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公開日:2026.04.02

次期「マツダ2」はどう変わる?「ビジョンXコンパクト」からマツダの新デザインを読み解く——渕野健太郎の「カーデザイン解説ラボ」#4

マツダ・ビジョン クロスコンパクト|Mazda Vision X-Compact

元スバルのカーデザイナー渕野健太郎氏が、ジャパンモビリティショー2025で気になったクルマを紹介! 今回はマツダが展示したコンセプトカー「マツダ・ビジョンXコンパクト」の魅力を探った。

マツダ・ビジョン クロスコンパクト|Mazda Vision X-Compact

文・スケッチ=渕野健太郎

画像=マツダ

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ボディとキャビンの「気持ちいい連続性」が最大の特徴

ジャパンモビリティショー(モビショー)2025を取材してきて、特にデザイン的に注目したクルマをいくつかに分けてご紹介。今回は「マツダ・ビジョンXコンパクト」です。

会場でも、レトロモダンなコンパクトカーとして多くの注目を集めていましたが、このクルマのデザインにおける最大の特徴は「ボディとキャビンの連続性」だと思います。

具体的に言うとフロントフェンダーからAピラーまで、またCピラーからリアフェンダーまでの連続性です。さらにショルダー部の面にも繋がっている(ように見える)ので一体感が生まれ、じつに気持ちいい造形をしていますね。キャビンとボディをひとつの塊から削り出したような印象です。

アイコニックSPとの類似性が感じられるフロント周り。キャビンとボディを一体にしようという意図を感じる。

アイコニックSPとの類似性が感じられるフロント周り。キャビンとボディを一体にしようという意図を感じる。

フロントからAピラーは、2023年JMSで一際注目されていた「アイコニックSP」のよう、またCピラーからリアフェンダーまではカーデザイン界が衝撃を受けた「マツダ3ファストバック」のようでもあり、ある意味シンプル系「魂動デザイン」の集大成かもしれません。

またドア周りのデザインも究極にシンプルで、キャラクターラインすら全く無いのですが、実は面構成は大胆なのがポイント。

リフレクションの動きを見るとフロントとリアで立体が分かれており、さらにロアにも別立体が付いたような造形で、構成としてはマツダ3ファストバックやCX-60などに近いです。

しかしこのクルマは面のつなぎをスムーズにしたり、意図的なピークを排除したりして極力シンプルに見せようとしている、でもただの単純な形状ではない、というところがマツダらしいなと思いました。

これらはデザインだけでなく、モデリングの技術が秀でているということです。

AピラーとCピラーの傾き具合は、欧州コンパクトカーの定番。サイドにキャラクターラインが無いが、立体構成は大胆。

AピラーとCピラーの傾き具合は、欧州コンパクトカーの定番。サイドにキャラクターラインが無いが、立体構成は大胆。

サイドシルエットを見ると、Aピラーを立たせCピラーを寝かせるという、往年のヨーロッパコンパクトの手法が見られます。このシルエットがどこかレトロな魅力に繋がっているのでしょう。

ただ、ブラックに塗装されたルーフ部は思いのほかリアスポイラーまで平行に抜けており、しっかり後席の居住性も考えられているのかなと思います。

フロントのデザインは、新しいマツダの顔を模索していることがわかります。このクルマはパワーユニットの言及がないのですが、短いオーバーハングやグリルが無いことを見るとEVでしょうか? EVの顔まわりは、各社苦戦しているように感じます。特にプレミアムブランドはそうですね。今までグリルに頼っていたアイデンティティですが、グリルが必要なくなったからどうしよう? という感じです。

モビショーで展示されたマツダのコンセプトカー2台は、シンプルな造形にグリル輪郭相当の角のようなグラフィックを入れることで、最小限にマツダを感じさせることに成功していると思います。造形だけでやっていると、遠目から見るとどうしてもわかりづらくなるモノなんですね。

リアはバンパー含めてひとつの塊に見せており、スタンスの良さがダイレクトに伝わる大変明快で良いデザインだと思いますが、リアコンビランプのグラフィックだけやや唐突な印象を受けました。リアゲートのデザインと絡んでいないのが主な理由ですが、ここはもっとシンプルに表現しても良かったのではないでしょうか。

最近のマツダに感じられなかった、ライフスタイル発想のデザイン?

こんなモチーフが出来るのかと驚いた、マツダ3のCピラー周りを踏襲。塊で魅せるデザインをぜひ市販車に繋げてほしい。

こんなモチーフが出来るのかと驚いた、マツダ3のCピラー周りを踏襲。塊で魅せるデザインをぜひ市販車に繋げてほしい。

魂動デザイン以降のマツダ車は、プロポーションへのこだわり、大胆な面構成によるリフレクションの変化、さらにインテリアの作り込みや優れたCMF(Color=色、Material=素材、Finish=仕上げ)などにより、日本はもとより世界のカーデザインを牽引する存在となっていると思います。

一方、ユーザー発想という点はやや弱い印象もありました。しかし、このコンセプトカー「ビジョンXコンパクト」は、そうした側面に新たにアプローチをしているように感じられます。AIでクルマがユーザーの気持ちや行動を理解するということで、ターゲットユーザーはデジタルネイティブなZ世代以降の若者といった想定でしょうか。

ある意味で、ここ最近のマツダデザインに対するアンチテーゼ的な意味合いも含まれているのかもしれません。

いずれにしても、大変魅力的なデザイン。ぜひ市販車に反映させてほしいと願っています!

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