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最終更新日:2024.07.26 公開日:2023.06.28

もしトンネル火災に遭遇したらどうすればいい? 命を守るための行動を知る

高速道路をはじめとした道路トンネル火災の発生数は、2018年には25件、2019年には39件、2020年には38件にのぼっている。もし運転中、トンネル火災に巻き込まれたらどうすればいいのか。いざというとき、命を守るための行動を知っておこう。

文=KURU KURA編集部

高速道路のトンネル火災の原因は?

© Rico Lob – stock.adobe.com

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高速道路では過去にも大規模なトンネル火災が発生している。凄惨を極めた東名高速道路の日本坂トンネル火災事故(1979年7月11日発生)は、危険物を積載した大型トラックを含む多重衝突事故の発生時、漏れたガソリンが発火。死者7名、負傷者2名を出した。また、火災発生時、トンネル内に侵入していた車両も多く、置き去りにされた車両は3日間にわたり燃え続け、車両173台が焼失している。

これまでのトンネル火災事故を教訓に、様々な安全対策を講じて今日に至るが、それでもたびたびトンネル火災は発生している。

首都高速道路によると、車両火災は車両どうしの衝突など、交通事故をきっかけとした炎上だけでなく、タイヤ周辺やエンジン部の整備不良でも起こっているという。高速道路を利用するドライバーにできる安全対策は、3カ月に1度の定期点検と運行前の日常点検の実施が重要だという。

トンネル内で火災に遭遇! すぐにクルマから降りろ!

トンネル内警報板。トンネル走行中でも火災の発生を知ることができる (阪神高速道路資料)

万が一、トンネル内を走行中に自分のクルマ、もしくは近くを走行するクルマから、煙や炎が出ていたらどうすればいいのだろうか?

クルマから煙や炎が出火している状態でトンネル内を走り抜けたり、火災車両の横をすり抜けてトンネルを走り抜けようとするのは非常に危険だ。火災発生箇所の先は煙が充満しており、視界を確保できないうえ、有毒ガスが発生している可能性もある。まずは、落ち着いて停車するのが鉄則だ。

このとき、非常口の前には停車しないようにすること。そして左側に寄せておくことを徹底してほしい。もし、左側に駐車できないときは右側でも構わない。消防車両や警察車両が通行できるよう、中央部を開けておこう。

クルマを降りたら通報すること。約50m間隔で設置している「押しボタン式通報装置」、約100m間隔で設置している「非常電話」の他、携帯電話から「#9910」の道路緊急ダイヤルに通報することもできる。道路緊急ダイヤルに通報するときは、トンネル内に表示されている「キロポスト」も伝えると場所の特定が早くなる。

押しボタン式通報装置でも非常電話でも自らの携帯電話でもいいので速やかに通報しよう (首都高速道路資料)

通報後は、安全が確認でき、背丈を超えない程度の火災であれば、50m間隔で設置されている消火器や泡消火栓などで初期消火にあたってほしい。しかし、火災が拡大し、手に負えないときは、電光掲示板の表記やスピーカーの音声の指示に従って非常口に向かってすみやかに避難することが大事だ。

非常口標識(右図)に従い非常口を目指そう (阪神高速道路資料)

避難するときは、以下の項目を徹底してほしい。

(1)クルマのキーは置いたままor差したままにしておく
(2)窓はしっかり閉めておく
(3)貴重品を持ち出す
(4)ドアはロックしない

トンネル火災の発生時には、消防や警察が放置車両を移動させることがあるので、スムーズな消火活動や救助活動のためにも、クルマのキーは置いておくか差したままにして、ドアのロックはかけないでおこう。

最新の避難施設には滑り台が設置されている!

シールドトンネル下部の避難施設は道路空間と遮断されており安全が確保されている (阪神高速道路資料)

ちなみに、トンネル内に設けられる避難施設の構造もひとつではない。開削工法などで掘られたトンネルは、非常口から階段を上って地上に出るタイプのものだが、シールドマシンで円形に掘り進めていくシールド工法によって掘られたトンネルには、非常口に滑り台を設置して道路下部の空間に滑り込めるようにしたタイプのものもある。

非常口の滑り台で道路下部の安全な空間に避難したら、あとは通路を歩き、設置されている階段を上って地上に出る。シールド工法特有の道路下部の空間を有効利用した避難施設というわけだ。

トンネル内で火災発生!? 中に入らず手前で停車!

© Paylessimages –stock.adobe.com

高速道路のトンネルに差しかかると……信号機、情報板、坑口フラッシング(トンネル入口付近の天井に設置された点滅させることで注意を促すライト)などで火災の発生を知らせている。そのときは、トンネル内には侵入せず、トンネルの手前で停車しよう。トンネル内で火災に巻き込まれ、自分自身の身を危険にさらすだけでなく、車両の放置を余儀なくされ、焼失するようなことにもなりかねない。

停車する際には、トンネル内で火災に遭遇したとき同様、消防車両や警察車両が通れるよう、左側にクルマを寄せる。できなければ右側にクルマを寄せ、中央部をあけておくようにする。停車後は駆け付けた道路管理者のパトロール隊や、消防隊、警察隊の指示に従ってほしい。

小規模なトンネル火災をきっかけに、大規模なトンネル火災に発展することも十分にあり得る。トンネル火災なんてそうそう起こらないと油断することなく、いざというときのために対処法は頭に入れておいてもらいたい。

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