トヨタ・ハイエース、19夏の新型キャンピングカー
7月20日(土)・21日(日)に開催された「東京キャンピングカーショー」(東京ビッグサイト・青海展示棟)。170台以上のキャンピングカーが出展された中で、「ハイエース」ベースのキャンピングカーは約70台と約4割を占め、日本のキャンピングカー市場を支えていることを改めて感じさせた。「ハイエース」ベースのキャンピングカーはバンコンとキャブコンの2種類があるが、ここではボディの形状を維持したバンコンのニューモデルを紹介する。
トヨタ「ハイエース」は長らく日本のキャンピングカー市場を支えている車種だ。全長・全幅・全高などさまざまなバリエーションがあり、ベース車として目的に沿ってキャンピングカービルダーがチョイスしやすいこと、そしてタフな作りであることも好まれる理由だ。さらには、「キャンパー特装車」と呼ばれる、ビルダー向けのベース車までラインナップされている。
「ハイエース」をベースにしたキャンピングカーはバンコンが大多数を占める。実際、今回出展されたバンコン約90台に対し、「ハイエース」ベースは3分の2の約60台。今でこそさまざまな車種のバンコンが増えてきたが、バンコン=「ハイエース」といって差し支えない状況である。
ルーフトップテントなどアウトドア志向が際立つ1台! WORKVOX「セドナ バンライフ タイプ III」
WORKVOX(京都府京田辺市)の「バンライフプロジェクト」から誕生したコンプリートモデルの1台。同プロジェクトのコンセプトは、余計なものを省いて室内から見える景色を楽しむという、日本建築の考え方からヒントを得たもの。家電などの便利なものを省き、「不便を楽しむ」というものだ。ここ1~2年、大容量のサブバッテリーや走行充電システムなどを搭載し、家庭用エアコンを初めとする多数の家電を搭載し、自宅での生活をそのままクルマでも再現する豪華な「グランピングカー」が人気となっているが、その真逆ともいえるコンセプトだ。展示車両に標準装備はなく、すべてオプション装備という異色の1台である。
普段と休日のどちらの利用も考えた、ALFLEXの”キャンピングカーのようなクルマ”「ADDSET C’s NEX CW-8」
「ADDSET C’s NEX CW-8」は、ALFLEX(アルフレックス:京都市南区)が手がけた、”キャンピングカーのようなクルマ”。そのコンセプトは、週末や休暇などの特別な時間だけを楽しむのではなく、”普段も使用するクルマがキャンピングカーのように楽しめること”だという。実際、展示車両は精悍な印象こそあるが、あまりキャンピングカー的な雰囲気を感じさせない。そして車内は心地よさを求め、また閉塞感を与えないようにするなど、細やかな設計と数多くのプロセスを経てたどり着いたというカラーリングやデザインを採用したという。
輸入大型モーターホームなども扱うデルタリンクのオリジナルシリーズ第3弾「D.V.D Darwin Q3」
岡山に本社を構え、関西、中京、関東に加え、海外展開もしているデルタリンク。現在では、他ビルダー2社と共にLACホールディングスとして一体的な運営が行われている。デルタリンクは、スロベニアの大手ビルダーであるアドリア社製大型モーターホームの輸入などで知られるが、独自ブランド「D.V.D」を立ち上げ、「ハイエース」ベースのオリジナルバンコンも発売するようになった。「Darwin Q3」2019年式は、そのシリーズ第3弾の最新モデルである。「Darwin」シリーズは車内の家具の作り込みが丁寧で高級感がある点がポイント。また2019年式から、シートカラーが2色から選べるようになった。
ゆとりあるふたり旅向けバンコン・Vehicle「ハウベル」
草加市に本社を構えるVehicle(ビークル)は、「ハイエース」と日産「NV350キャラバン」という、キャブオーバー型の大型ワンボックスカーをベースとしたキャンピングカーを扱っている。同車は、「ハイエース」で最も全長がある「スーパーロング」(全長5380mm)をベースにふたり旅用の「デュオ」を開発。そして、全長が4695~4840mmの「ロング」をベースに、「デュオ」のふたり旅用レイアウトを適用したのが上画像の「ハウベル」だ。ふたり旅用レイアウトとは、ふたりでくつろげることを考慮して設計されたもの。シンプルな構成の車内に上質な家具を配置。照明も上質さを演出するような色味と配置を考えられているのだ。
「ハイエース」のキャンピングカー専門店4C’sが贈る「スマートキャンパー 5s」
現行車種のH200系「ハイエース」を専門とし、そのカスタムやキャンピングカー製作を行う千葉市花見川区の4C’s(フォーシーズ)。画像は、同車の「ハイエース」ベースのバンコン「スマートキャンパー」シリーズの1台である「5s」だ。全長4700m以下×幅1700m以下×全高2000mm以下という4ナンバーサイズ(乗用車なら5ナンバーに相当)であることから取り回しが良くて人気がある、”標準ボディハイルーフ特装車”をベースにして開発されたバンコンである。車内はそのハイルーフを活かし、吊り戸棚を用意。また天井には、調光式LEDダウンライトも用意されている。さらに、上1600×1400mm、下1800×1400mmという2段ベッドも備えられている点もポイント。
「ハイエース」と一口にいっても、さまざまなボディサイズがあることは既述の通り。そのどれをベースにするかで、できあがるバンコンもその用途や特性が変わってくる。実に多種多様で、まさに”「ハイエース」ベースのバンコン”だけでキャンピングカーの1ジャンルが成立すると行っても過言ではないのだ。