高速道路の規制工事帯に猛スピードで衝突! 前を見ずに走るクルマが増えた理由
NEXCO中日本 東京支社の公式Twitterアカウントが投稿した動画が話題となった。内容は、高速道路上の工事規制箇所にクルマが猛スピードで衝突するという映像だ。このような事故が増えている現状と原因について解説する。
前方確認は!? 猛スピードで工事帯に突っ込むクルマたち
「高速道路上の工事規制箇所へ衝突する事故が多発しています!」
NEXCO中日本はこのような悲痛なメッセージと共に動画を公開、そこには減速せずに工事中の車両や規制帯にクルマが猛スピードで突っ込む7つの場面が映し出されている。
NEXCO中日本は、これらの衝突事故の原因について、ドライバーによるアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)などの「運転支援機能の過信」によるものや、 スマホ閲覧などの「ながら運転」によるものであると、記録映像から確信しているようだ。
データでみると、NEXCO中日本管轄の高速道路において、2022年の交通死亡事故数は33件、その中でも最も多かった内容が「対停止車両」が最多の14件で、単独事故の8件を大きく上回っている。
また、政府統計の総合窓口「e-Stat」で確認してみると、2018年に高速道路で発生した停止車両への追突・衝突・接触事故は合計で3400件を超えている。つまり、高速道路上でクルマが停止車両に突っ込む事故が、一日に10件近く発生していることになる。
今回の映像では矢印の看板を吹き飛ばして走るクルマだけでなく、車線からはみ出て工事車両に追突・接触するクルマの姿もあった。なかでも大型車両による工事車両へ追突する様は恐怖そのもので、工事作業員の安否を気にせずにはいられなくなる。
運転支援機能の過信はダメ!
衝突事故原因のひとつである「運転支援機能の過信」については、運転支援機能は運転をアシストするものでしかなく、あくまでも運転の責任はドライバーにあるということを再認識しておきたい。たとえば、自動運転レベル2に該当するACCなどのアシスト機能では、工事規制箇所に設置された矢印板には反応できないことも多い。当然、それらを避けて安全に運転する責任はドライバーにある。運転支援機能がまるで自動運転であるかのように説明されることもあるが、現実には決して自動運転ではないということを忘れてはいけない。
この件については、国土交通省でも強く注意喚起をしている。ACCや車線維持装置、衝突被害軽減ブレーキなど、運転支援システムの過信による危険性を示した実験動画を公開しているので確認しておこう。
もう一つの原因であるスマホの「ながら運転」。こちらは説明の必要もなく論外だが、高速道路を時速100kmで走行する場合、1秒で約30mも進むのである。ドライバーとして、再度、運転操作の主体は常に自分だと肝に銘じて運転に臨んでほしい。
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