トヨタ・ヴォクシーやホンダ・N-BOX、三菱・デリカD:5など、19夏のキャンピングカー
キャンピングカーのベース車両としては、商用車が選ばれることが多い。その理由は、商用車は居住スペースを広く取れること、頑強に設計されていること、さらにキャンピングカーとして架装しやすいことなどにある。一方で、乗用車ベースのキャンピングカーも人気を集めている。ここでは、「東京キャンピングカーショー2019」に出展されたキャンピングカーの中から、人乗用車をベースとしたバンコンと軽キャンパーを紹介する。
近年は乗用車の人気車種をベースにしたキャンピングカーを手がけるビルダーも多い。ここでは、三菱「デリカ D:5」、トヨタの兄弟ミニバン「ヴォクシー」と「エスクァイア」、日産のミニバン「セレナ」、ホンダのミニバン「フリード+」と軽自動車「N-BOXカスタム」の6車種を紹介する。
三菱の人気4WDワンボックスカーがキャンピングカーに!「デリカ D:5 クルーズ」(ケイワークス)
ケイワークス(愛知県豊橋市)が初披露した「デリカ D:5 クルーズ」は、三菱の4WDワンボックスカー「デリカ D:5」をベースにしたバンコン。2019年2月に登場した「デリカ D:5」の新型モデルをベースとし、ポップアップルーフを備え、サブバッテリーやインバーターなども搭載する。
ポイントは独自開発のセカンドシート。「デリカ D:5」のセカンドシートはもともとは、サードシートと組み合わせたフルフラットベッドにはできない構造だ。しかし、この「デリカ D:5 クルーズ」にはそれが可能なセカンドシートが装備されている。またセカンドシートを反転させてサードシートと向かい合わせ、脱着式テーブルを囲んだダイネットスペースにすることも可能だ。
同程度の車格のワンボックスカーが各社から出ている中で、ケイワークスが新型「デリカ D:5」を選んだ理由は、4WDによる悪路の走破性能の高さがまずある。それに加え、”リブボーンフレーム”と呼ばれる車体全体を包み込む、頑丈なフレーム構造がもたらす安全性能の高さも評価された(ポップアップルーフテントは、リブボーンフレームの天井部分をカットせずに装備されている)。さらに「新型モデル」の有する、街中などでの巡航性能の高さと快適性なども、ケイワークスがベース車に選んだ理由だという。
トヨタの人気3兄弟ミニバンベースの「VOXY DAYS POP WEEKENDER」(ホワイトハウス)
「ノア」、「エスクァイア」と共にトヨタの三兄弟ミニバンとして知られる「ヴォクシー」。ホワイトハウス(愛知県)は、人気の乗用車をベースにしたキャンピングカーを手がけており、今回も多数を出展。そのうちの1台が「ヴォクシー」をベースにしたバンコン「VOXY DAYS POP WEEKENDER」だった。展示車両は車内に家具や家電などをあまり装備していない車中泊仕様ともいうべきシンプル装備だが、モデルによってはギャレー/シンク(給排水タンク各10L)、電子レンジなどを備えた豪華タイプも用意されている。そのほか、サイドオーニングや3面網戸防水テントなどもオプションで装備可能だ。ポップアップルーフ内では2人が就寝でき、車内の2人と合わせて計4人での就寝が可能だ。
トヨタミニバン3兄弟のこちらも!「MR プレミアムパック(エスクァイア バージョン)」(バンレボ)
株式会社バンテック新潟(新潟県上越市)のブランドであるバンレボも、トヨタの三兄弟ミニバン「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」をベースとしたバンコンを手がけている1社。今回は、その第1弾である「MR」の「エスクァイア」をベースにしたモデルで、標準装備が通常モデルよりも充実した「プレミアムパック」が出展された。「MR」の家具類は白と黒の2種類のカラーリングが用意されており、今回の「MR プレミアムパック(エスクァイア バージョン)」は下画像の通り「ブラックバージョン」だった。
またバンレボでは、三兄弟ミニバンをベース車としたバンコンとして、「MR」のほかにも「MR-2」と「MR-S」も用意している。内装デザインと、標準装備の種類や数が異なっている。標準装備の数では、「MR プレミアムパック」(中でもハイブリッド車がベースのモデル)が最も充実した1台となっている。
「セレナ P-SV」(日産ピーズフィールドクラフト)
日産プリンス東京販売の関連会社としてスタートした、日産ピーズフィールドクラフト(東京都世田谷区)。ミニバン「セレナ」やトールワゴン「キューブ」、商用大型ワンボックスカー「NV350キャラバン」、商用バン「NV200バネット」などの日産車をベースにしたキャンピングカーを手がけている。
上画像は、「セレナ」をベースとした「セレナ P-SV」。”P-SV”とは、ポップ(アップ)ルーフ・スリーピング・バージョンの略。ポップアップルーフによるルーフ上のアッパールームは、テントにレインカバーをかけたり、ハーフオープンでメッシュにして風通しをよくしたり、フルオープンにして風を直接感じたり夜の星空を眺めたりといったことができる。ルーフをポップアップさせる際は、油圧ダンパーのアシストを得られるので、大きな力は要らない。また、天井に設けられたアッパールームへの開口部はフルオープンすれば900×650mmのサイズがあり、ここを利用すれば立ったまま着替えもできる設計だ。
また「セレナ P-SV」は標準装備は少なく、必要な装備をすべてオプションで追加するようにし、車両価格を抑えられている。
愛犬と一緒にキャンプに!「FREED+ DOG LOVER」(ホワイトハウス)
ホワイトハウスは、キャンピングカーのベース車としては珍しいホンダ車を多数扱う。そうしたホンダ車ベースのキャンピングカーの中で、アクセサリー類などを扱うホンダアクセスとのコラボレーショにより、2017年に誕生したのが「FREED+ DOG LOVER」だ。小型ミニバン「フリード」の上級モデル「フリード+」をベースにしたホワイトハウスのバンコン「FREE STYLE」に、愛犬と共にオートキャンプを楽しむための特別装備を追加した1台となっている。
追加された主な特別装備は、車内に入れたくない汚物などを車外に収納できる「クォーターウインドーボックス」、荷室に設置する愛犬用の給水器とゴミ箱「ダストボックス付きビルトインウォーターサーバー」など13種類だ。
日本で最も人気の軽自動車がキャンピングカーに!「N-BOX Camper Neo [POP HOT Package]」(ホワイトハウス)
ホワイトハウスの軽キャンパー「N-BOX Camper Neo」は、ここ数年、登録車も含めて最も売れている国産車である「N-BOX」をベースとした1台だ。3種類のモデルがあり、今回出展されていたのは、ポップアップルーフを標準装備した最上級の「N-BOX Camper Neo [POP HOT Package]」だ。ポップアップルーフ内にもベッドスペースがあるので、子ども2人が就寝可能だ。また後列シートを倒すことで展開できるセミダブルスペースは、身長190cmの大人が2人、足を伸ばして寝ることが可能。大人2人と子ども2人が寝られ、家族でキャンプに出かけやすい1台となっている。
このほかホワイトハウスブースで展示されたホンダ車ベースのキャンピングカーとしては、軽キャンパー「N-VAN COMPO」や、ファミリーユースのワンボックスカー「ステップ ワゴン」ベースの「STEP WGN SPADA DECK ONE POP WEEKENDER」などもあった。
キャンピングカーというと、どうしても居住スペースの広さや耐久性の高さといった面から、商用車がベースとして選ばれることが圧倒的に多い。しかし数は多いわけではないが、こうして人気の高いミニバンや軽自動車などをベースにしたキャンピングカーを製造しているビルダーも存在する。愛車をキャンピングカーに改造したいといった希望や、お気に入りの車種をベース車にしたいといった要望は、ビルダーに相談してみるといいだろう。