NEXCO西日本が、2018年の交通死亡事故の発生状況を発表。
NEXCO西日本株式会社(大阪市北区)は1月30日、同社管内における平成30年の交通死亡事故発生状況を発表した。昨年と比べると、死亡事故発生件数と死者数は共に減少したが、高速道路ではあり得ない「まさかの事故」が3割以上も占めるとし警鐘を鳴らした。まさかの事故とは?
死亡事故件数と死者数ともに最少
上グラフを見ると、NEXCO西日本管内における平成30年の交通死亡事故件数は32件で、平成29年の38件から7件減少し、道路公団民営化(平成17年10月)以降最少であると分かる。3年連続で減少しているが、さらに減らしていくためにはどんなことが必要なのだろう。
死亡事故の内訳に、そのヒントがあるかもしれない。上グラフを見ると、昨年、おととしで最も多かった単独での死亡事故は、平成30年には半減した、それが死亡事故の減少に大きく貢献したと言えるだろう。しかし、昨年に比べて走行車両同士の死亡事故が増えてしまった。ここに課題がありそうだ。
もう一つ、平成30年に対人の事故件数は減少したとはいうものの、「歩行者」と「停止車両」と事故が全体の約3割合を占めていることがわかる。昨年、おととしもこの傾向は同じであり、歩行者との事故こそ減ったものの、停止車両との事故は減る気配を見せない。ここに2つ目の課題があると言えよう。
つまり、この2つの課題の解消が交通死亡事故の減少には欠かせないのだ。
対人・対停止車両との事故を減らすためのポイント
上グラフによると、全国の高速道路での死亡事故の原因は、前方不注意の割合が最も多い。これは1つ目の課題である「走行車両同士」の事故、2つ目の課題である「歩行者」「停止車両」との事故のどちらにも共通した傾向である。走行中に前方から注意を逸らすことがいかに危険かわかる。
さらに停止車両との事故では、路肩停止車両よりも圧倒的に車線停止車両への追突が多い。走行車線に停止している車両が存在するはずないという思い込みから前方の車が停止しているかどうかを確認しないことが多くの事故の原因であると言えそうだ。
同社は、交通安全の啓発活動として、以下のポイントを徹底して欲しいと呼びかけている。
1.漫然運転やわき見運転をしない!
高速道路における死亡事故の大半が、漫然運転やわき見運転によるものと考えられている。「考えごとやぼんやりしていた」「外の景色や車内の落下物に気をとられていた」などの理由により、前方への注意をおろそかにしない。
時速100kmで走行中の車は1秒間に約28mも進むため、一瞬の気の緩みで重大な事故につながる恐れがある。前方や周辺状況に注意しながら、十分な車間距離をとって運転する。特に深夜、早朝の時間帯や雨天時には、速度を控えるなどを心がけたい。
2.車外放出事故防止のために、全席・全員シートベルト着用!
高速走行で衝突した場合、シートベルトを着用していないと、ガラスを突き破って車外へ放出されることがある。路面への落下時の衝撃や後続車との接触で、死亡に至るケースもあり、高速道路におけるシートベルト非着用者の致死率は、着用者の約14倍にもなるという。
運転席、助手席だけでなく、後部座席も必ずシートベルトを着用する。また、6歳未満の子どもには、チャイルドシートを使用することを励行しよう。
3.万が一事故や故障が起きたら
万が一事故や故障が起きた時は、まず「後続車に合図」をし、速やかに「安全な場所へ避難」してから、110番や道路緊急ダイヤル(#9910)などで通報する。
・後続車に合図
ハザードランプ・発炎筒・停止表示器材などで後続車に対する注意喚起を行う。移動する際は、ガードレールの外側や中央分離帯に沿って後方へ移動する。
・安全な場所に避難
車内や車のすぐそばでの待機はしない。追突された時に巻き添えにならないように、自車より後方のガードレールの外側など安全な場所へすみやかに避難する。
・絶対に歩き回らない
事故・故障車付近の本線車道や路側帯を歩き回らない。一般道と同じ感覚での歩行は絶対にしない。
4.悪質・危険な運転で追われるなどした場合
危険な運転者に追われるなどした場合は、SA・PA等に避難して、車から出ず、侵入に備えてカギをかけた上で、ためらうことなく110番通報する。
どれも当たり前な事であるが、実際に自分の身に事故が起こった時は、パニックになってしまうこともあるだろう。万が一の場合に備え、今一度確認しておこう。