日産リーフ フルモデルチェンジ EVの牽引役なるか
この記事をシェア
日産は9月6日、100%電気自動車の「リーフ」をフルモデルチェンジすると発表した。
千葉県・幕張の幕張メッセで開催された同車の発表会には、各国から大勢のメディアが訪れ、その注目度の高さをうかがわせた。先代リーフは世界中でおよそ30万台も販売されたEVだということを考えると、各自動車メーカー、特に欧州メーカーが揃って車の電動化へ舵を切るなか、数少ない日本代表として、いやがおうにも新型リーフへの期待は高まるというもの。
だが、発表会でお披露目された新型リーフの外観は、スタイリッシュではあるが、未来的な斬新さを感じさせるものではなく、むしろ先代のほうが「新しかった」と思う方も多いのではないだろうか。
だがしかし、中身については大幅に進化している。
新型リーフの進化の中身とは?
先代のリーフで、一般のユーザーがもっとも懸念していたのが、一回の充電で走れる距離の短さだった。新型はこの航続距離を400km(JC08モード)まで伸ばしてきた。東京~名古屋間を無充電で走れる性能だ。
国内の充電施設は現在、2万8000基を超える(日産調べ)といわれるので、”電欠”の心配はかなり払拭されたと見てよいだろう。80%まで充電するのにかかる時間は40分(急速充電時)。これは先代モデルの30分よりも長くなっているが、それは電池容量が増えたため。30分間の充電では、先代モデルよりもたくさんの電気を充電できるという。
そして、向上したのは航続性能だけではない。
“普通”に使えるだけではない
新型のパワートレインは、先代モデルから出力を38%増の110kwに、トルクで26%増となる320Nmに性能アップ。加速性能を向上させた。こう聞くと、2Lクラスのガソリン車の動力性能としてはいたって平凡に感じるかもしれない。しかし、回転を上げなければ出力&トルクが出ないエンジン車に比べて、EVは低回転、つまり発進時からいきなり最大に近い力を出すことができる。EVに乗ったことがない人が運転すれば、きっと”速い”と感じるだろう。
そして、この性能を体感しやすくするのが、新機能「e-Pedal」だ。これは、上の図のように、アクセル操作だけで発進や減速はもちろん、停止から停止保持までを行うもの。エンジンブレーキのかかり具合を、ペダル操作で自由自在にコントロールできるようになったというと分かりやすいだろうか。今までに味わったことのない運転感覚を体験でき、渋滞時や坂道走行でも便利な機能だが、不思議なことに運転そのものが楽しくなるという。運転好きなら、ぜひ体感してほしい機能だ。なお「e-Pedal」を使っていても、もっと強い制動が必要なときには、もちろんブレーキペダルで止まることができる。
気になる価格は?
新型リーフには、同一車線を維持して走る「プロパイロット」や、自動駐車システムの「プロパイロット パーキング」など、先進の機能が満載だ(グレードによって搭載の有無異なる)。
価格は315万円~で、これに国から購入補助金が40万円つく。高性能・多機能化したにもかかわらず先代モデルと変わらない価格帯である。
リーフの、この性能、この価格によって、一気にEVの普及が進む可能性が出てきた。冒頭で外観に新奇性が認められないという話を書いたが、普及を促進するに当たって、むしろ冒険的すぎない外観デザインは、武器になる可能性がある。広くユーザーに受け入れてもらいやすいように、日産はあえてこのスタイルで出したのではないかという見方もできる。サイズは全長×全幅×全高=4480mm×1790mm×1540mmと、先代モデルとほとんど変わらない。
発売は10月2日から。なお日産では、新型リーフのバッテリー容量とモーター出力をさらに向上させたハイパフォーマンスモデルを、2018年に発売する予定。
2017年9月11日(JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一)