モバイル機器をリンクさせる 近未来型電動スクーターを BMWが発表!
BMWコンセプト・リンク。© BMW Group
BMWグループの2輪部門、BMWモトラッドは5月26日、都市の移動に適した近未来的な電動バイク「Concept Link(コンセプト・リンク)」を初公開した。
ベースは未来的な「ビジョン・ネクスト100」
コンセプト・リンクは、昨年秋のLAオートショーで発表された、さらに未来的なコンセプトバイク「Vision Next 100(ビジョン・ネクスト100)」に、インスパイアされたデザインになっているという。
2016年にコンセプトが発表されたビジョン・ネクスト100。© BMW Group
BMWモトラッド設立100周年を記念して構想されたビジョン・ネクスト100は、まるで近未来映画に出てくるようなSFチックなデザインコンセプト、停止中でもバランスを取って自立する機能、事故回避機能によりヘルメットが不要になるなど、オートバイの未来を提示する斬新さで話題を集めた。
ビジョン・ネクスト100の紹介動画
コンセプト・リンクは、未来のゼロエミッション(排出ゼロ構想)・アーバンモビリティを提示する1台、つまり都市部での移動をコンセプトとした電動スクーターに近い、実用性を目的とした乗り物として設計されている。
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BMWモトラッドのデザイン部ディレクター、エドガー・ハインリッヒ氏は、コンセプト・リンクは、デジタルとアナログ世界をリンクする、ライダーとモビリティ(移動やドライブ)のニーズを結ぶコミュニケーションツールのような乗り物であると言っている。友達と会うためには待ち合わせの場所、例えば、コーヒーショップがどこなのかを知る必要があるが、スマートフォンとバイクをリンクさせるなど、都市生活の利便性に対応したモバイル機能を搭載した画期的な未来の乗り物なのだ。
従来のBMWにはないコンセプトデザイン
最初に目を引くのはなんといってもデザインである。
「開発コンセプトは、既存のBMWのバイク技術をベースに改良するというものとは全く異なっています。私たちユーザーが日常で接する機能と技術、デジタル機器を使った、日常生活の中でベーシックに必要なことは何かという「目的」が発想の元になっているからです。デザイン面でまず大きかったのは、床下に設置したフラットなバッテリーや、後輪に内蔵されたコンパクトなモーターです。これが今までのBMWモトラッドにはない、一目で新しいと見て分かるセグメントの誕生を可能にしました。」
BMWモトラッド車両デザインのディレクターであるアレクサンダー・ブッカン氏は、デザインついて語っている(現地プレスリリースより)。
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バッテリーパックは、重心を安定させる役割も果たしており、車体は低く乗りやすくできているそうだ。後部のシートは、ボディから独立したデザインで、透明なマテリアルを使うことで軽さを表現している。またカバーで覆われたホイールのデザインも近未来感を醸し出す。
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シート下は、ヘルメットやカバンなどの荷物を収納できる広いスペースとなっていて、実用性への配慮も窺われる。
またこの収納スペースは、特製のモーション・コントロール・ジャケットを着用して、腕をさすれば自動でドアが開くというBMWらしい、クールな演出が施されている。ライダーの腕の動きに反応してバイクのいくつかの機能を制御できるよう設計されているそうだ。
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メーターパネルはもうない
画期的なのは、従来のインストルメントクラスター(メーターパネル)がないことだ。そのかわり、速度、ナビゲーション、バッテリーなど最小限の必要情報が投影される小さいディスプレイと、ハンドルバーの下に電話、ナビ、オーディオ、インターネット、カレンダー、他の車両との通信などを可能にする大型モニターが設置される。これらは、バイブレーションやライトを通してライダーに通知し、ライダーはハンドルから手を離さなくても操作できる機能を搭載するという。
普段使っているモバイル端末とバイクがリンクしたら便利だろうなと思うユーザーの願いが実現する訳である。
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BMWモトラッド創立100周年に製造
コンセプト・リンクは、BMWモトラッド創立100周年の年、2023年に製品化が予定されている。ビジョン・ネクスト100よりも近い将来、誕生が待たれている”次なるバイク”である。
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「時代を超越したミニマムなスタイルのコンセプト・リンクは、私にとって単なる試作品ではなく、新しい時代の象徴です。」とハインリッヒ氏は自信を持って言う。
創立100周年記念作品たる、過去と未来をつなぐ乗り物のひとつとして開発に臨むBMWモトラッドの意気込みがこもったバイクである。
コンセプト・リンクの紹介動画
2017年6月8日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)