(奥)とフェラーリ330P4(手前)。

映画 『フォードvsフェラーリ』 2020110日(金)全国ロードショー
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/

フォードの矛先はル・マンに向けられる

 事の始まりは、フォードによるフェラーリ買収が交渉成立寸前で決裂したことだった。その決裂後にフェラーリがフィアット傘下に入ったことで、フォード会長のヘンリー・フォード2世はさらに激怒! ヘンリーが感情の矛先を向けたのは「ル・マン24時間レース」。フェラーリが得意とする分野で雪辱を果たそうと考えたのだ。

ヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)のフェラーリに対する怒りが、「ル・マン挑戦」の原動力となる。

 しかしフォードはアメリカ自動車業界を代表する巨大企業ながら、ル・マンでの優勝経験はゼロ。一方のフェラーリはル・マンでの連続優勝記録を更新中だった。1964年から始まったフォードのル・マン挑戦だが、最初の2年は惨敗に終わる。

→そんな無理難題を託されたのは

無理難題に挑んだ男たち

 そんな状況下でプロジェクトリーダーに抜擢されたのが、カーデザイナーのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。しかも3年目は絶対に優勝しろという条件付き!! コブラなどのスポーツカーの開発・製造・レースで実績を持っていたシェルビーでも、打倒フェラーリは容易なことではなかった。

プロジェクトリーダーとなったキャロル・シェルビー(左/マット・デイモン)と、フォードのレーシングドライバーとなったケン・マイルズ(右/クリスチャン・ベイル)。

ル・マンでのキャロル・シェルビー本人(左)。 写真提供:フォード

 そこでシェルビーが呼んだ助っ人は、レーシングドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)。マイルズは一流のドライビングテクニックやマシン開発スキルを持っているが、短気な性格から周囲と衝突を繰り返していた。

シェルビーはマイルズのマシン開発能力を見込んで、プロジェクトへの参加を要請する。

 しかしマイルズには衝突する理由があった。目的のためには妥協しないという仕事の流儀が彼の矜持だった。それはシェルビーも同じ。2人はマシン開発で衝突を繰り返すが、それは妥協しないから。それが原動力となりフォードGT40の開発ピッチは加速する。ついにはル・マンの前哨戦で、GT40に確かな手ごたえを感じるまでに仕上げた。

“妥協しない”ことから、シェルビーとマイルズは激しく衝突する。

1966年ル・マンでのケン・マイルズ本人(左)。 写真提供:フォード

映画でのル・マンのスタートシーン。1966年のスタート方式はローリングスタートではなく、ドライバーがマシンから降りた状態でスタートする「ル・マン」式。ドライバーは走ってクルマに乗り込んでから、エンジンを始動させていた。つまりエンジン始動性の良し悪しもスタートダッシュの重要な要素となっていた。

実際の1966年ル・マン24時間レースのスタートシーン。 写真提供:フォード

 そしてフェラーリと雌雄を決するために、シェルビーとマイルズは、1966618日のル・マン24時間レースのスタートラインについた。

→本物がひっそりと混じっています

本物もスクリーンに登場

撮影中のマット・デイモン(左)、監督のジェームズ・マンゴールド(右)。GT40の車内にいるのはクリスチャン・ベイル。

 このような歴史的なモータースポーツを題材にした映画を見るときに気になるのが、フィルム上のクルマたち。現代の映像技術や映画美術なら、CGや別の車を改造して仕立てたレプリカだけで作品をつくることも可能だろう。しかし、その中に当時の本物が紛れていると聞くと、クルマオタクの好奇心が騒ぎ出す。

映画に登場するフォードGT40たちは、撮影用に作られたピクチャーカー。つまり別の車をベースに制作された大道具。しかしフォード工場のシーンで、製造ラインに並んでいるフォード ファルコンたちは、別のクルマではなく本物のファルコンを分解、レストアなどしたものを撮影に使ったそうだ。

 この作品にも本物が登場しているのだ。そのシーンはエンツォ・フェラーリのオフィス。オフィスの前に駐車されているフェラーリ275GTBが”本物”。その姿をぜひ映画館で確認してみよう。

この映画は、A.J.ベイムの「フォードVSフェラーリ 伝説のル・マン」が原作本となっている。和訳版は、モータースポーツジャーナリストの赤井邦彦氏らが翻訳を手がけたものが祥伝社から出版されていたが、現在は絶版のようだ。当時のレーシングドライバーたちの名言がちりばめられた一冊でもあり、映画とともに再版を期待したい。

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