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クルマ最終更新日:2019.12.19 公開日:2019.12.19

国産スーパーカー・2019-20まとめ:GT-R&NSX+トヨタのハイパーカー

現在の日本のスーパーカーといえば、日産R35型「GT-R」とホンダの2代目「NSX」だ。ここでは、その2車種の2019-2020年の動向を取り上げる。またトヨタは、プロトタイプ・レーシングカー「TS050 HYBRID」をベースにハイパーカーを開発中だ。その情報についても判明していることをまとめてみた。

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限定50台の「Nissan GT-R50 by Italdesign」

 「GT-R」は話題が豊富だ。まずは日産がインダストリアルデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが創設したイタルデザインと共同開発した「Nissan GT-R50 by Italdesign」(GT-R50)の市販モデル(画像1および2)を紹介しよう。

画像1。「Nissan GT-R50 by Italdesign」。

画像1。「Nissan GT-R50 by Italdesign」の市販モデル。ノーマルの「GT-R」と比べて、フロント部分のデザインが大きく変更されている。

 「GT-R50」は、「GT-R」とイタルデザインの50周年を記念したスペシャルモデルだ。NISMO(※1)が手がけた高性能モデル「GT-R NISMO」をベースに、イタルデザインが開発・設計・製造を担当。内装は、英ロンドンと米カリフォルニア州サンディエゴにある日産デザインセンターが担当した。

※1 NISMO:Nissan Motorsports Internationalの略で、日産のモータースポーツ/ハイパフォーマンス部門

 ノーマルの「GT-R」や「GT-R NISMO」と比較して外見が大きく変更されているうえに、エンジンも大幅パワーアップ。NISMOによってチューニングが施された排気量3799ccのV型6気筒ツインターボエンジン「VR38DETT」は、最高出力が推定で720馬力となった(ノーマルは570馬力、「GT-R NISMO」で600馬力)。この出力アップに伴い、ブレーキにはブレンボ製を、サスペンションにはビルシュタイン製のパーツが採用され、制動力や足回りも強化されている。

画像2。「Nissan GT-R50 by Italdesign」のリアビュー。

画像2。画像1とは別カラーの「GT-R50」のリアビュー。リアのデザインも大きく異なる。

 2018年6月にプロトタイプ(画像3および4)が公開されたあと、同年12月に限定50台で正式受注がスタート。そして2020年後半から納車が始まることが発表された。価格は99万ユーロからで、1ユーロ=122円換算で約1億2200万円。12月19日現在も受注を受け付けている。

画像3。「Nissan GT-R50 by Italdesign」のプロトタイプ。

画像3。プロトタイプ「GT-R50」のフロントビュー。市販モデルと大きな違いはない。

画像4。プロトタイプ「Nissan GT-R50 by Italdesign」のリアビュー。

画像4。プロトタイプ「GT-R50」のリアも市販モデルと大きな差異はない。

 「GT-R50」は今後、12月27日(金)から1月7日(火)まで銀座のNISSAN CROSSINGで展示が行われる。さらに、1月10日(金)から12日(日)まで開催される東京オートサロン2020でも展示される予定だ。

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続いては「GT-R NISMO」

2019年式より30kgの軽量化が施された「GT-R NISMO」

 続いては、「GT-R50」のベースとなった「GT-R NISMO」の2020年式(画像5および6)について。R35型「GT-R」は、規模は異なるがほぼ毎年のようにマイナーチェンジが実施されており、「GT-R NISMO」も毎年新モデルが登場。2020年式は2019年4月にその姿が披露された。

画像5。日産「GT-R NISMO」2020年式のフロントビュー。

画像5。日産「GT-R NISMO」2020年式のフロントビュー。2019年式と比較した最大の違いは、大きく軽量化されたことだ。

 外見でまず目につくのが、レーシングカーのようなフロントフェンダーのエアアウトレット。エンジンルームの熱を逃がすと同時に、フロントタイヤのダウンフォースを増やす効果もあり、2020年式で初めて設けられた。

 そして2019年式と比較して大きく軽量化されたこともポイントだ。重心から遠いルーフ、ボンネット、フロントフェンダー、バンパー、トランクリッドをカーボン製にし、約10.5kgの軽量化を実現。さらに、新型のカーボンセラミックブレーキや、レカロ製の新型シート(オプション設定)なども軽量化に貢献しており、トータルで約30kgも車重が軽くなった。

画像6。日産「GT-R NISMO」2020年式のリアビュー。

画像6。「GT-R NISMO」2020年式のリアビュー。足回りもNISMOにより徹底的にチューニングされている。

 エンジンは、レーシングテクノロジーをフィードバックした、新型タービンブレードをツインターボに採用。これにより、加速レスポンスが全域で約20%向上したという。また、FUJITSUBOの職人の手作りによるチタン製エキゾーストシステムも2020年式の特徴のひとつとなっている。

「GT-R NISMO」の弟分的存在の「GT-R Track edition engineered by NISMO」

 続いて紹介するのは、「GT-R NISMO」の弟分ともいえる「GT-R Track edition engineered by NISMO」2020年式だ(画像7)。外見はノーマルの「GT-R」だが、NISMOによるレーシングテクノロジーがフィードバックされており、「GT-R NISMO」の足回りとボディ剛性を備えているのが特徴だ。

画像7。日産「GT-R Track edition engineered by NISMO」。

画像7。「GT-R Track edition engineered by NISMO」2020年式。

2020年3月末までの期間限定モデル「GT-R 50th Anniversary」

 さらに2020年3月末までは、期間限定モデル「GT-R 50th Anniversary」も発売中。ボディカラーは専用で3色が設定されており、かつてレースで大活躍した初代「(スカイライン)GT-R」のレーシングカーをモチーフとしたツートンカラーとなっている。

 画像8の左下、正面を向いたモデルが「ワンガンブルー」。右上のリアを見せているモデルは「アルティメイトメタルシルバー」、左上のサイドを見せているモデルが「ブリリアントホワイトパール」だ。インテリアも専用色が設定されている。

画像8。日産「GT-R 50th Anniversary」。ボディカラーは3色が用意されている。

画像8。日産「GT-R 50th Anniversary」。ボディカラーは3色が用意されている。

 最後は、各種「GT-R」の顔つきの違いがわかるよう、フロントビューを再掲載してみた。

画像1。「Nissan GT-R50 by Italdesign」。

「Nissan GT-R50 by Italdesign」市販モデル。

画像3。「Nissan GT-R50 by Italdesign」のプロトタイプ。

「Nissan GT-R50 by Italdesign」プロトタイプ。

画像3。日産「GT-R NISMO」2020年式のフロントビュー。

「GT-R NISMO」2020年式。

画像5。日産「GT-R Track edition engineered by NISMO」。

「GT-R Track edition engineered by NISMO」2020年式。形状的にはノーマルで、「GT-R 50th Anniversary」も同じく外見はノーマル。

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続いて「NSX」+トヨタ

2代目「NSX」2020年式には新色が追加

 続いては日本のもう1台のスーパーカー、ホンダ「NSX」2020年式(画像9および10)を紹介しよう。2020年式は12月5日より受注を開始し、発売予定は2020年4月となっている。2018年式のときように性能面での改良はないが、新色が追加された。

画像9。ホンダの2代目「NSX」2020年式。ボディカラーは新色の「インディイエロー・パールII」。

画像9。ホンダの2代目「NSX」2020年式。ボディカラーは新色の「インディイエロー・パールII」。

画像10。2代目「NSX」2020年式のリアビュー。

画像10。2代目「NSX」2020年式のリアビュー。

 新色「インディイエロー・パールII」は、2018年式において追加された「サーマルオレンジ・パール」(画像10)に続く”エキサイティングカラーシリーズ”の第2弾で、2代目「NSX」の専用色だ。2代目「NSX」の開発陣は、「初代のインディイエロー・パール(画像11)にインスピレーションを受けつつ、時代に合わせてクリアで鮮やかな発色へと進化させた」という。さらに、「スーパーカーとしてのたたずまいと力強い存在感を表現すると同時に、『NSX』の世界観、またスーパーカーならではの”観る・所有する”喜びのさらなる醸成を図った」としている。

 インディイエロー・パールIIは、目に飛び込んでくるような鮮やかさだが、同時に上質さも備えており、鋭く流れるような外観を備えた2代目「NSX」だからこそ似合うボディカラーといえるだろう。

画像11。ホンダの初代「NSX」。ボディカラーはインディイエロー・パール。

画像11。インディイエロー・パールの初代「NSX」。

 なお、このインディイエロー・パールIIの2代目「NSX」2020年式は、東京オートサロン2020のホンダブースで展示される予定だ。

トヨタは市販ハイパーカーを開発中

 トヨタは現在、ハイパーカー(※2)を市販すべく開発中だ。2018年の東京オートサロンに出展された「GR Supersport Concept」(画像12および15)は、そのコンセプトモデルと位置付けられている。

※2 ハイパーカーの条件:厳密な定義があるわけではないが、既存のスーパーカーの概念を超越した、モンスターマシン的な超高性能車をイメージして用いられることが多い

画像12。トヨタ「GR Supersport Concept」。東京オートサロン2018にて撮影。

画像12。トヨタが開発中のハイパーカーのコンセプトモデル「GR Supersport Concept」。東京オートサロン2018トヨタブースにて撮影。

 トヨタがハイパーカーを開発している理由は、2012年から参戦しているWEC世界耐久選手権にある(※3)。WECは2020-21シーズンから大きく車両規定が変わり、現在トヨタが参戦させているプロトタイプ・レーシングカーでの参戦ができなくなるのだ。

※3 WECは2017年までは年をまたがずに開催されていたが、2018-19スーパーシーズンを経て、2019-20シーズンからは年をまたいで1シーズンが開催されるようになった

 トヨタは2019-20シーズン限り撤退するかと思われたが、2019年6月14日(WEC最終戦のル・マン24時間レースウィーク)に、2020-21シーズン以降も参戦することを表明。2020-21シーズン以降は、新規定で市販ハイパーカーをベースとしたレーシングカーで参戦する必要があるため、トヨタは市販ハイパーカーの開発を始めたのだ。

 そのベースとなるのが、トヨタが2016年から投入してきたハイブリッド型のプロトタイプ・レーシングカーの3代目「TS050 HYBRID」だ。「GR Supersport Concept」と比較するとシルエットが似ており、「TS050 HYBRID」がベースにあることがわかる。

画像13。WEC世界耐久選手権に参戦するトヨタ「TS050 HYBRID」の2018年仕様。同年、ル・マン24時間で優勝した。

画像13。「TS050 HYBRID」の2018年仕様8号車。同年、ル・マン24時間レースで優勝した実車だ。MEGA WEBにて撮影。

 こうした経緯で開発が進められているトヨタのハイパーカー。東京オートサロン2018の「GR Supersport Concept」の解説パネルによれば、パワーユニットは「TSTS050 HYBRID」と同じハイブリッド方式となる。エンジンは排気量2400ccのV型6気筒直噴ツインターボ(画像14)で、最高出力500馬力。そして前後輪それぞれにモーターを搭載し、こちらも合わせて500馬力。エンジン+モーターの合計最高出力は「TSTS050 HYBRID」と同じ1000馬力になる予定だ。またハイブリッドシステムは、「THS-R(トヨタハイブリッドシステム・レーシング)」が搭載される。

画像14。トヨタ「GR Supersport Concept」のV6エンジンはミッドシップにマウント。

画像14。カウルが外された状態の「GR Supersport Concept」テストカーの後部。V6エンジンはミッドシップに搭載。

 このほか発表されているのは、ホイールのサイズが前後共に「18×13J」であること、タイヤサイズも前後共に「330/710R18」であること(展示ではブリヂストンの「POTENZA」が装着されていた)。最高速度、0→400m加速性能などは非公開となっている。

 現在、トヨタからハイパーカーに関する公式なリリースは出ていない。唯一、開発が進められていることが窺えたのが、TOYOTA GAZOO Racing WECチームの村田久武代表のコメントだ。7月22日に発表されたプレスリリース「WEC2019-20シーズンのプロローグテストプレビュー」において、「次世代ハイパーカーの準備も並行して進めている」としている。

 タイミング的に東京オートサロン2020での展示も予想されるが、12月18日現在、ハイパーカーの展示はアナウンスされていない(「TS050 HYBRID」2019年仕様は展示予定)。

画像15。トヨタ「GR Supersport Concept」のリアビュー。

画像15。トヨタ「GR Supersport Concept」のリアビュー。市販車とは思えないような形状だ。


 量産車メーカーにとってスーパーカーは、威信をかけたフラッグシップモデルの中のフラッグシップモデルだ。魅力的なスーパーカーは技術力と人的資源、資本力などがなければ開発することは不可能である。しかも人気を得られるとは限らず、失敗すれば逆にブランドに傷をつけてしまう恐れさえある。まさにハイリスク・ハイリターンの事業であろう。そうしたリスクと、開発にかかるさまざまな苦労を乗り越えてきたからこそ、「GT-R」も「NSX」も今のステータスがあるのだ。

 トヨタも過去には「2000GT」やレクサス「LFA」というスーパーカーをラインナップしてきたことから、現在開発中のハイパーカーにも大きな期待がかかる。WEC2010-21シーズンは2020年秋に始まるため、それまでには市販する必要がある。公式発表はそう遠くない。刮目して待ちたい。

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