トヨタ、全国の販売網を見直し。全ディーラーで全車種購入可能に
トヨタは10月1日、全国の販売網を見直していくと発表した。
トヨタは「トヨタ店」、「トヨペット店」、「カローラ店」、「ネッツ店」と4つの販売チャネルを持っている。このチャネル制を、トヨタはこれまで販売の強みとしてきた。店によって購入できる車を違えることで、販売店の車種の競合による食い合いを防いできたのだ。例えば、新型「クラウン」を購入するならトヨタ店とトヨペット店、新型「カローラ スポーツ」を購入するならカローラ店といった具合だ。
自動車の販売台数が右肩上がりの時代にはこの手法でも良かったが、新車販売台数が落ち込みを見せる中、トヨタ車全体の販売台数を確保する策に変更していくというものだ。その大きな施策の一つが、全販売店全車種併売化だ。要はどこのトヨタディーラーに行ってもトヨタの全車種の中から好きな車種が購入できるようになるのだ。
トヨタではまず、東京にあるメーカー直営の4社を融合しチャネル制を廃止。看板は「トヨタ」ブランドに統一することから始める。そのための新会社を2019年4月に立ち上げるとしている。
この全販売店全車種併売化を22年~25年までに全国で実施するとしているが、一方でチャネル制については今後も維持する見込み。これは、トヨタには直営ではない販売会社も多く、長年地域に密着して築いてきたブランドを毀損しないための手立てだろう。トヨタの豊田章男社長は、1日に開催した全国トヨタ販売店代表者会議の席上「トヨタの強みは(各ディーラーの)経営者の方々が地場資本であるということ。故郷を愛し、本気で本音で地域の発展を願う人の集まり。トヨタのアドバンテージだ」と持ち上げた。
かつては、他の自動車メーカーもチャネル制を敷いて、各ディーラーは専売車を多く抱えていた。だが、古くは1990年代にマツダが多チャネル化の影響で業績不振に陥って、販売網のチャネルを整理・統合(一部チャネルは維持。2016年に全店全車種扱いになった)。2006年にホンダがプリモ店、クリオ店、ベルノ店をホンダカーズに統一した。2007年には日産がそれまでの2チャネル制を廃止している。トヨタのみが残っていたが、今回ついに全店舗全車取り扱いに踏み切ることになった。トヨタの目標である150万台販売達成も含めて、注目したい。