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最終更新日:2017.10.13 公開日:2017.10.13

【2017/9/26~11/26】 仏像女子注目!特別展「運慶」、最高峰の作品が奇跡の集結

 平安末から鎌倉時代にかけての動乱期に卓越した造形力によって、まるで生きているかのような写実性にあふれる仏像を生み出した運慶。
 日本でもっとも著名な仏師の傑作が集結した史上最大の「運慶展」が、上野の東京国立博物館で9月26日~11月26日まで開催されている。

展覧会のみどころは?

みどころ①天才仏師・運慶の名作が一堂に会した奇跡

 運慶は多くの作品を造ったが、日本に現存する運慶の作あるいはその可能性が高いとされているのは30体前後である。
 国宝や重要文化財でもあるそれらの作品は各地の寺院などに分散し、門外不出の場合もある。そのため大規模な運慶展はこれまで実現しなかったが、運慶と縁の深い奈良・興福寺の中金堂債権記念事業として同寺所蔵の作品が出品。さらに京都、和歌山、愛知、静岡ほかで守り継がれてきた仏像も集結することとなり、今回、史上最大の運慶展が実現した。

国宝 毘沙門天立像 運慶作(静岡・願成就院蔵)写真:六田知弘

みどころ② 2mを超える仏像を眼前にする迫力!しかもお寺では見られない360度全方位から

 高さ2mを超える堂々とした体躯の国宝が目の前に立ち並ぶ光景は、まさに圧巻。博物館での展示ならではの後姿を含め、360度全方位から日本最高峰の彫刻を堪能できる。

みどころ③ 親子3代にわたる作品を通して運慶の作風の誕生を紹介

 運慶の初期から晩年までの作品を通覧するとともに、父・康慶から息子・湛慶、康弁ら親子3代の作品を加え、独創的な運慶のスタイルの誕生とその継承という視点から運慶作品を捉えられる。
 運慶と家族、運慶のスタイルを継承した像、約70体が一堂に会している。

→ 次ページ:
運慶の作品って何が他と違うの?

運慶の独創性とは?

生きて動き出しそうな写実性

 運慶(生誕不明~1223年没)は平安から鎌倉時代へ、政治の担い手が貴族から武士に代わっていく激動の時代に生きた。

 当時の仏像の様式は運慶が生まれる100年ほど前に仏師・定朝が完成させた貴族社会に即した穏やかでやさしい仏像だった。その中で運慶はまるで生きて動きだしそうな「リアルな」仏像のスタイルを生み出した。この写実的で現実味あふれる躍動感こそが、鎌倉時代の新しい武士のエネルギーに呼応するもので、運慶は時代の感覚を捉えた彫刻家であるといわれる所以である。

国宝 世親菩薩立像 運慶作(奈良・興福寺蔵)写真:六田知弘

アーティストとして自覚した作品を造った

 定形の阿弥陀如来立像を多く残した同時代の仏師・快慶に比べ、運慶の仏像には定形がないといわれる。運慶は自分を作家と明確に位置づけてつねに新しいものに挑戦した。運慶は日本で初めて仏師として作品にサインを残したが、それはつまりアーティストとしての自覚とプライドをもった仏師であった証とも言えるのではないだろうか。

時代の祈りをキャッチ

 展示作品を見ていると、立像が放つ力強さ、慈愛、おだやかさ、包容力など内面性の深さに圧倒される。運慶の才能が、仏(=神)という目には見えない霊的存在が具現化した仏像の制作に昇華した、まさ天職としての仕事をまっとうした様がありありと感じられる。運慶は仏師の家系に生まれ、信仰を持っていたそうだが、このような卓越した仏像が生まれた背景には”必要性”があったという。

写実的な作品を造った理由

 平安時代の貴族はお金をかけて寺院や仏像を造ることで極楽に行けると信じていた。運慶が生きた鎌倉時代は武士の時代であるが、彼らは殺生を避けられず救いを遠く感じていた。また民衆は飢饉や疫病など死と隣あわせの末法の時代であった。
 人は「少しでも長く生きられますように、死んだら極楽にいけますように」という救いを必要としていた。運慶は民衆の日々の不安や時代の祈りなど切実な思いを鋭い感性でキャッチし、仏の実態を実感できる写実的な仏像を造ったという訳である。

国宝 大日如来坐像 運慶作(奈良・円成寺蔵)写真:飛鳥園

 運慶が彫刻家としていかにすぐれていたのかは、彼の最高傑作といわれる無著と世親の兄弟僧の立像が1996年にパリで出品され、絶賛されたというエピソードをみても明らかだ。
 本展示は貴重な日本彫刻を堪能できる、奇跡の55日間といえよう。

参考:「運慶への招待」浅見龍介 監修

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展示の情報

※招待券プレゼント企画は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

特別展「運慶」

【開館期間】2017年9月26日(火)~11月26日(日)
【開館時間】9:30~17:00(金・土曜日および11月2日は21:00まで)※入場は閉館の30分前まで
【休館日】月曜日(ただし10月9日は開館)
【会場】東京国立博物館・平安館(東京・上野公園)
【最寄り駅】JR「上野駅」
【展示会公式サイト】http://unkei2017.jp/

2017年10月13日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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