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最終更新日:2019.09.28 公開日:2019.09.28

トヨタ・カローラ、初代~11代目までを一気に紹介

1966年11月の発売以来53年、12代にわたって日本だけでなく世界で多くの人々に愛用されているトヨタ「カローラ」。初代から11代目までの旧モデルを一挙に紹介する。「カローラ」とは、各時代においてどのようなクルマだったのか。

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初代「カローラ」のKE10-D型「デラックス」1966年式。スタイリングは日本人デザイナーが手がけた。「カローラ」というとファミリーカーのイメージが強いが、初代は高速性能をイメージさせるため、ヘッドランプ周辺のデザインを工夫し、豹の目のような精悍さを表現したそうである。今回の11代の「カローラ」はすべてMEGA WEBにて撮影した。

 大衆車として、日本のモータリゼーションを牽引してきた1台であるトヨタ「カローラ」。「Corolla」とは英語で”花冠”(花びらの集合体のこと)を意味し、桜を思わせるような、日本らしい美しい名を持ったクルマである。「人目を引く、美しいスタイルのコンパクトカー」をイメージして命名されたという。排気量1500ccクラスの小型セダン・コロナ(1957年誕生)と、通商産業省(現・経済産業省)の「国民車構想」に沿って開発された排気量700ccクラスの小型車パブリカ(1961年誕生)の間を埋める1000ccクラスの車種として、初代「カローラ」は1966年11月に誕生した。

 日本のモータリゼーションを発展させただけでなく、1966年に初代がオーストラリアへ輸出されたのを皮切りに世界各国へ輸出され、2019年現在は全世界170か国・地域で販売され、累計販売台数は4765万台を突破。まさにトヨタの屋台骨ともいうべき車種であり、世界の「カローラ」なのだ。

日本のモータリゼーションを加速させた初代は1966年11月に登場

KE10-D型「カローラ デラックス」1966年式。全長×全幅×全高:3845×1485×1380mm、ホイールベース:2285mm、トレッド前1230/後1220mm、車重690~710kg。排気量1077cc・水冷直列4気筒(直4)SOHCエンジン「K型」、最高出力60ps/6000rpm、最大トルク83.4N・m/3800rpm。サスペンション:前ストラット式/非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ:前ツー・リーディング式/後リーディング・トレーリング式ドラム。11代目の発売日は1966年11月5日。1970年4月まで生産された。

 初代「カローラ」は、日産ダットサン・サニー1000と共に、”日本に本格的なモータリゼーションをもたらした”といわれるほどの人気車種となる。発売から3年5か月で100万台をラインオフし、当時の国内におけるミリオンセラー最短記録を打ち立てた。さらにモデル末期の1970年3月には、輸出も含めて1か月で5万3000台という販売台数を記録している。その大成功のための反面教師となったのが、「パブリカ」だった。あまりにも質素に作りすぎてしまい、発売当初は販売台数が伸び悩んだ「パブリカ」に学び、当時の「マイカー」の購入希望者層が持つクルマに対する”憧れ”や”夢”に応えることでアピールしていったのである。初代は3種類のグレードが用意され、上画像の「デラックス(KE10-D)」は49万5000円。「スペシャル(当時は”スペシアル”と表記、KE10-B)」が47万2000円、「スタンダード(KE10)」が43万2000円だった(いずれも東京地区)。

初代「カローラ」を後方から。初代「カローラ」はスポーティな要素が加えられていた点も特徴のひとつで、リアは尻下がりのセミ・ファストバックスタイルが採用されていた。

【初代時代の「カローラ」史トピック】
1966年11月5日:初代「カローラ」誕生
1967年5月13日:商用車「カローラ バン」誕生、4ドアセダンおよび2速AT「トヨグライド」搭載モデル追加
1969年9月:エンジンを1077ccの「K型」から1166ccの「K-3型」に切り替え

ボディやエンジンの種類が豊富になった2代目1970年5月に登場

TE20型「カローラ(2代目)」1970年式。全長×全幅×全高:3945×1505×1375mm、ホイールベース:2335mm、トレッド前1255/後1245mm、車重730~785kg。排気量1407cc・水冷直4SOHCエンジン「T-BR型」、最高出力:ps/6000rpm、最大トルク:117.7N・m/3800rpm。サスペンション前ストラット式/後・非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ前シングル・シリンダーディスク式またはツー・リーディング式/後リーディング・トレーリング式ドラム。2代目の発売日は1970年5月6日。1974年4月まで生産された。

 1970年5月にフルモデルチェンジして2代目となった「カローラ」。安全性、居住性、高速連続走行性能、豪華さを追求する形で開発された結果、ボディの大型化がなされた。デザイン面では、前席サイドウインドー前部の三角窓が廃止。フロントグリルとリアコンビネーションランプの周囲に樹脂を用いた意匠が採用されたことなどが、初代からの目立つ変更点だ。また座席に関しては、前席にヘッドレスト一体型のハイバックシートが採用された。エンジンに関しては、初代のモデル末期に投入された排気量1166ccの水冷直列4気筒OHVエンジン「K-3型」が引き続き採用。後にT系と呼ばれる3種類のエンジン(SOHC1407cc、SOHC1588cc、DOHC1588cc)が追加設定され、排気量で3種類、仕様で2種類という6種類のエンジンがラインナップされた。上画像のTE20型は、1407ccの「T型」エンジンを搭載したグレードだ。

2代目「カローラ」を後方から。上画像の4ドアセダンは初代からセミ・ファストバックスタイルを継承。一方クーペはフル・ファストバックスタイルが採用された。

【2代目時代の「カローラ」史トピック】
1970年5月6日:
セダン、「カローラ バン」が2代目にフルモデルチェンジ。クーペモデル「カローラ クーペ」誕生
1972年3月:「カローラ クーペ」の最上位モデル「カローラ レビン」誕生

車名別生産台数世界一となった3代目は1974年4月に登場

TE30型「カローラSL」。全長×全幅×全高:3995×1570×1375mm、ホイールベース:2370mm、トレッド:前1300/後1285mm、車重890~905kg。排気量1407cc・水冷直4SOHCエンジン「T-BR型」、最高出力:91ps/6000rpm、最大トルク:117.7N・m/4000rpm。サスペンション前ストラット式/後・非対称半だ円リーフ・スプリング。ブレーキ前ディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。3代目の発売日は1974年4月26日。1979年2月まで生産された。

 通称「30(さんまる)シリーズ」と呼ばれる3代目「カローラ」は1974年4月に登場した。実はこの3代目が登場して以降も、廉価モデルとして2代目(20シリーズ)がしばらく並行生産されており、区別をするため通称が用いられていた。ちなみに、この3代目の販売期間中に「カローラ」は車名別生産台数の世界一を達成した。またこの時期は排出ガス規制や衝突安全規制への対応がクルマに求められていたが、トヨタは、2代目よりもさらに大型化が進むのを理解した上で、ホイールベースとトレッドを前後共に拡大。エンジンルームやボディに必要なスペースを確保し、そこに必要な機器を搭載し、もしくは必要な機構を採用するなどして対応した。排出ガス規制については、最終的に当時、世界で最も厳しいとされた「昭和53(1978)年規制」に適合した。

3代目「カローラ」を後方から。基本的なセミ・ファストバックスタイルなどは引き続き踏襲された。生産はトヨタの高岡工場に加え、関東自動車工業、そして1975年12月から1978年6月まではダイハツも担当した。

【3代目時代の「カローラ」史トピック】
1974年4月:
初代「カローラ クーペ」が生産終了
1974年4月26日:
セダン、「カローラ バン」が3代目にフルモデルチェンジ。ハードトップモデル「カローラ ハードトップ」誕生
1976年1月14日:3ドア・ワゴンモデル「カローラ リフトバック」誕生
1977年1月13日:「カローラ クーペ」の2代目が登場

→ 次ページ:
続いては4~7代目を紹介!

より直線的なデザインとなった4代目は1979年3月に登場

4代目「カローラ」の最上位グレードTE71型「1600GT」1980年式。全長×全幅×全高:4250×1610×1385mm、ホイールベース:2400mm、トレッド前1340/後1345mm、車重955kg。排気量1588cc・直4DOHCエンジン「2T-GEU型」、最高出力:115ps/6000rpm、最大トルク:147.1N・m/4800rpm。サスペンション:前ストラット式/後ラテラルロッド付き4リンク式。ブレーキ前後共にディスク。4代目の発売日は1979年3月1日。1983年5月まで生産された。

 1979(昭和54)年3月登場の4代目「カローラ」はさらに大型化が進み、いよいよ全長は4m台に突入。ホイールベースやトレッドも拡大された。そして4代目の特徴は「カローラ」史上最もボディバリエーションが多かったこと。セダン(2/4ドア)、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バン(2/4ドア)と7種類を数えた。デザイン面の特徴は、3代目よりもさらに直線基調が強くなったこと。また、高級車で一般的だった丸型4灯式ヘッドランプが、セダンおよびバンにも採用された。一方でクーペ系は、角形2灯式となっている。1981(昭和56)年8月のマイナーチェンジでは、バンを除いた車種でヘッドランプが異形角型に変更された。また、上画像の最上位グレードの「1600GT」と、「カローラ クーペ」の最上位グレードである「レビン」には、大型の衝撃吸収ウレタンバンパーが装着され、フロント部分に迫力を持たせることで下位グレードとの差別化が図られていた。

4代目「カローラ」の最上位グレード「1600GT」はラリーなどのモータースポーツでも活躍した。リアサスペンションを初代から踏襲されてきた非対称半だ円リーフ・スプリングをやめ、ラテラルロッド付き4リンク式コイル・スプリングに変更したことで、操縦性が増した。

【4代目時代の「カローラ」史トピック】
1979年3月1日:
「カローラ ハードトップ」と「カローラ リフトバック」が2代目にフルモデルチェンジ
1979年3月23日:
セダンが4代目に、「カローラ クーペ」が3代目にフルモデルチェンジ
1979年8月27日:「カローラ バン」が4代目にフルモデルチェンジ
1982年5月10日:「カローラ バン」から派生したステーションワゴン「カローラ ワゴン」誕生
1982年5月19日:3ドア/5ドア・小型ハッチバック「カローラII」誕生(「ターセル」と「コルサ」の兄弟車)
1983年3月:累計生産台数が1000万台突破

「カローラ」初のFF方式を採用した5代目は1983年5月に登場

AE82型「カローラ セダン 1600GT TWINCAM 16」1984年式。全長4135×全幅1655×全高1380mm、ホイールベース2430mm、トレッド前1425/後1405mm。車重930 or 960kg。排気量1587cc・直列4気筒DOHCエンジン「4A-GELU」、最高出力130ps/6600rpm、最大トルク149N・m/5200rpm。サスペンション前後共にストラット式、ブレーキ前ディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。5代目の発売日は1983年5月12日。1987年5月まで生産された。画像の「カローラ セダン 1600GT TWINCAM 16」は1984年10月に追加されたモデル。

 1983年5月にフルモデルチェンジして5代目となった「カローラ」。4ドアセダンなどファミリー向けのモデルには、駆動方式としてシリーズ初となるFFが採用されたことが大きな特徴だった。その一方で、スポーツモデルのクーペタイプはFR方式が続投となった。そのクーペモデルは、最上位グレードに与えられていた「レビン」の名が、この5代目からクーペモデルそのものを指すシリーズ名に変更。コミック「頭文字D」で一躍有名になったハチロクことAE86型はこの5代目に含まれる(主人公のハチロクは「カローラレビン」の兄弟車の「スプリンター トレノ」で、どちらも車両型式は同じAE86型)。

AE82型「カローラ セダン 1600GT TWINCAM 16」は、「カローラFX」の登場に合わせて追加された。「カローラFX」のホットハッチモデル「1600 FX-GT」に搭載された直4DOHCエンジン「4A-GELU」が搭載されたスポーツモデルだった。

【5代目時代の「カローラ」史トピック】
1983年5月:「カローラ ハードトップ」が通算2代で生産終了
1983年5月12日:セダンが5代目に、「カローラ クーペ」は「カローラ レビン」となって4代目にフルモデルチェンジ
1984年10月3日:5代目から派生した2ドア・ハッチバック(2BOXボディ)モデル「カローラFX」誕生
1986年5月20日:「カローラII」が2代目にフルモデルチェンジ

年間新車販売台数記録を持つ6代目は1987年5月に登場

AE91型「カローラ 1500 SE Limited」1990年式。全長4195×全幅1655×全高1365mm、ホイールベース2430mm、トレッド前1430/後1410mm。車重960 or 1010kg。排気量1498cc・直4DOHCエンジン「5A-F」、最高出力85ps/6000rpm、最大トルク122.6N・m/3600rpm。サスペンション前後共にストラット式、ブレーキ前ディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。6代目の発売日は1987年5月15日。1991年6月まで生産された。

 ハイソカーブームに沸く中に誕生した6代目の開発テーマは「クラスを超えた世界のハイクォリティセダン」だった。それを実現するために取られたのが、5代目よりも車格を高めたこと。また開発テーマの世界とは、6代目の時点で世界130か国に輸出されていたことから、日本だけのものではなく、世界の「カローラ」となっていたことを意味する。さらに6代目の特徴としては、1989年10月にシリーズ初の4WDがセダンに設定されたことも挙げられる。これにより降雪地帯での実用性が確認され、以降は必ず4WD仕様が設定されるようになった上、オフロード系を除いたほかのトヨタ車にも4WD仕様を設定するきっかけにもなったという。そんな6代目は多くのユーザーに受け入れられ、1990年には国内の年間車名別販売台数で30万8台を記録。2010年に「プリウス」に抜かれるまでの歴代最多記録だった。

現在の軽自動車に近い排気量697ccの小型車「パブリカ」と、1490ccの「コロナ」の中間を埋めるべく1000ccクラス(1077cc)として誕生した初代「カローラ」だったが、6代目の時点でエンジンは1295cc、1498cc、1587cc、1839ccの4種類。より排気量をアップさせた。

【6代目時代の「カローラ」史トピック】
1987年5月:
「カローラ リフトバック」が通算3代で生産終了
1987年5月15日:セダンが6代目に、「カローラ レビン」は5代目に、「カローラFX」が2代目にフルモデルチェンジ
1987年8月19日:「カローラ バン」が5代目に、「カローラ ワゴン」が2代目にフルモデルチェンジ
1990年9月19日:「カローラII」が3代目にフルモデルチェンジ

高級化路線の頂点といわれる7代目は1991年6月に登場

AE100型「カローラ 1500 SE-Limited」1991年式。全長4270×全幅1685×全高1380mm、ホイールベース2465mm、トレッド前1470/後1460mm。車重1010 or 1050kg。排気量1498cc・直4DOHCエンジン「5A-FE」搭載、最高出力105ps/6000rpm、最大トルク135.3N・m/4800rpm。サスペンション前ストラット式/後スタビライザー付きストラット式、ブレーキ前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。7代目の発売日は1991年6月12日。1995年5月まで生産された。

 まだ世間では景気がよかったが、実際にはバブル経済の崩壊が始まった1991年に発売された7代目の特徴は、6代目よりもさらに車格が上げられたこと。トヨタは初期の「パブリカ」の販売戦略の失敗により、高級志向をアピールすることが販売台数の伸びにつながることをつかみ、「カローラ」では同クラスの他社のクルマより「プラスαの要素」を備え、そしてモデルチェンジの際には毎回高級化が押し進められてきた。バブル時代に開発が行われた7代目はその高級化路線の頂点といわれ、6代目と比較して全長、全幅、全高、ホイールベースのすべてが拡大。それによりボディのボリューム感が増し、「ミニ・セルシオ」ともいうべき高級なイメージをまとうことに成功した。

発売した時点ではもうバブルが弾け、景気が後退していく局面だったが、開発時期がまさにバブル全盛期だったため、7代目は「カローラ」史上、最もゴージャスな雰囲気をまとった1台となった。

【7代目時代の「カローラ」史トピック】
1991年6月12日:
セダンが7代目に、「カローラ レビン」が6代目にフルモデルチェンジ
1991年9月9日:「カローラ バン」が6代目に、「カローラ ワゴン」が3代目にフルモデルチェンジ
1992年5月18日:「カローラFX」が3代目にフルモデルチェンジ、7代目から派生した4ドア・ピラード・ハードトップモデル「カローラ セレス」(「スプリンター マリノ」と兄弟車)誕生
1994年9月21日:「カローラII」が4代目にフルモデルチェンジ
1995年5月:「カローラFX」が3代で生産終了

→ 次ページ:
続いては8~11代目を紹介!

初心に立ち返った8代目は1995年5月に登場

AE110型「カローラ 1.5・16バルブEFI・SE-Saloon」1995年式。全長4285×全幅1690×全高1385mm、ホイールベース2465mm、トレッド前1470/後1460mm。車重990 or 1010kg。排気量1498cc・直4DOHC16バルブエンジン「5A-FE」搭載、最高出力100ps/5600rpm、最大トルク137.3N・m/4400rpm。サスペンション前後共にストラット式、ブレーキ前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。8代目の発売日は1995年5月15日。2000年8月まで生産された。

 使い勝手のいいコンパクトセダンという原点回帰を果たした8代目「カローラ」。バブル経済崩壊後の開発となっただけに、トータルコストへの配慮もなされた1台となった。また、環境性能や安全性能も従来以上に重視されて開発されている。そして開発費抑制などの意味合いで、主要コンポーネントの多くは7代目から引き継がれたが、単にそのまま搭載するのではなく、トータルで50kgもの軽量化を実現した。ボディサイズに関しては、大人しめの雰囲気をした外見のため、高級化路線の頂点といわれた7代目よりも小型化したように感じられるが、実はそうではない。ホイールベースこそ同一だが、全長・全幅・全高共にすべて大型化した。

人気車種は先代を踏襲してオーソドックスにまとめられることが多く、8代目のリアビューは、5代目と比較してもイメージ的に大きな変化は感じられない。

【8代目時代の「カローラ」史的トピック】
1995年5月15日:
セダンが8代目に、「カローラレビン」が7代目にフルモデルチェンジ
1997年1月13日:8代目から派生したミニバン「カローラ スパシオ」誕生
1998年6月:「カローラ セレス」が1代で生産終了
1999年7月:「カローラII」が4代目で生産終了
2000年7月:「カローラ レビン」が7代目で、セダンのGT系グレードが生産終了

コンセプトを刷新し大きく変貌した9代目は2000年8月に登場

NZE121型「カローラ 2WD・1.5VVT-i G」2006年式。全長4365×全幅1695×全高1470mm、ホイールベース2600mm、トレッド前1490/後1470mm。車重1020kg。排気量1496cc・直4DOHCエンジン「1NZ-FE」搭載、最高出力110ps/6000rpm、最大トルク143N・m/4200rpm。サスペンション前ストラット式/後トーションビーム(TB)式、ブレーキ前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。9代目の発売日は2000年8月28日。2006年10月まで生産された。

 1966年に初代が登場して30年余りが過ぎ、「カローラ」の顧客層は中高年層が増えていた。そこで、この9代目では「New Century Value(新世紀の価値)」というコンセプトを掲げ、若者層へのアピールが図られた。その一環として流麗なエクステリアデザインが採用された。このエクステリアは空力に優れ、空気抵抗係数(cd値)は0.29だった。プラットフォームも一新され、全長/全幅/全高/ホイールベースをそれぞれ80/5/85/135mm拡大。5ナンバー上限の全幅となった。

 エンジンも新設計。「VVT-i」(※1)を搭載した16バルブDOHCエンジンとして、1794ccの「1ZZ-FE」、1496ccの「1NZ-FE」、1298ccの「2NZ-FE」の3種類が開発された(排気量1974ccのディーゼルエンジン「2C-III」は踏襲)。足回りに関してはセダンはリアがストラット式からトーションビーム式に変更され、4WD仕様にはダブルウィッシュボーン式が採用された。

※1 VVT-i:Variable Valve Timing-intelligentの略。トヨタが開発した連続可変バルブタイミング機構。運転状況に応じて吸気バルブの開閉タイミングを最適化するシステムであり、中低速トルクの向上、低燃費化、排出ガスのクリーン化に貢献。

デザインも機構も大きく刷新した9代目は、リアビューも現代的となった。つい最近のモデルのように見えるが、9代目ですらもう20年近く前の車種である。

【9代目時代の「カローラ」史的トピック】
2007年7月:
「カローラ レビン」が7代目で生産終了
2000年8月28日:
セダンが9代目にフルモデルチェンジ
2000年8月28日:
9代目から派生した5ドア・ステーションワゴン「カローラ フィールダー」誕生
2001年1月24日:4ドア・ハッチバックモデル「カローラ ランクス」(兄弟車「アレックス」)誕生
2001年5月21日:「カローラ スパシオ」が2代目にフルモデルチェンジ
2002年7月:「カローラ バン」が6代目で、「カローラ ワゴン」が3代目で生産終了

アクシオのサブネームがつけられた10代目は2006年10月に登場

NZE141型「カローラ アクシオ 2WD・G」2007年式。全長4410×全幅1695×全高1460mm、ホイールベース2600mm、トレッド前1480/後1465mm。車重1120 or 1150kg。排気量1496cc・直4DOHCエンジン「1NZ-FE」搭載、最高出力110ps/6000rpm、最大トルク140N・m/4400rpm。サスペンション前ストラット式/後トーションビーム式、ブレーキ前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。11代目の発売日は2006年10月10日。2012年5月まで生産された。

 21世紀に入って最初の「カローラ」となる10代目は、誕生40周年となる2006年に登場した。そして9代目から始まったイメージの刷新は車名にも及び、サブネーム「アクシオ」がつけられたのが最大の特徴だった。外観のイメージは基本的には9代目を踏襲しており、2007年にはグッドデザイン賞を受賞。一方でプラットフォームは今回も大きな変化があった。これまでは全世界共通だったが、10代目では道路事情を考慮して日本専用設計のものが用意されたのである。

リアはコンビネーションランプのデザインが異なるが、基本的には9代目を踏襲している。

【10代目時代の「カローラ」史的トピック】
2006年9月:
「カローラ ランクス」が1代で生産終了
2006年10月10日:セダンが11代目にフルモデルチェンジ
2007年6月:「カローラ スパシオ」が2代目で生産終了
2007年10月9日:トールワゴン型小型車「カローラ ルミオン」誕生

よりコンパクトさを目指した11代目は2012年5月に登場

NRE160型「カローラ アクシオ 1.3X G EDITION」2012年式。全長4360×全幅1695×全高1460mm、ホイールベース2600mm、トレッド前1480/後1470mm。車重1050kg。排気量1329cc・直4DOHCエンジン「1NR-FE」搭載、最高出力95ps/6000rpm、最大トルク121N・m/4000rpm。サスペンション前ストラット式/後トーションビーム式、ブレーキ前ベンチレーテッドディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。発売は2012年5月11日。12代目が2019年9月17日に発表されたが、この後も商用としてしばらくは生産が継続される予定だ。

 「アクシオ」としては2代目となる11代目「カローラ」は、「大人4人が、安心・安全、快適に長距離を移動できるミニマムサイズのコンパクトカー」というテーマのもとに開発が進められた。日本国内での取り回しに配慮するため、プラットフォームに選択したのは従来よりもひとつ下の「ヴィッツ」系である。ホイールベースは据え置きだが最小回転半径を若干ながら小さくすることに成功し、その一方でリアシートのヒザ前のスペースを40mm拡大した。

 そして11代目は12代目が登場した後も引き続き並行生産されるというレアなケースとなった。12代目はまず2018年6月に「カローラ スポーツ」が登場し、2019年9月17日に本命のセダンと、「カローラ フィールダー」の後継となる「カローラ ツーリング」が登場。これにより「アクシオ」のサブネームは2代で、「フィールダー」のサブネームは3代で終了することとなった。ただし、12代目「カローラ」が3ナンバーとなったことから、11代目は商用利用を考慮し、しばらくの間(おおよそ半年ほどだという)は平行生産することも発表された。新型と旧型が平行販売されるのは、1974年に3代目が登場したときに廉価版として2代目が並行生産されて以来となる。

11代目も9代目からの系譜となるエクステリアデザインが採用されている。

【10代目時代の「カローラ」史的トピック】
2012年5月11日:
セダンが11代目に、「カローラ フィールダー」が3代目にフルモデルチェンジ
2013年12月:カローラ ルミオン」が1代で生産終了
2018年6月26日:12代目の1モデルである4ドア・ハッチバック「カローラ スポーツ」誕生
2019年9月17日:セダンが12代目にフルモデルチェンジ。「カローラフィールダー」の後継モデルである「カローラ ツーリング」誕生


 時代の変遷と共に求められるクルマも変化し、どれだけ人気を博してもカタログから姿を消していったクルマは多い。そうした中、「カローラ」が50年を超えて現行車種でいられるのは、浮き沈みはあったにせよ、それぞれの代が多くの人々に愛されてきたからだろう。自動車産業にとって100年に1度の大変革の時代といわれる現在だが、今後、「カローラ」はどのように変わり、どのように愛されていくのか。誕生100周年の2066年を迎えるとき、はたして現行車種として存続しているのか。日本のモータリゼーションの50年を担ってきた「カローラ」の、次の50年に対する興味が尽きない。

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