減り行くガソリンスタンド 免許取得者減、エコカー急増、GS受難時代到来
ごく最近、うちから一番近いガソリンスタンドが閉店してしまった。近いといっても、片道1.5キロ位だった。17年前に引っ越してきた際、最寄のガソリンスタンドは300m先にあった。これがなくなりだんだん遠くなって今は2キロを超えた。この店は割と最近リニューアルオープンしたばかりなので、しばらくは閉店とは無縁だろうと踏んでいる。
ガソリンスタンドが減っているのはもちろんウチの近所だけではない。全国的に減少の傾向が激しくなっているのだ。高速道路でもスタンドの数は年々減っており、100㎞以上もガソリンスタンドがない「空白区間」は、なんと全国で80か所以上になるそうだ。
現在、日本国内にある給油所数は31,467(平成29年3月末)。28年度末に比べると866給油所がなくなってしまった。職権消除件数※(93件)を除くと773給油所の減少となる。
※ガソリンスタンドを廃業して一定の年数が経過しているにも関わらず、品確法(揮発油等の品質の確保等に関する法律)に基づく廃止手続きを行わず、連絡もつかない事業者に代わって、経産局等が廃止手続きを行った件数のこと。
(平成29年7月経済産業省資源エネルギー庁 資源燃料部石油流通課作成)
なぜ、こんなにガソリンスタンドの数が減っているのだろうか?理由をざっくりとだが挙げてみよう。
1.燃費のよい車が増えガソリンの需要が減った
2.車に乗る人が減って、ガソリンの需要が減った
という理由も根本にあるだろう。そして、ガソリンの消費量自体が減ればガソリンスタンドの収入も減って経営が成り立たなくなる。
ガソリン需要見通し 平成27年経済産業省
もう一つ、別の面からの理由が「ガソリン貯蔵タンク問題」である。現在日本に存在するガソリンスタンドの多くは、モータリゼーションが急速に進んだ高度経済成長期となる1970年代に作られた。給油所の貯蔵タンクは地下に埋設されていて、設置から40年以上経過すると補修しなくてはならない。
加えて、10年に消防法が改正され、規制が大幅に厳しくなった。補修には数百万円もかかることがあり、ただでさえ経営が悪化しているガソリンスタンドをさらに苦しめる結果になっている。
後継者不足などの問題も深刻で、それならいっそのこと廃業しようといって、閉店する個人経営のスタンドも増えているということだ。
20年ほど前までは、ガソリンスタンドにはお客もバイトも車好きの若者が集っていた。若者の車離れが進んだ今、そのような光景を見られる場所はほとんどなくなってしまった。時代の流れとはいえ寂しい限りである。
2017年10月30日(雨輝・加藤久美子)