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最終更新日:2018.04.27 公開日:2018.04.27

トヨタとシェル、米で大型水素ステーション建設で協力。燃料電池の商用車普及を目指す

 シェルとトヨタは4月20日(現地時間19日)、世界最大級の貨物輸送拠点、米カリフォルニア州ロングビーチ港に、商用トラック用の大型水素ステーション建設に向けて協力すると発表した。水素は、燃料電池トラックへ供給する方針だ。この両社の動きは、同州政府による800万ドル規模の補助金交付候補に選定されたことによる。

 これが正式に承認された場合、シェルは同港湾地域にあるトヨタの物流拠点に、商用トラック用の大型水素ステーションを建設する。ここで昨年10月より同港湾エリアで実証実験中のトヨタのFC大型商用トラック(写真上)などが水素充填に利用する。トヨタは、バイオマス発電施設「Tri-Gen」で製造した水素をステーションに供給する仕組みだ。

 シェルでは、代替燃料の普及が進んでいない大型商用車に、走行時に二酸化炭素を排出しないことでクリーンといわれている燃料電池を普及させたい考えだ。一方トヨタは、進めてきた燃料電池技術開発を強化し、貨物車の電動化や一般車向けの水素ステーション拡充につなげていくとしている。

 トヨタとシェルは2017年に発足したHydrogen Council(水素協議会)のメンバーだ。この協議会には、世界各国のエネルギー・科学・自動車などのリーディングカンパニーが参画し、水素関連技術の発展を推進していくために発足した。特にトヨタは昨年9月、ホンダとともに同州北部に7か所の水素ステーションを新設すると発表したばかりだ。

 燃料電池車に必要な水素は、大量に作る場合に大掛かりな工場が必要。また、作ったあとも水素をステーション(補給施設)まで運搬するための、これまでの液体燃料と同じようなインフラが必要だ。加えて不安定な水素を安全に運搬・貯蔵・充填できる設備も必要だ。自動車側にも同様の対策が求められるが、この開発にも相当の技術力が求められる。これらが現在、燃料電池車よりもEVが広く普及し始めている要因のひとつになっている。だが、一般の乗用車とは異なり、発着地が限定されるトラックなどの商用車では、燃料電池との相性がいい。水素ステーション間をつなぐように走ればいいからだ。燃料電池はEVの苦手な航続距離も比較的長く取れるという利点も都合がいい。日本国内でも商用部門での水素利用の実証実験に参画しているトヨタ。各国での水素利用の有効性の検証が待たれる。

2018年4月27日(JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一)

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