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クルマ最終更新日:2018.04.24 公開日:2018.04.24

4月24日は「スカイライン」の誕生日 歴代モデル紹介 後編

61年前の1957(昭和32)年4月24日に、プリンス自動車工業から初代が販売された「スカイライン」。3代目以降はプリンスが吸収合併された先の日産から販売されるようになり、2018年現在は2014年に登場した13代目が販売中だ。そんな日本を代表する長い歴史を持つ「スカイライン」の歴代モデルに迫るシリーズの後編は、1993年登場の9代目から2006年登場の12代目までを取り上げる。

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 61年前の1957(昭和32)年4月24日に、プリンス自動車工業から初代が販売された「スカイライン」。3代目以降はプリンスが吸収合併された先の日産から販売されるようになり、現在は2014年に登場した13代目が販売中だ。そんな日本を代表する長い歴史を持つ「スカイライン」の歴代モデルに迫るシリーズの後編は、1993年登場の9代目から2006年登場の12代目までを取り上げる。

 画像はすべて約10年前に横浜赤レンガ倉庫で開催されたイベント「NISSAN MOTORSPORTS EXHIBITION 2007」にて撮影したものである。

 なお、初代~4代目を紹介した前編はこちら、5~8代目を紹介した中編はこちら(どちらも新しいタブが開きます)。

グンとワイドボディになった9代目「R33型」(1993年~)

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「スカイライン R33 GT-R Vスペック」(BCNR33型)。1997年式。サイズは、全長4675×全幅1780×全高1360mm、ホイールベース2720mm、トレッド前1480mm/後1490mm。車重1540kg。2568cc・直列6気筒・DOHC・ターボエンジン「RB26DETT」の最高出力は280ps(206kW)/6800rpm、最大トルクは37.5kg-m(368N・m)/4400rpm。サスペンションは前後共マルチリンク。ブレーキは前後共にベンチレーテッドディスク。タイヤは245-45-ZR17。

 先代の「R32」型は3代目「GT-R」以外はすべて5ナンバーだったが、9代目「R33」型はグランドツアラーとしての居住性を求めてボディが大型化され、全車3ナンバーで1993(平成5)年8月に登場した。

 そのほか、好評を博した「R32」型からの変更点としては、4気筒エンジンをなくして6気筒のみにしたこと、マルチリンク方式のフロントサスのアッパーアームをI型からA型に変更したこと、リアダンパーのストロークを増やすなどがある。

 「GT-R」は「R33」型でも引き続きラインナップされ、4代目「GT-R(BCNR33型)」は、1995(平成7)年1月に発売された。電子制御式トルクスプリット4WDシステム「アテーサETS」をさらに進化させた「アテーサPRO」を搭載したことなどが特徴だった。

 画像は、4代目「GT-R」のハイスペック仕様車である「R33 GT-R Vスペック」(1997年式)。「GT-R」にオプションパックを装備してさらに性能をアップさせたのが「Vスペック」で、「R33 Vスペック」は翌2月からの発売となった。

 「R33 Vスペック」は高性能ブレーキや大径ホイールなどを装備。さらに、大パワーをより確実に路面に伝えるため、LSDを標準の機械式から電子制御による油圧式の「アクティブLSD」に変更された。

 こうした性能強化により「R33 Vスペック」は、スーパー耐久シリーズなど、改造範囲の狭いレギュレーションのレースにおいてベース車両として活躍。実際、1997年にはスーパー耐久シリーズで「R33 Vスペック」ベースの「日産プリンス千葉GT-R ファルケン」が王座に輝いている。

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次は第2世代最後の「R34」型!

20世紀最後の10代目「R34」型(1998年~)

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「スカイラインR34GT-R M-Spec Nür」(BNR34型)。2002年式。サイズは、全長4600×全幅1785×全高1360mm、ホイールベース2665mm、トレッド前1480mm/後1490mm。車重1580kg。2568cc・直列6気筒・DOHC・ターボエンジン「RB26DETT」の最高出力は280ps(206kW)/6800rpm、最大トルクは40.0kg-m(392N・m)/4400rpm。サスペンションは前後共マルチリンク。ブレーキは前後共にベンチレーテッドディスク。タイヤは245-40-ZR18。

 1998(平成10)年5月に、20世紀最後の「スカイライン」として発売されたのが10代目「R34」型だ。先代「R33」型でボディが大型化されたが、今回はグランドツアラーとしての居住性を維持しつつも、運動性能を上げるためにホイールベースを短縮し、全長も切り詰め、さらに剛性を大きく向上させての登場となった。

 そして「スカイラインGT-R」としては最後となる5代目「GT-R」は1999(平成11)年1月に登場。しかし、平成12年排出ガス規制のため、名エンジン「RB26DETT」を搭載した「R34」型は間をおかずに生産終了が決定。こうして「スカイラインGT-R」は姿を消すことになり、「R32」型から続いた第2期も終了を迎える。モータースポーツにおいても「R34」型も活躍したが、しばらくはメジャーなレースからは姿を消すことになった。

 そうした状況の中、2002(平成14)年に、究極の「R34型スカイラインGT-R」と銘打って登場したのが、2種類の限定生産モデルで、「V-Spec II Nür」と、画像の「M-Spec Nür」(BNR34型・2002年式)だ。合計で1000台ずつ生産された。なお、画像の「M-Spec Nür」は特別色の「シリカブレス」で塗装されている。

 「V-Spec II Nür」がスプリントレースを意識した仕様で、「M-Spec Nür」は耐久レースを意識した仕様となっていた。「Nür」とは、開発が行われた独ニュルブルクリンク・サーキットを意味する「ニュル」である。

 両車ともピストンやコンロッドの重量バランスの均一化が図られており、N1と呼ばれる市販車ベースのレース用と同等のエンジンにチューニングされていた。また、ヘッドカバーは特別仕様であることを表すゴールドの塗装が施されていた。

 そして「M-Spec Nür」ならではのチューニングが、リアの足回り。スタビライザーを柔らかい仕様とし、運動性能と乗り心地を高次元で追求した「リップルコントロールショックアブソーバー」も採用。しなやかな足回りとなっていたのである。

 この後、しばらく「GT-R」の名は姿を消すこととなるが、2007年には「スカイライン」から独立する形で「R35型GT-R」として復活するのである。

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11代目は大きく様変わり!

V型エンジンにスイッチした11代目「V35」型(2001年~)

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「スカイライン クーペ 350GT」(CPV35型)。2003年式。サイズは、全長4640×全幅1815×全高1395mm、ホイールベース2025mm、トレッド前1535mm/後1540mm。車重1540kg。3498cc・V型6気筒・DOHCエンジン「VQ35DE(NEO)」の最高出力は280ps(206kW)/6200rpm、最大トルクは37.0kg-m(363N・m)/4800rpm。サスペンションは前後共マルチリンク。ブレーキは前後共にベンチレーテッドディスク。タイヤは前。

 21世紀最初の「スカイライン」は、2001(平成13)年6月に登場した11代目「V35」型だ。先代からわずか3年という、歴代で最も短期間でのフルモデルチェンジとなった。ただし、「R34」型は先ほど述べたように、2002(平成14)年に「V-Spec Nür」と「M-Spec Nür」が販売されており、21世紀に変わったばかりのこの時期は新旧モデルがクロスオーバーする形になった。

 「V35」型の特徴のひとつが、いかなる走行状況や路面状況でも常にフラットな姿勢を保ちつつ快適にかつ速く走れるという「フラットライド」の思想を採り入れたこと。それを実現するため、これまで直列6気筒だったエンジンを、コンパクトなV型6気筒にスイッチ。それを新設計の「FMプラットフォーム(FMパッケージ)」と組み合わせ、52:48の前後重量配分を実現した。なおFMとは「フロントミッドシップ」の略で、エンジンをより重心に近づけるため、搭載位置を前輪車軸よりキャビン側に寄せたレイアウトのことである。

 当初は2WDのセダンシリーズから始まり、2001年9月に4WDの「250GT FOUR」が追加され、2002(平成14)年1月には「V35」型のスポーツモデル「350GT-8」も登場。「350GT-8」は、「V35」型のセダンシリーズで最も排気量の大きい3498ccの「VQ35DE(NEO)」エンジンに、パドルシフト付きのCVTミッション「エクストロイドCVT-M8」が組み合わせられている。

 そして2003年1月に発表されたのが、画像の2ドアモデル「スカイラインクーペ」だ。”プレミアムスポーツクーペ”と銘打たれた「スカイラインクーペ」は運動性能を向上のため、「350GT-8」と同じ「VQ35DE(NEO)」エンジンを搭載し、FMプラットフォームの特性を活かすため、ホイールベースセンターへの乗員配置、ロングホイールベース、ワイドトレッド、大径タイヤの装着などが施された。

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引き続きV6エンジンを搭載した12代目は2006年に登場!

12代目「V36」型(2006年目~)

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「スカイライン 350GT Type SP」(V36型)。サイズは、全長4755×全幅1770×全高1450mm、ホイールベース2850mm、トレッド前後共に1520mm。車重1600kg。3498cc・V型6気筒・DOHCエンジン「VQ35HR」の最高出力は315ps(232kW)/6800rpm、最大トルクは36.5kg-m(358N・m)/4800rpm。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン、後マルチリンク。ブレーキは前後共にベンチレーテッドディスク。タイヤは前225/50R18、後245/45R18。

 2006(平成18)年11月から発売を開始したのが12代目となる「V36」型だ。画像は、その最上位グレードの「スカイライン 350GT Type SP」。先代「V35」型以降4ドア・セダンと2ドア・クーペがタイミングを分けて販売するようになり、まず発売されたのが4ドア・セダンで、2ドア・クーペは翌2007(平成19)年10月からの発売となる。

 エクステリアは「V35」型を踏襲した形だが、さらにワイド&ロー化が推し進められた。全幅が20mm拡大されると同時に全高が20mm下げられている。

 FMプラットフォームの1種である「FR-Lプラットフォーム」を採用し、エンジンは引き続きV型6気筒。排気量は3498ccで変わらないが、新型の「VQ35HR」が搭載された(下位グレードや4WDグレードには2495ccのV6「VQ25HR」を搭載)。

 「VQ35HR」エンジンは、1994年にデビューした日産の「VQ」エンジンのその時点の最新型。バルブリフターの表面を滑らかにする「水素フリーDLC(Diamond Like Carbon)」膜処理を世界初で採用してフリクションを低減させたほか、バルブ作動角・リフト量連続可変システム「VVEL(Variable Valve Event & Lift:ブイベル)」の搭載などにより、クラストップレベルの高出力を実現した。さらに、高回転(最高回転数7500回転)、燃費の向上、CO2排出量の削減なども達成している。

 また世界初という点では、ステアリング操作に対する前後のタイヤの切れ角を車速に応じて調整する仕組みの「4輪アクティブステア(4WAS)」を、上級グレードにメーカーオプションで設定されていた。「スカイライン」らしい新技術を投入するという姿勢が引き継がれているというわけだ。

 そして2014年3月からは、現行モデルの13代目「V37」型が登場。60年を超えて「スカイライン」の名は受け継がれているのである。

2018年4月24日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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