【自動車なぜなに?】トヨタの設立記念日が設立登記日と違うのはなぜ?
トヨタ初の乗用車「AA型」のレプリカ(当時は、トヨダだった)。まだ豊田自動織機製作所時代の自動車部が開発、1936年7月に名古屋で発表された。排気量3389ccの水冷直列6気筒OHV、65HP/3000rpm、名古屋店頭渡しで価格は3,350円。1942年までに1404台が生産された。
1937(昭和12)年8月28日に設立登記が行われたことから、2017年の同日で80周年を迎えたトヨタ。だとすると、8月28日が創立記念日かと思いきや、11月3日だという。ご存じだっただろうか?
人の場合も、例えば結婚して婚姻届を出した日よりも、結婚式を挙げた日を結婚記念日としている人たちの方が多いのではないだろうか? トヨタは、現社長の豊田章男氏(「とよた」ではなく、「とよだ」と読む)の祖父に当たる豐田喜一郎氏が創業したのだが、1938(昭和13)年11月3日は、同氏にとって非常に大きな転機となった日だったのだそうだ。
喜一郎氏にとって、「大衆のためにクルマを作り、日本を豊かにすること」こそが夢だったという。その夢を具体的に実現するための手段として第一歩となったのが、挙母(ころも)市(現・豊田市)に設立された「挙母工場」(現在の本社工場)。その竣工式こそが1938年11月3日だったのだ。
1938年は日中戦争が始まった翌年で、国家総動員法が公布されたり、ガソリン購入に政府が発行するガソリン券が必要になるなど、戦争が社会に大きく影響を与えていた時代だった。それでも、豊田喜一郎氏は社員を初め多くの人の力を借り、工場建設に着手することにしたのである。そんな特別な日だったことから、現在トヨタでは11月3日を創立記念日としているのである。
2017年11月3日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)