バウハウスのようにカッコいい アウディ・デザイン部が エアライン・デザインに挑戦!
アウディ・インダストリアル・デザインによる機内食用テーブルセット。© Audi AG
独アウディ社のデザイン・スタジオ「アウディ・インダストリアル・デザイン」が、航空会社向けに機内用の食器やグッズをデザインし、4月にハンブルクで行われた飛行機のケータリング・サービス見本市「ワールド・トラベル・ケータリング&ボード・サービス」に出展した。
アウディがもつインダストリアル・デザイン部門とは?
「アウディ・インダストリアル・デザイン」とは、ミュンヘンに拠点を置くアウディ社のデザイン・スタジオである。アウディのモットー「技術による先進」をより広く実現するために、カーデザインの他に、自転車、スキー、照明などのデザインを手がけ、製品化している。
今年製品化される卓上ランプは、Occhio社とのコラボ作品。© Audi AG
サドル部が特徴的な電動自転車。© Audi AG
アウディの刻印が押されたサッカーゲームもある。© Audi AG
今回発表された新作は、フライト中に使われる食器、アイマスク、シューズ、ケープ(肩掛け)の4点。ルフトハンザなど航空会社に向けて、機内で使われるあらゆる製品のデザインを20年以上にわたって行っているドイツ企業「SPIRIANT(スピリアント)」と共同で開発を行っている。
フライトの未来を考えて
未来の機内用品を提案するアウディのデザインコンセプトは、「スマートな快適さ」と「リラックス&リチャージ(再充電)」であるという。ストレスの少ない快適なフライト、目的地での活動のために力を蓄えるための用品である。
機内での使用度が高いアイテムに映画鑑賞や音楽を聞くためのイヤホン、睡眠を取るためのアイマスクがある。この2つをドッキングさせたのがスピーカーを内蔵できるアイマスクである。どんなポジションでも外れないようヘアバンドのような形にデザインされている。
スピーカーとアイマスクが融合したデザイン。© Audi AG
目を覆う部分も収納可能となっている。© Audi AG
長時間のフライトでの肩こりを解消しリラックス効果をもたらすために考案された肩かけがエレクトロ・ケープだ。USB接続で電気毛布のように上半身を暖めてくれ、リラックスと心地よい睡眠を促す。
© Audi AG
スリッパと靴下を兼ね合わせたラップ式シューズは、足元の冷えを解消するためのもの。ストレッチ素材で脚を包んでつま先で留めることで、全ての人の足にフィットするようデザインされており、ソールはクッション性も備えている。
© Audi AG
食事用のテーブルセットは、第1に客室乗務員の仕事の効率を考え開発されたものだという。食事により食器の深さが組み換え可能で、ドリンク用のカップは多重になったキャップが付き、ティーバッグを置いたりもできる。飲みやすい吸い口など人間工学的観点も含め様々な思考が重ねられている。
© Audi AG
© Audi AG
「こうしたフライトを快適にする製品は、クルマのドライブ用にも適していて応用を考えている」とアウディ・インダストリアル・デザイン部ディレクターのアンドレ・ゲオルギィは述べている。今後おしゃれなドライブ用グッズも開発されるかもしれない。
近年のエコノミークラスの食器やアメニティーは使い捨てが主流であり、デザイン面での配慮は少なくなってきているように感じるが、アウディのテーブルセットを見たときに、昔のルフトハンザの食器を思い出した。ルフトハンザは70~90年代にかけて、バウハウスのデザイナーであるオトル・アイヒャーのコーポレート・ブランディングの下、食器、ロゴ、文房具など機能性とミニマルさが融合した卓越した製品を生み出してきた。
飛行機の機内という旅の思い出がこもった空間でふれるデザインも大切なものである。今後のエアライン・デザインの充実を期待したい。
参考:独アウディ社現地プレスリリース
2017年7月24日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)