【ジャパントラックショー2018】いすゞの「ギガ」「ギガトラクタ」などを紹介
5月10日から12日まで、パシフィコ横浜で開催された「ジャパントラックショー2018」。国内トラックメーカー4社、海外メーカー、正規輸入代理店、そのほかに関連会社を含めて合計129社が出展し、3日間で合計5万1744名が来場した。
2017年における国内商用車4大メーカーのトラックの合計販売台数は、日本自動車販売協会連合会(自販連)の集計によれば9万5207台。ここでは、その内、3万3123台で約34.8%を占めて2位となったいすゞを取り上げる。
大型から小型まで4車種を出展! いすゞ
いすゞの2017年のトラックの販売台数は先ほど述べたように3万3123台で、3万6379台を販売した日野に次ぐ台数となる。ただし、バスなども含めた2017年の売上高や経常利益などは日野を上回っている。
そんないすゞのトラックのラインナップは、大型車「ギガ」、中型車「フォワード」、小型車「エルフ」の3車種。今回は、「ギガ」のカーゴタイプ「Gカーゴ」と、トレーラーヘッドの「ギガ Gトラクタ」、「フォワード」、「エルフ」の合計4車種が展示された。
5つの視点で磨き上げられた大型車「ギガ」
「ギガ Gカーゴ」。全長11985×全幅2495×全高3795mm、ホイールベース7335mm。荷台内寸法:長さ9675×幅2410×高さ2655mm。重量:車両1万1055kg、最大積載量1万3800kg、総重量2万4965kg。排気量9839cc、ディーゼルエンジン「6UZ1-TCS」。最高出力279kW/1800rpm、最大トルク1814N・m/1000-1200rpm。サスペンション前リーフ・後4バッグエア。乗車定員2人。
いすゞの大型車「ギガ」シリーズの現行モデルは、2017年4月にマイナーチェンジが行われた。平成28年度排出ガス規制への対応を行い、また同年11月から適用された最新安全法規に対応するため、衝突被害軽減ブレーキ(緊急時に作動する自動ブレーキ)などの先進安全装置を搭載して安全性が高められた。
「ギガ」は、5つの視点で磨き上げられており、いすゞはそれを「5ツ星トラック」としている。5つの視点とは、「快適な運転環境の実現」、「低燃費の追求」、「トータルセーフティの追求」、「高積載の確保」、「情報通信による遠隔モニタリング」だ。さまざまな新機能が搭載されているが、例えば低燃費に関しては、地図情報を活用して省燃費を実現する「Smartグライド+g」が搭載されている。
そしてボディタイプとしては、今回紹介している「カーゴ」のほか、温度管理機能を有する「カーゴクール」、砂利や砂などの運搬用の「ダンプ」、トレーラーヘッドの「トラクタ」などがある。
エンジンはいすゞが細部までこだわって燃費性能を高めた、次世代ディーゼルエンジン「D-CORE」シリーズを搭載。そのほか、CNG(天然ガス)エンジンもラインナップされている。
「ギガ」の運転席。画像だとマニュアルのシフトノブに見えるが、実は機械式自動変速機構(AMT)「スムーサーGx」搭載車種で、ATのギアセレクターだ。「スムーサーGx」は勾配や積載量に合わせて省燃費なギアを自動選択する「Smartシフト」、過剰なエンジントルクを自動カットしたり、空車や軽積載時に積車時並みの加速に抑制したりする「Smartアクセル」、一定速度で走行中に自動でギアをニュートラルにして慣性走行して(この間、エンジンはアイドリング状態で、フューエルカットはしてない)省燃費化を図る「Smartグライド」という3つの制御機能を有する。ギア数は12速と9速の2種類。またMTもあり、こちらは9速と7速が用意されている。
矢野特殊自動車の低温冷凍ウィング車「冷食ウィングXF ネクスト フューチャー」を装備した「ギガ」。同ウィング車の特徴は、クールダウンスピードが同社従来製品より早くなっており、庫内温度35度から55分で0度に到達し、マイナス20度までは2時間50分。どちらも25分短縮している。約7時間でマイナス35度まで冷却できるという。
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続いてはトレーラーヘッド「ギガ トラクタ」!
トレーラーヘッドの「ギガ トラクタ」
「ギガ Gトラクタ」。全長5610×全幅2490×全高3235mm、ホイールベース3180mm。重量:車両7100kg、総重量1万8710kg。第5軸荷重:11500kg。排気量15681cc、ディーゼルエンジン「6WG1-TCC」。最高出力338kW/1700rpm、最大トルク2256N・m/900-1300rpm。サスペンション前リーフ・後4バッグエア。乗車定員2人。車両価格は、1500万~2000万円ほど。
トレーラーヘッド「ギガ Gトラクタ」は、「ギガ」の1グレードというよりはひとつの独立した車種に近く、フルモデルチェンジのタイミングも異なっており、現行車種は2016年4月に登場した。運行コスト低減に加え、ドライバーの疲労軽減を考慮したほか、情報通信による遠隔モニタリング「MIMAMORI」を使用した稼働サポートサービスが用意された。
エンジンは複数が用意されており、「6WG1」と「6UZ1」はラジエターサイズを拡大し、アイドリングストップ&スタート機能「エコストップ」を採用。両エンジンを搭載したモデルの一部は、平成27年度燃費基準+5%を達成した。
また「6UZ1」はエンジン本体の改良も行われ、ターボシステムの仕様変更、インタークーラーの大型化、EGRクーラーの高効率化、サプライポンプの変更、新インジェクターおよび超高圧コモンレールの採用がなされ、低・中回転域のトルクアップが実現し、燃費が向上した。エンジンリターダの採用により、補助ブレーキも十分な力が確保されたという。
さらに、新型エンジン「6NX1」も用意。小排気量かつ2ステージターボの採用で、低速域から高速域まで広い回転域で安定したトルク特性を発揮できるのが特徴となっている。
トランスミッションも「ギガ」と同じで、AT車にはAMT「スムーサーGx」が採用されている。
青が美しいシート。運転席に関しては「運転疲労軽減シート」となっている。大型ヘッドレストが採用され、ショルダー部が左右に張り出して高いサポート性を実現。座面の長さと幅もゆとりを持たせている。さらに、低反発クッション材が採用され、メッシュ地のシート表皮で、通気性も確保されている。アームレストなどの調整機能も無段階で行えるので、体格や体型、好みなどに合わせた細かい設定が可能だという。
小平産業ブースの「フラッツモール型ズームダンプトレーラ(土砂以外運搬用の3軸スーパーシングル車両総重量36t車)」。リアゲートを斜めにし、ボディのオフセットを前方にすることで、第5輪荷重を増やしている。それにより、2軸車でも車両総重量が増え、高積載の確保が可能だという。なお第5輪とは、トレーラーヘッドとトレーラーを連結させる装置のこと。
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次は中型車の「フォワード」!
低燃費が特徴の中型車「フォワード」
「フォワード Fカーゴ」。車両寸法:全長8485×全幅2260×全高3660mm、ホイールベース4860mm。荷台内寸法:長さ6210×幅2155×高さ390mm。重量:車両3640kg、最大積載量4150kg、総重量7900kg。排気量5193cc、ディーゼルエンジン「4HK1-TCS」。最高出力154kW/2400rpm、最大トルク706N・m/1400-1600rpm。サスペンション前後共に半だ円形板ばね。乗車定員2人。
1970年に誕生して間もなく半世紀という、いすゞの中型トラック「フォワード」。現行モデルは、2017年4月にマイナーチェンジを受けたものだ。
このマイナーチェンジでは、ターボシステムや燃料噴射装置、冷却系など、エンジンの広範囲が改良された。それに加えて排出ガス後処理装置の性能の向上もなされ、平成28年排出ガス規制に適合となった。
また、「フォワード」の特徴である低燃費がさらに追求され、アイドリングストップ&スタートシステム「エコストップ」を搭載した車種では、国内中型クラス(車両総重量8~14.5t)で初となる平成27年度重量車燃費基準+10%を達成している。
そのほか、全輪駆動車およびCNG車を除いた主要なカーゴ系には、衝突被害軽減ブレーキを初め、ミリ波車間ウォーニング、車線逸脱警報などの先進安全装置が標準装備となった。衝突被害軽減ブレーキはミリ波レーダーとカメラの組み合わせは変わらないが、両者のターゲットロックオン性能を向上させたことで、減速効果を高めたという。ちなみに14.5t以上のタイプには電子式車両姿勢制御システムが標準装備とされている。
さらに、2017年3月に新設された準中型免許に対応する車両総重量7.5t車も新たに設定された。ちなみにUDトラックスの「コンドル」は「フォワード」のOEM車だ。
「フォワード」の運転席。今回の展示車両はMT車だったが、いすゞのAMTシリーズの「スムーサーFx」を搭載したAT車も存在する。「スムーサーFx」には、「スムーサーGx」の3機能の内の「Smartシフト」と「Smartアクセル」が備わっている。AT車は9速、MT車は9速および6速となっている。
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街中で見かける率ナンバー1の小型トラック!
小型トラックの代名詞的存在・小型車「エルフ」
「エルフ」。車両寸法:全長6475×全幅22225×全高3085mm、ホイールベース3395mm。荷台内寸法:長さ4480×幅2080×高さ2150mm。重量:車両3220kg、最大積載量2000kg、総重量5385kg。排気量2999cc、ディーゼルエンジン「4JJ1-TCS」。最高出力110kW/2800rpm、最大トルク375N・m/1400-2800rpm。サスペンション前インディペンデント・後リーフ。乗車定員3人。
日本の小型トラックの代名詞的な車種である「エルフ」。実際、日本自動車販売協会連合会によれば、2~3tクラスキャブオーバー型トラックにおける車種別の国内新車販売台数において、2001年から2017年まで17年連続で第1位を獲得している。
現行モデルは2014年11月にマイナーチェンジを受けたものだ。ハイブリッド車のマイナーチェンジは2015年4月に行われている。また2018年3月には、車両総重量7.5tを超える「エルフ」についてのみ新型エンジン「4JZ1」を搭載し、後処理装置を改良したことで、平成28年排出ガス規制に適合させた。
「エルフ」は低燃費が特徴のひとつ。マイナーチェンジにおいて低圧縮化と新インジェクターの採用、そして「エコストップ」の追加といったエンジンの改良に加え、可変容量パワーステアリングポンプの採用、6速トランスミッションのギア比の見直し、そして省燃費タイヤの装着によって、小型ディーゼルトラックで屈指の低燃費を実現した。2~3t積み「エコストップ」装着車、車両総重量7.5t超クラスの110kWエンジンの「エコストップ」装着車および129kWエンジンの全車で平成27年燃費基準+10%、それ以外でも同+5%を達成している。
MT車、AMT「スムーサーEx」搭載のAT車のどちらも「ECONOモード」を搭載しており、MT車の場合は加速時などの過剰なエンジン回転数を自動でカットしてくれる仕組みとなっている。「スムーサーEx」の「ECONOモード」は省燃費自動変速により、燃料消費を抑制したおだやかな加速を行う仕組みだ。
「エルフ」の運転席。展示車両は、「スムーサーEx」を搭載したAT車。AT車とはいっても、手動変速を容易に行えるシーケンシャル・マニュアル・トランスミッションとなっており、ATとMTのいいところ取りの仕組みを持っている。
2018年5月25日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)