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公開日:2026.02.26

伝説のホンダF1マシン、RA272が内包する熱量を現代に──カシオ EDIFICE×Honda F1初優勝60周年記念コラボレーションモデル<後編>

Honda×EDIFICEのコラボ10作目のコンセプトは1965年の「HondaのF1初優勝」だ。この歴史的偉業の60周年を受けて、記念コラボレーションモデル「ECB-2300HR」が誕生した

新作が出るたびに即完売! ファン垂涎のHonda×EDIFICEのコラボウォッチ最新作が3月13日(予約開始は3月1日)に登場する。話題のホンダF1初優勝60周年記念コラボレーションモデル「ECB-2300HR」について、どこよりも詳しく解説しよう。

Honda×EDIFICEのコラボ10作目のコンセプトは1965年の「HondaのF1初優勝」だ。この歴史的偉業の60周年を受けて、記念コラボレーションモデル「ECB-2300HR」が誕生した

文=小泉康子

写真=澁谷高晴

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伝説のホンダF1に触発された60周年記念モデルの開発プロセス

>>>前編を読む>>>

2026年3月13日(予約開始は3月1日)に発売となるF1初優勝60周年記念コラボレーションモデル「ECB-2300HR」は、EDIFICE × Hondaのコラボモデル10作目となる。このプロジェクトが始まったのは本田技研工業の冨沢潤さんの一言だ。場所は2023年の鈴鹿サーキットでのことである。

生粋のモータースポーツファンの髙橋さん、このときはプライベートで鈴鹿F1グランプリに足を運んでいたのだが、その際に冨沢さんが何気なく発した「2025年はF1初優勝から60周年なんですよ」という言葉に「これだ!」と反応。すぐに会社に持ち帰り、記念モデルをつくろうという意見がまとまった。

開発チームはHondaコレクションホール(モビリティリゾート モテギ内)を訪れた。目指すは「RA272」の実機である。今回は閉館後にRA272を見学するために特別に専任スタッフに来てもらい、カウルを外して内部まで撮影させてもらった。またしてもHondaの「粋なはからい」だ。訪れたチームの6人はそれこそ「舐め回すように」細部を観察したとのことだ。

このRA272は、たんなる展示車ではなく、実際に走行できる状態だそうで、冨沢さんが「専任スタッフに『これは国宝だ』と言われていて、雨が降ったら走らせてももらえません」とエピソードを披露するほど、プロによって丁寧にメンテナンスされている。日本のモータースポーツの原点であり、国宝と称するのもうなずける。

本田技研工業 コーポレート戦略本部経営企画統括部経営企画部モータースポーツ課エキスパートエンジニアの冨沢潤さん

本田技研工業 コーポレート戦略本部経営企画統括部経営企画部モータースポーツ課エキスパートエンジニアの冨沢潤さん

冨沢さんによれば「EDIFICEの開発メンバーは、F1マシン関係者以外でもっとも近くでRA272を見た人たち」だそうだ。そんなレアなマシンに間近で接した興奮はこのモデルを担当した神戸佑介さんの言葉からも伝わってくる。

神戸さんは「F1初優勝は私が生まれる前の話ですから、ネット上でリサーチしたり、本を読んだり、Hondaさんのところでお話を伺ったりしました。そんななかで、当時のエンジニアの方々がこのレースの際、アクシデントが起これば、その場で出来る最大限の対策を、そこにある道具と部品だけで行い、カスタマイズしながら一丸となって優勝までこぎつけたことを知るわけです。大きな情熱を持って向き合っていたことを知り、その情報を身体に入れてから実際にRA272を見た時に、当時の方々がF1にかけていた情熱や、マシンにかけた思い、そしてエネルギーといったものがダイレクトに伝わってきたんです」と語っている。

チャンピオンシップホワイト、ついに外装へ

60周年記念モデルの最大の挑戦は、チャンピオンシップホワイトを内部パーツから外装へ、つまりベゼルに使うことだった。実際にユーザーが手に触れるパーツへの使用は初めての試みである。もちろん、今回も車両に使用する塗料をそのまま使用している。

「外装パーツとなれば耐久性や耐候性といった別なスペックも求められます。また塗布するパーツの素材も違いますので、塗料の乾燥時の収縮などで不具合が起きるのではないか、という懸念もありました。試行錯誤を重ねても、なかなかうまくいかなくて、最終決定の直前まで『もう諦めた方がいいんじゃないか』といった話も出るくらいに難航しました」と神戸さん。髙橋さんも「『また塗れない』とか、『まだ塗れてない』といった内容のことを耳にして、だいぶ苦労していることを感じていました」と続け、社内でも塗布の成功が耳目を集めていたことがわかる。

カシオ計算機 デザイン開発統轄部 プロダクトデザイン部 Gデザイン室 神戸佑介さん

カシオ計算機 デザイン開発統轄部 プロダクトデザイン部 Gデザイン室 神戸佑介さん

とくに注目すべきはベゼルの凹状の数字部分だ。ベゼル上に数字を印刷するのでは耐久性が保てないと判断。くぼみを持たせてインクを流し込む仕様としたのだ。しかし問題はチャンピオンシップホワイトの塗布が一定でないと、このくぼみに塗料が流れ込み、数字の太さが一定でなくなってしまうこと。インナーベゼルに初めて「チャンピオンシップホワイト」を採用した「ECB-S100HR」での知見に加えて、安定して塗布できる技術は試行錯誤の上に完成した。

ベゼルに塗布された「チャンピオンシップホワイト」。車両用の塗料だけに、粘度や重みが時計用のそれとはまったく違う。多く塗布されると数字のくぼみが塗料で埋まってしまうため、繊細な作業が要求される。ベゼルトップの60の文字はHondaオリジナルのアニバーサリーロゴで作成された「60」のフォントを忠実に写し取った。一般的には赤色を選ぶところだが、ゴールドカラーを採用し、優勝を演出している

ベゼルに塗布された「チャンピオンシップホワイト」。車両用の塗料だけに、粘度や重みが時計用のそれとはまったく違う。多く塗布されると数字のくぼみが塗料で埋まってしまうため、繊細な作業が要求される。ベゼルトップの60の文字はHondaオリジナルのアニバーサリーロゴで作成された「60」のフォントを忠実に写し取った。一般的には赤色を選ぶところだが、ゴールドカラーを採用し、優勝を演出している

時計専用の塗料や樹脂に切り替えれば、それなりの“雰囲気”をつくることはできる。だがそれではコラボモデルの意味がない。「本物」を味わってもらうことこそ本質だからだ。

触れてみると、そのベゼルからは本当の塗料だけが持つ「もっちり感」や「ふっくら感」が手に伝わってくる。またチャンピオンシップホワイトのマットな仕上がりも味わえるのも魅力だろう。最近のモデルの多くは平滑なベゼルが主流であるが、他のモデルでは味わえない唯一無二の触り心地こそ、本物の塗料を使っている証といえよう。ただし、塗布にいかに成功したか、そのプロセスは企業秘密である。

ディテールに宿る数々の物語

60周年記念モデルに刻まれているストーリーは塗料だけではない。細部にまで当時の思いが詰め込まれている。

まずバンドから説明したい。バンドの剣先側(6時側)の表面にはRA272のエンジン型式、裏側にはエンジンの図面がレーザー刻印されている。ちなみにこの図面は冨沢さんの提供によるもので――このモデルでもHondaの全面バックアップ体制が敷かれている――内側に刻んだのは、内部にエンジンを内包しているような演出だ。尾錠側(12時側)には、優勝したレースタイムの2:08:32.10が刻印されているのだが、実はこれは冨沢さんのアイデア。「時を刻むことが時計のテーマであるならば、時間に関係するものが入っていたらいいんじゃないか」と話したことから、実現に至ったという。

遊環(尾錠)には当時の中村良夫F1総監督が、日本本社の本田宗一郎に打電した「Veni, Vidi, Vici」(来た、見た、勝った)の文字と王冠、そしてチェッカーフラッグを受けたカーナンバー「11」が刻まれている。

バンドの遊環にはカーナンバー11と王冠、そして「Veni, Vidi, Vici」の文字、バンドの表面には型式とエンジンの仕様である「1.5リッターV型12気筒エンジン」の文字が記される
バンドの裏側にはHondaから支給されたエンジンの図面と優勝したレースタイムの2:08:32.10が記される。バンドは表面にナッパレザー、裏面にウルトラスエードを組み合わせ、質感と耐久性を兼ね備えている

バンドの裏側にはHondaから支給されたエンジンの図面と優勝したレースタイムの2:08:32.10が記される。バンドは表面にナッパレザー、裏面にウルトラスエードを組み合わせ、質感と耐久性を兼ね備えている

続いてダイアルである。特に力を入れたのがRA272のタコメーターを再現した9時位置のインダイアルだ。

「RA272の写真は何百枚とあるのですが、タコメーターだけを写したものはありませんでした。それを知った田代さんに『撮影してきて』と頼まれまして(笑)。カメラマンを連れてHondaコレクションホールへ馳せ参じました」(髙橋さん)

しっかり細部までわかる写真がなかったというRA272のタコメーター。「この写真があったことで、アニバーサリーモデルにタコメーターの再現が可能になりました」(神戸さん)

しっかり細部までわかる写真がなかったというRA272のタコメーター。「この写真があったことで、アニバーサリーモデルにタコメーターの再現が可能になりました」(神戸さん)

またHondaロゴの立体感はこだわりのポイントのひとつ、と神戸さん。そして裏蓋には、冨沢さんが制作を推進したF1初優勝60周年を記念した「Hondaオリジナルのアニバーサリーロゴ」が刻印されている。

裏蓋にはRA272と60の文字が際立つ「Hondaオリジナルのアニバーサリーロゴ」を刻印。またロゴをあしらったオリジナルボックスも用意される

裏蓋にはRA272と60の文字が際立つ「Hondaオリジナルのアニバーサリーロゴ」を刻印。またロゴをあしらったオリジナルボックスも用意される

HondaとEDIFICEの「夢を追いかける」DNA

「Hondaのファンにはいろんなタイプがいます。最近では軽自動車のN-BOXを大事にしてくれる人や往年のプレリュードファンもいますし、Hondaの原点である二輪やF1、またロケットエンジンや宇宙開発へも挑戦しており、そこに魅力を感じている人もいます。ただそれぞれ趣味嗜好は違ってもHondaの根底にある『The Power of Dreams』、つまり夢を追いかける、夢の実現を目指す、そんな企業であることに好意を感じていただいているように思います」と冨沢さん。

だから、と冨沢さん。
「Hondaが誰もやったことがない、新しいことに挑戦し続けてきた日々は、EDIFICEにある“必ず前のモデルとは違ったものを作ろう”するスタンスと同じです。われわれとEDIFICEの共通点は、チャレンジを厭わない姿勢なんです」

だからこそHondaファンはEDIFICEを好んでくれるのだと話す。それを受けて田代さんは「EDIFICEは常に進化させなければならないし、同時にファンに喜んでいただけるモノづくりも考えていかないといけません」と自らに課している使命を語る。

クルマと時計は親和性があるように見えるが、素材としての親和性はないことがほとんどだ。たとえばクルマのシートを時計のベルトに採用すると一口に言っても、素材の風合いを表現するためにはある一定の厚みがどうしても必要になってくるし、それはベルトにするには厚すぎてしまう。過去のモデルでは、高級車の内装に多用されるアルカンターラ®(アルカンターラ社製/人工スエードの一種)をベルトに使用したことがあったが、その際も当然ながら試行錯誤の連続だったそうだ。

「たとえ使いたいと思っても、素材の持つ特性が時計に合わないことは当たり前に起こります。それをいかに時計に落とし込んでいくか、一番苦労するところですが、その挑戦こそに意味があると思っています。Hondaさんとのコラボではこれまで時計との共通点がなかった世界の素材メーカーと協業してきました。そんなチャレンジのなかで成功したときは、時計での成功とはまた違う楽しさや喜びがありますね」(田代さん)

これまでも両社は幾度となく「何か一緒にやりましょう」と言葉を交わしてきたという。「何か」という言葉には「HondaとEDIFICEが組めば、どんなことでもやれそうだ」という互いの期待が込められている。その言葉を受けて続ける終わらない挑戦こそHondaとEDIFICEのコラボレーションの本質であり、そこにどう“本物”を盛り込むかはコラボモデルの魅力となる。Hondaとともに作り上げてきた本物だからこそ、ファンは大いに期待するのだろう。

次なる本物「F1初優勝60周年記念コラボレーションモデル『ECB-2300HR』」、過去の様子を見ると売り切れは早そうだ。3月1日の予約開始日にチェックすることをお勧めしたい。

INFORMATION
EDIFICE Honda F1初優勝60周年記念コラボレーションモデル
「ECB-2300HR-1AJR」
価格:66,000円(税込)

■スペック
駆動:タフソーラー(ソーラー充電システム)
サイズ:50.2×45.8×11.8mm、67g
ケース:カーボン、ステンレススチール、樹脂
防水:10気圧

■特設サイト
https://www.casio.com/jp/watches/edifice/products/collaboration/ecb-2300hr/

【問い合わせ先】
カシオ計算機 お客様相談室 TEL:0120-088925(時計専用)
https://www.casio.com/jp/support/watches/inquiry/

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